今年は夏場に雨が多く降った影響でマツタケが豊作でしたが、同じ理由で毒キノコも多くなっています。間違って食べてしまい、食中毒になる人が相次いでいます。
■“中毒のデパート”カエンタケ 触れるだけでも炎症
至る所に生えている大量の白いキノコは、「オオシロカラカサタケ」という毒キノコです。
近隣住民
「(犬が毒キノコに近づき)ダメダメ!毒なんだって!」
「何年も来ているけど初めて見た。見たことなかったし、今年初めて」
先月末、山口県で40代の女性が自宅の庭に生えていたオオシロカラカサタケをバターで炒めて食べ、中毒症状を起こして入院しました。
さらに、まるで人の指のような形で真っ赤な色をしているのは「カエンタケ」という毒キノコです。
先月、都内の公園で見つかったほか、八王子や奥多摩地域でも相次いで発見されました。
カエンタケとは、どういうキノコなのでしょうか?
40年以上キノコを研究
キノコ入門講座
大館一夫代表
「中毒のデパートですね。(食べると)消化器系の中毒、神経にも影響する。内臓を破壊する」
さらに、カエンタケは手で触れてしまうだけでも炎症を起こし、皮膚がただれる恐れがあるといいます。
公園などでカエンタケが見つかった自治体は、子どもが触らないよう小学校に注意喚起しています。
大館代表
「カエンタケは全部ひっくるめて猛毒の成分持っていますので大変怖いキノコ。気を付けていただきたいと思います」
■薄紫色の傘が特徴 食べた家族が全員入院
今年は夏場から雨が例年より多く降った影響で、秋の味覚・マツタケが大豊作です。その一方で、毒キノコまで“豊作”となっています。
キノコ狩りで人気の山を歩くと、いかにも毒キノコという真っ赤な傘のキノコが山に入ってすぐの場所に生えています。
大舘代表
「これは『ドクベニダマシ』というキノコ、有毒ですね」
先に進むと…。
大館代表
「ははー出ましたな。これは『クサウラベニタケ』というキノコでね、中毒(件数)の多いキノコ」
地面に生えていたのは薄紫色の傘が特徴的な「クサウラベニタケ」。一見、普段食べているキノコのように見えますが、食べると激しい腹痛や嘔吐(おうと)など重篤な症状を起こす毒キノコです。
実際に食べてしまった人に話を聞きました。
毒キノコを食べてしまった人
「キノコ採りに行って結構採れたんですよね。すぐにご飯炊いて食べたんですよ。そしたら私が一番最初に吐き気がして、その後に次々と(家族)みんながおなかが変だ、気持ちが悪いとかって言い出して病院に…。保健所の人が、それはクサウラベニタケっていうキノコだと思うって」
採ったキノコの中に紛れていたというクサウラベニタケ。
毒キノコを食べてしまった人
「『ムラサキシメジ』はいつも採って食べてたものなんで、そこにあったキノコだったので全然疑いなく採っていたんだけど。怖くて食べられなくなっちゃって、トラウマですよ」
女性は、この出来事をきっかけにキノコが食べられなくなってしまったといいます。
■“名人泣かせ”クサウラベニタケ 見分け方は傘の裏
山を歩くと、またもやクサウラベニタケが…。ところが、よく見ると食用キノコの「フウセンタケ」でした。比較してみると傘の色や形が瓜二つです。
専門家でさえも見分けが難しく“名人泣かせ”と言われているクサウラベニタケ。見分ける方法はあるのでしょうか?
大館代表
「裏を返すとこれ赤いの、これで見分けることができる」
実際に両方のキノコの傘の裏を見ると、クサウラベニタケは淡いピンク色になっています。これが見分ける方法だといいます。
■“キングオブ毒キノコ”の見分け方法
「クサウラベニタケ」を超える毒キノコがあります。
大館代表
「日本で一番多い中毒例は『ツキヨタケ』」
ツキヨタケは、厚みのある肉質が特徴的で、秋になると木に重なり合って発生します。
この10年、全国の毒キノコによる食中毒で最も多かったのは「ツキヨタケ」です。
先月30日、愛媛県で山で採ったツキヨタケを食用キノコと思い込み、食べた6人が嘔吐などの症状を訴え、そのうち2人が入院しました。
彼らは「ヒラタケ」というキノコを採るはずでしたが、見た目が似ているツキヨタケを採取してしまいました。
どちらも木に発生するキノコで、比べてみると同じような色や形をしています。見分ける方法はあるのでしょうか?
大館代表
「付け根に黒いしみがある。ツキヨタケを見分ける非常に分かりやすい特徴」
実際に根元を写した写真を見てみると、ツキヨタケの根元部分に黒い部分があります。この根元が見分けるポイントだといいます。他にも…。
大館代表
「柄とひだの境目辺りに隆起体っていうんだけど、縁取りみたいなものがある」
比較すると、ツキヨタケは傘の裏側にあるヒダが根元に向かって隆起しているのが分かります。これもツキヨタケ特有の特徴で、見分けるポイントでもあるといいます。
毒キノコを食べないために注意すべきことは?
大館代表
「中毒を避けるためには(むやみに)採らない、食べない、人にあげない。その原則を守っていただいて」
■きのこ鑑別会では毒キノコが次々
先月、千葉県内の公園ではきのこ観察会が行われました。およそ30人の参加者がキノコを見つけては、どんな種類のキノコかを確認していきます。
公園に入り、すぐの場所には…。
元千葉県立中央博物館研究員
吹春俊光さん
「これね本物の『テングタケ』ですよ。分かりやすい毒キノコですね」
食べると嘔吐や下痢、さらには呼吸困難になる恐れもある恐ろしい毒キノコ。
さらに猛毒があり“殺人キノコ”と呼ばれる「フクロツルタケ」も見つかりました。
吹春さん
「最初、消化器系の中毒が起きて、肝臓・腎臓の数値が悪くなって(その後)死んでしまうという毒を持ってるキノコですね」
長野県で行われたきのこ鑑別会では、市民が持ち寄ったキノコの中に毒キノコが含まれているかどうか衛生指導員がチェック。すると…。
衛生指導員
「『オオキヌハダトマヤタケ』という毒キノコになりますね」
「これはやめといたほうがいいです…毒キノコ扱いになっています」
持ち寄ったキノコの中には呼吸困難を起こしかねない毒キノコが次々と出てきました。
キノコを持ち寄った人
「(全部毒キノコで)全滅です。3種類持ってきて結局ダメ…。鑑定もやってもらったほうが知らないで食べちゃって中毒になるの嫌ですからね。鑑定は毎年やってもらいたいなって思いますけどもね」
(「羽鳥慎一 モーニングショー」2024年11月14日放送分より)