将棋は無言なれど、盤を挟んで会話するとも言われるが、相手が強大であるほど気圧されることもある。「オーラを感じた」「迫力がある」と思った時点で、形勢は少し不利になっているかもしれない。その状況を作らないようにしているのが、端正なルックスと棋力から“西の王子”と呼ばれる斎藤慎太郎八段(27)だ。今期から初参戦となった順位戦A級では、並み居る強豪相手に無傷の4連勝で単独トップ。4回戦では、過去1勝5敗と負け越していた羽生善治九段(50)からも勝利を収めた。意識しない方が難しい相手ばかりだが、斎藤八段に聞くと「ただ盤面に集中できる」スタイルを追求しているという。