「媒体への抗議はお門違いだ」東京五輪、組織委が文春に猛反論 露見した情報管理の甘さ
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 1日発売の週刊文春が、東京五輪・パラリンピックにおける開閉会式の内容を報じた。同誌は、演出・振付師のMIKIKO氏がIOCに提示した280ページに及ぶ内部資料の演出案や画像を掲載。MIKIKO氏は、東京オリンピックの延期が決まる前まで開閉会式の責任者だった。

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 このニュースに記者でノンフィクションライターの石戸諭氏は「案の内容が出てきたこと自体、衝撃だった」と驚きを隠せない。その上で「前任のMIKIKO氏サイドと後任の佐々木宏氏の間で、何らかの内紛があったのだろう」と推測する。

「開閉会式の内容は、それが案だったとしても世に出てはいけないもの。なぜ、この内容が週刊誌に流れてしまったのか。背景にあるのは、前任のMIKIKO氏と後任の佐々木宏氏、そして関わっていた人々の間でかなりの『内紛』があったのではないか。それに対して、うまくガバナンス(統治)できておらず、秘中の秘である情報が流出している」(以下、石戸諭氏)

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 同誌の報道に東京五輪・パラリンピック組織委員会は1日、株式会社文藝春秋に対し、書面で厳重な抗議を行ったと発表。内部資料を掲載し、販売することは著作権の侵害にあたるとして、雑誌の回収やオンライン記事の全面削除、資料の破棄などを求めた。この組織委員会の対応に石戸氏は「まったくのお門違いだ」と見解を述べる。

「原因はそもそも組織委員会のチームで起きた内紛にあって、それを管理できなかった責任は組織委員会にある。週刊文春への抗議はお門違いもいいところ。情報管理が徹底できておらず、(情報が)流れてしまったにもかかわらず以上『掲載したメディアが悪い』と言うのは、成り立たない」

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 また、組織委員会の発表に対して2日、文藝春秋側は「巨額の税金が浪費された疑いがある開会式の内情を報じることには高い公共性、公益性があります。著作権法違反や業務妨害にあたるものではないことは明らかです」と反論。「組織委員会の姿勢は、税金が投入されている公共性の高い組織のあり方として、異常なものと考えています」「こうした不当な要求に応じることなく、今後も取材、報道を続けていきます」と声明を出した。

 さらに同日、都内で定例会見に出席した橋本聖子会長が「報道の自由を制限するということでは全くない」「組織委員会の秘密情報を意図的に拡散し、組織委員会の業務を妨害するものであると判断した結果、書面で厳重に抗議を行うに至った」と説明するなど、事態は泥沼化している。

 東京五輪・パラリンピックの開閉会式といえば、MIKIKO氏の後任になった佐々木宏氏が、女性タレントの容姿を侮辱する企画を提案した報道を受け、責任者を辞任。現状、佐々木氏の後任は置かれていない。再びMIKIKO氏が責任者に就任する可能性はあるのだろうか。石戸氏は「ここまで詳細な開会式のプランが漏れてしまった以上、再就任というのはありえないだろう」と話す。

 文藝春秋が主張した“巨額の税金が浪費された疑い”に関しては「まだ私のところには文藝春秋からの文章が届いていない。また改めて、組織委員会としての対応を考えていきたい」と述べるにとどめた橋本会長。今後、どのような展開を見せるのか、国民の注目が集まっている。

ABEMA/『ABEMAヒルズ』より)

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