職業柄これまでに数多くのラッパーたちの曲を聴いてきたが、天才と呼べる人間は、ほんの一握りだ。2000年代中盤にSEEDAと共にSCARSのエースとしてシーンの勢力図を塗り替えたBESは紛れもなくその言葉が相応しい数少ない表現者だった。
しかし、天才というのは時として、運命そして自らに翻弄される。ドラッグの悪魔に取り憑かれコントロールを失ったこの男は、一度ならず二度目の逮捕で長い時間を塀の中で過ごすことになった。
それから2年以上の時が経った2016年。 春の訪れと共に釈放されたBESは、これまでの既発曲とエクスクルーシブを織り交ぜた、名刺代わりとも受け取れるミックス『BES ILL LOUNGE 2』を持って再びシーンに戻ってきた。しかし、塀の中にいる間に名前すら知らない人もいるほど、シーンの状況は一変した。その中で果たしてBESは、Re:Re:Rebuildできるのだろうか? インタビューは苦手だと言うBES本人が話す、過去、現在、そして未来。