俳優歴33年・萩原聖人、麻雀映画「打姫オバカミーコ」で初の雀士役「あえてやらないと決めていた」SKE48・須田亜香里と原作者への恩返しで決意
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 10代から俳優として活躍してきた萩原聖人が、俳優歴33年となった今秋、ついに「雀士役」を演じることになった。麻雀漫画を原作とした映画「打姫オバカミーコ」で、SKE48須田亜香里が演じる主人公・丘葉未唯子(ミーコ)に、麻雀を教える元王者の麻雀トッププロ・波溜晴を演じている。個人としては長年に渡り麻雀対局番組で活躍し、2018年にはプロ転向。プロ麻雀リーグ「Mリーグ」の選手としても活躍しているが、意外なことに「雀士役」を演じるのは今回が初めてだ。「あえてやらないと決めていたところもあった」という胸中を聞いた。

【映像】須田亜香里が映画初主演!「打姫オバカミーコ」

 “俳優雀士”という言葉は、長く萩原を表現するものとして使われてきたが、今まで萩原が俳優として麻雀を打ったことはほとんどなかった。「伊集院静さんのスペシャルドラマで、雀荘の客を1度だけやったことがありますが、ほぼ初めて」だという。数々の対局番組で、まさにドラマチックなアガリや勝利をつかんできただけに、雀士役も多数あると思われがちだ。「アニメでは『アカギ』をやらせてもらいましたが、生身で雀士をやるのは初めてですね。あえてやらないと決めていたところもあったので」と、趣味の域を超えて関わる麻雀において、鬼気迫る表情で打ち続けてきたものの、“演じる”ことでは距離を置いてきた。

 長年貫いてきたポリシーに変化が生じたのは、共演者である須田への恩返しの思いがあるからだ。「須田亜香里さんをミーコに推薦したのが僕なんです。イメージがぴったりだったのですが、実際に演じたところを見ても本当にぴったりでした」と、明るく前向きなキャラクターとのシンクロ率は非常に高かった。「彼女なりに考えて、生身でしゃべったり動いてくれたりすることが、愛おしくて、愛らしかったですよ。映像を見てもらえればわかりますが、この映画は彼女がいるから成り立っている。そんな須田さんが麻雀の作品に関わってくれたことに、どう恩返しをするか。麻雀をテーマにした作品で主演してくれたことが、いかに素晴らしいか。麻雀プロとして関わる人間全ての義務というか、それぐらいの覚悟でやらないといけないんじゃないかと思います」と腹を括り、自分も全力で雀士役を演じた。

俳優歴33年・萩原聖人、麻雀映画「打姫オバカミーコ」で初の雀士役「あえてやらないと決めていた」SKE48・須田亜香里と原作者への恩返しで決意
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 恩返しの相手はもう一人いる。原作者の漫画家・片山まさゆき氏だ。博打や裏社会といったものとつなげて描かれる麻雀作品が多い中、この「打姫オバカミーコ」を含め、片山作品はプロ麻雀界における真剣な戦いが、前向きでコミカルに描かれている。今やプロとして麻雀に携わる萩原にとって、これだけポジティブにプロ麻雀界を描いてもらえる作品は、実に貴重なものだ。「よくある、負けたら何か取られるみたいなダークなものではなくて、クリーンなんですよね。麻雀をポジティブに捉えてくれている。実は原作には、完全に僕というキャラクターが出てくるんですよ。連載中に片山先生から『萩原君のこと描いていい?』と言われたので、『ぜひぜひ!』と。そうしたら本当にそのまんまで(笑)当時、僕は女子プロのことが嫌いだったのですが、そういうキャラクターで出てきます」。連載されていた2004年から2010年は、今ほど女流プロ雀士に光が当たっていたわけでもなく、また麻雀に対する向き合い方についても、疑問を持つ人が多かった時代。はっきり「女流は嫌い」と言っていた萩原が、2020年になって映画で師匠役として熱演するのだから、不思議な巡り合わせだ。

 アイドルとして大活躍する須田と、長年に渡って真剣に麻雀と向き合うプロの世界を描いてきた片山氏、2人への恩返しとして雀士役を初めて演じた萩原。「プロであるミーコが一生懸命に戦う姿を見て、麻雀初心者の方たちにも、何かテーマのようなものが持てたり、向き合い方が変わったりする作品になればと思っています。なかなかおもしろくできたと思うし、麻雀についても先入観を持たなければ、こういう世界もあると感じてもらえると思います」と、コアな麻雀ファンだけでなく新たな麻雀ファンの獲得につながればと期待する。ずっと掲げている大きなテーマ「麻雀を多くの人に見てもらうこと」を、選手としてではなく、俳優として表現する。40代最後の年にして、萩原の新しい挑戦だ。

映画『打姫オバカミーコ』
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映画「打姫オバカミーコ」公開前日先行試写会特番
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