両手両足に痙攣を起こし倒れ込んでいる未成年の少女。身近に売られているかぜ薬などの市販薬を過剰摂取する「オーバードーズ」と見られている。『ABEMA的ニュースショー』では2月、新宿・歌舞伎町の通称「トー横」で危険な行為がまん延していたことを独自取材していたが、またも事件が起きた。
新宿署は5月15日、高校生の親から身代金として20万円を奪い取った疑いで、指定暴力団・住吉会系組員の三枝丈人容疑者、「トー横キッズ」のまとめ役を自称する徳永晋太郎容疑者ら4人を逮捕した。警視庁によると、4人はトー横で知り合った男子高校生を車で連れ去り、脅して暴行を加え、母親に身代金20万円を要求し、奪い取ったとされる。このうち2人は容疑を否認している。
5月25日夜、番組が再び「トー横」を訪れると、新たにまん延する「深い闇」と、今回の事件との関連性が見えてきた。
「『いくらやるから、大麻売ってこい』みたいな」(20代男性)
「徳永(容疑者)の場合は、自分自身も大麻とかシャブ(覚醒剤)をやっていた人間。売りさばくのに、トー横のガキを使って、自分がパクられないようにしていた」(40代男性)
被害者の高校生と連絡を取り合っていたというAさん(仮名)も、徳永容疑者がトー横の子どもを「手下」として扱っていたと語る。
「徳永容疑者が(トー横の)子どもを複数人、手下として扱っていた。手下のうちの1人が、薬物の売上や任された薬物をちょろまかして、それにキレた徳永容疑者が誘拐し、親にお金をもらいに行った」(Aさん)
では、大麻は誰に売りさばいているのか。取材に応じた18歳男性は、SNSや身近な人に加え、「トー横キッズがトー横キッズに売っている」と語る。他にもトー横周辺での証言が相次ぐ。
「徳永容疑者の手下みたいになって(大麻を)売りながら、売ったお金で自分たちも買って吸うみたいなことをやっている」(20歳男性)
「特に2月、3月は、普段やらないような子が大麻を吸うようになった。14歳、15歳が大麻をやってハマっちゃう」(Aさん)
「以前、市販薬物でオーバードーズしていた子が違法薬物に手を出していて、それも仲間とのつながりのため」(18歳男性)
番組では「仲間になりたい一心でオーバードーズという危険な行為に及ぶ側面がある」と伝えたが、それが大麻となったのか。今回、徳永容疑者が大麻をまん延させていく流れを聞くことができた。
徳永容疑者をよく知る男性によると、歌舞伎町のビジネスホテルに住み込んでいたという。2022年は347泊し、その客室は仲間内で「大麻部屋」と呼ばれていたそうだ。
「一部屋取って、ずっと住んでいる。トー横の人の荷物を置かせたりして関係性を持って、そこから『悪の駒』にして使っていく」(徳永容疑者をよく知る男性)
「トー横」のコミュニティーでは、1人でホテルの部屋を取って、5、6人で多重宿泊する例が珍しくないという。
「そのうち1人でも大麻をやっているやつがいると、みんな覚えちゃう。そこからまん延していく」(同)
徳永容疑者がトー横の若者を使っていたのは、大麻売買だけではなかった。徳永容疑者が生活していたホテルに行ったことがあるという女性(18)が、その実態を証言する。
「売春を斡旋されてやってたり、『大久保公園は俺の敷地だ!』『みかじめ料を取ってこい』とか……。出会い系サイトでお客さんを捕まえて、徳永が、それに(女性を)行かせる。立ちんぼは1.5万円が多いが、それより高い3万円で取って、2万円を女の子に、1万円を自分が取る」(18歳女性)
さらに、特殊詐欺を命令された未成年男性も。その彼女(17)が「彼氏は徳さん(容疑者)の手下で、裏切ったからやれ、みたいな感じだったらしい。監視カメラに映るから、下っ端だからやらされた」と話すように、受け子として捕まったという。
「(彼氏が巻き込まれ)バカだなー、って。断ればよかったのに。逃げればいいのに何やってんだろう……」(同)
この事態を放置できないと、新たな動きも。去年発足した防犯ボランティア団体「オウリーズ」。メンバーは児童相談所職員や弁護士などを含む約40人で、子ども食堂を開くなど、見守りや相談などの活動を行っている。
「トー横には家庭に問題があったり、居場所がなくて来る子が大多数。ただ、ここに来てしまうと、悪い大人がつけ込みやすいというか、悪の道に連れ込まれてしまっているのが現状。トー横の問題を誰が取り扱うかが十分議論できていなくて、『トー横、トー横』と話題になっても、警察が連携すれば解決するところをできていない。少しでもいいから仕組みを変えていきたいし、泣く子を減らしたい」(代表のAさん)
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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