
2月21日、東京ドームで開催された、プロレスリング・ノア主催の武藤敬司引退興行『chocoZAP presents KEIJI MUTO GRAND FINAL PRO-WRESTLING “LAST” LOVE ~HOLD OUT~』。そのセミファイナルで、新日本プロレスのIWGP世界ヘビー級王者オカダ・カズチカと、ノアのGHCヘビー級王者清宮海斗の“因縁対決”が実現した。
オカダと清宮は今年の1.20横浜アリーナでタッグで激突(オカダ&真壁刀義vs.清宮&稲村愛輝)。1年前にオカダとのタッグ初対決で完敗を喫し悔し涙を流した清宮は雪辱を期しての新日本再登場だったが、オカダに「眼中にない」という態度を取られると、「力づくで振り向かせてやる」とばかりに容赦なくオカダの顔面を蹴り上げ、これをきっかけに大乱闘に発展。
試合は収拾がつかずノーコンテストとなったため、決着をつけるべくノアは2.21東京ドームでの一騎討ちを発表。当初、オカダはこれを断固拒否していたが、2.12ノア大阪大会のメイン終了後に乱入すると清宮をレインメーカーでKO。「やってやるよ!」と承諾し、ついに両者合意のもと正式決定した。
試合形式は大会前日に30分一本勝負と発表されたが、清宮がSNSを通じて「時間無制限でやらせてくれ」と猛アピール。これが認められるかたちで、当日になって時間無制限一本勝負に変更となり、遺恨マッチは事実上の完全決着ルールで行われることとなった。
こうして実現した新日本とノア因縁の王者対決。両者ともに団体のトップの証であるチャンピオンベルトを腰に巻いて入場。あとから入場したオカダは、ふてぶてしい表情でリングイン。その姿を清宮はまっすぐ見つめる。

そしてゴング。長い睨み合いから始まった試合は序盤、格の差を見せつけるようにオカダが清宮を子供扱い。何度も場外に叩き落とすと、ドームの硬い床の上でDDT。清宮がなんとかリングに戻っても、チョコンと蹴り上げる顔面キックで挑発し、清宮が悔しさを露わにしながら向かってきてもショルダースルーで大きく投げ飛ばし、コーナーからダイビングエルボー。余裕しゃくしゃくの表情で早くもレインメーカーポーズを決めてみせた。
しかし、清宮も自ら望んだこの試合、このまま負けるわけにはいかない。オカダのビッグブーツのキャッチしてエルボーで倒すと、場外戦で反撃開始。鉄柵越しのブレーンバスターでオカダの腰を硬い床に痛打させると、助走をつけて鉄柵越しのランニング・トペ・コンヒーロ! さらにオカダをリング内に戻すとミサイルキックから高角度ジャーマン。そして必殺技のタイガースープレックスホールドを狙うが、これはオカダが耐えてフェイスバスターで切り返す。
清宮の反撃を受け、オカダもギアを上げる。ジョン・ウーで吹っ飛ばし、向かってくる清宮にカウンターのドロップキック。さらに旋回式ツームストンパイルドライバーから、ローリングラリアット。そして一気にレインメーカーで試合を決めようとするが、清宮がオカダの右腕にジャンピングニーの決めて迎撃。
右腕を押さえながら苦悶の表情を浮かべるオカダに対して、チャンスと見た清宮は、オカダの痛めた右腕に照準を定め低空ドロップキックから、ミサイルキック。そして“武藤直伝”のシャイニングウィザードを連続で決めフォールに入るが、カウント2!
ならばと3発目のシャイニングを狙ったところ、オカダは起死回生のドロップキック。両者ダブルノックダウンとなるが、先に立ち上がったのはオカダ。清宮のリストをつかむと、痛む右腕を顧みずラリアットを連発。そして、とどめのレインメーカーにいくが、清宮はカウンターのジャンビング・ニーでこれを防ぎ、最後の力を振り絞って必殺のタイガースープレックスホールドを決める。しかしこれもカウント2で返されると、清宮は万事休す。
オカダはついにレインメーカーを爆発させると、カウント2で自ら清宮の肩を上げ、闘魂が宿ったかのような延髄斬りから、ノアのリングを意識したような旋回式のエメラルドフロウジョン! 最後は正調レインメーカーを炸裂させ、カウント3。試合時間は16分32秒。当初予定されていた30分一本勝負の半分ほどの時間で、完膚なきまでに叩き潰してみせた。
オカダは勝ち名乗りを受けると、あらためて清宮に興味はないとばかりにすぐさまリングを降りてIWGPのベルトを肩から下げながら堂々と花道を戻り、対する清宮はしばらくマットに大の字になり立ち上がれず、因縁の王者対決は、勝者と敗者のコントラストが残酷なまでに現れる結果となった。
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