IT進展が若者の“キリスト教離れ”を加速か 現役牧師「教会の在り方が問われている」
“教会離れ”が起きる理由
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 世界の宗教構造に“ある変化”が訪れようとしている。現在、世界の総人口の約3分の1はキリスト教徒、次いでイスラム教徒、ヒンドゥー教徒と続いている。

【映像】なぜ?若者の“キリスト教離れ”が起きる理由(1:50ごろ~)

 そんな中、アメリカの研究機関「ビュー・リサーチ・センター」が行った調査によると、約40年後の2060年までにはイスラム教徒が30億人(31%)、キリスト教徒が31億人(32%)とほぼ同じ人数になり、その後はイスラム教が世界で最も信者数の多い宗教になると予測している。

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 イスラム教徒が増加する理由について、宗教ジャーナリストの鵜飼秀徳氏は「イスラム教徒がお住まいの国(特にアフリカ諸国)の人口が増えるから」と説明。一方で、キリスト教徒の数が増えない理由は、“キリスト教離れ”の深刻化が影響しているからであると鵜飼氏は分析する。

「欧米諸国は家で宗教を継いでいくよりも、個人で継いでいく、個人で気に入った宗教に入っていくという構造になっている。インターネットを駆使していろいろな国にアクセスする25~40歳くらいの比較的働き盛りの世代が継承していけていないということ」(宗教ジャーナリスト・鵜飼秀徳氏)

 2018年から19年にアメリカの成人を対象に実施された調査によると、「自分が信じる宗教は何か」という質問に対し「キリスト教」と回答した人は65%で、10年前と比べ「キリスト教を信じる」と回答した人が12ポイント減少していた(※データは前述の「ビュー・リサーチ・センター」出典)。

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 また鵜飼氏は、国民の約半分がキリスト教徒のドイツでは毎年、数十万人規模の“教会離れ”が起きていると話す。

「ドイツでは“教会税”が課される。キリスト教を信仰していれば、義務として所得税の8~10%くらいが教会税としてとられる。ドイツは非常に税金が高い国なので、なおさら『教会にもお金を払わなければいけないのか』と嫌気がさしていると思う」

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 このニュースに、アメリカ人の父と日本人の母の間に生まれたアーサー・ホーランド牧師は「(鵜飼氏の指摘は)僕もすごく感じていること」と賛同。加速する若者の教会離れについて、アーサー牧師はこう語る。

「ネットで探求できる時代だから、教会に行かなくても自分で情報を見つけられる。教会の在り方が問われる時代なのかなと思う。自分の(通う)教会以外の礼拝のスタイルを配信で見られるから、“自分の教会”という意識が薄れていく部分もあるし、自分なりの信仰を見つけていく人たちもいます」

 宗教構造は大きく変わる可能性があると指摘される一方で、宗教の存在は永遠か、それとも限りがあるものなのか。

「本質を表現する場所として宗教の施設があるが、形にしてしまうと本質が薄れたり形骸化したりしてしまう。ジョン・レノンが『Imagine(イマジン)』という歌の中で『宗教のない世界を想像してごらん』と歌った。僕はこの歌詞で『神のない世界を想像してごらん』と歌っているとは思わない。今は宗教と神は決して1つではないと気づいていく時代なのかもしれない」

(『ABEMAヒルズ』より)

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