一見、倉庫が並んでいるようにしか見えないこの施設は、コンテナを並べたビジネスホテルです。全国各地で続々と開業している理由を取材しました。
【画像】電子レンジも冷蔵庫もユニットバスもある コンテナがホテルに
■8割がビジネス客、4割以上がリピート
九十九里浜にほど近い千葉県匝瑳市。整然と並んでいるのは貨物輸送で使用される「コンテナ」です。
デベロップ 広報 麻生川佳奈さん
「(Q.こちらは何の施設?)コンテナ1台が1客室となったコンテナホテルです」
これらはすべてホテルなのです。室内には、エアコンやテレビはもちろん、冷蔵庫に電子レンジ、ユニットバスもあります。
コンテナホテルを20回以上利用しているという男性は、次のように話します。
利用客(20回以上)
「無線LANも各部屋通っていますし、やっぱり電子レンジがあるし、あと冷蔵庫も冷凍できるじゃないですか。この中で全部生活できるぐらいのレベルのものがそろっているから、すごく気に入っていますね。めちゃくちゃ快適ですよ」
料金はこの週末1泊およそ6000円から(変動あり)。同じエリア内の大手ビジネスホテルと比べるとおよそ半額と格安です。
麻生川さん
「弊社がレストランとかエレベーターとか大浴場といったサービスを限定して運営しているので、その分他のホテルよりは価格を安くしてご提供することができる」
インバウンドの影響から宿泊費が軒並み高騰するなか安さが受け、8割がビジネス客で4割以上がリピートするといいます。
さらに、ビジネス客に便利なポイントがあります。
利用客
「車がすぐそこに止められるのがありがたくて。資料を持ってエレベーターを上がるってなると混んでいて。(ここだと)それがなくて」
取材中、「コンテナホテル」を下見に来た人がいました。
下見客
「お風呂とかは室内じゃなくて別にある?完結しているんですね」
スタッフ
「中にユニットバスがございます」
下見客
「すごい」
■需要が高まるコンテナホテル…旅行業界も注目
冬は寒くないのでしょうか。北海道でトレーラーやコンテナを製造する会社に話を聞きました。
ロイヤルジャパン 代表取締役 遠藤吉勝さん
「断熱性の高い断熱材を使って、ぐるりと四方を断熱しているものですから。一般の住宅なんかと比べると気密性も高いので、断熱効果は高いかとは思っております」
トレーラーハウスの製造も手掛けるこちらの会社によると、およそ2、3カ月という短期間で作ることができるといいます。
需要が高まる一方のコンテナホテル。旅行業界も注目しています。
大手旅行会社「HIS」は先日、コンテナホテルを運営するデベロップ社の株式をおよそ20%取得しました。
HIS投資戦略本部 部長 浅田尚樹さん
「我々は旅行会社になるので、近くに観光地があってホテルが足りないのであれば我々はそこに出店してほしいみたいな話を今もしております。例えば富士山の周りだとか、そういったところは『ホテル高いから泊まらない』という人もいると思うけど、そういった方向けにホテルも建ててほしいという話もしている」
オーバーツーリズムが問題となるなか、宿泊施設不足の解消が期待されます。
浅田さん
「もちろん広くはないですけど、値段が6000~7000円ぐらいで今泊まれないなかで、こんなきれいなところに泊まれるんだみたいなところが、やっぱりうけている。我々もそこに着目している」
■災害時には仮設住宅としても活用可能
そのうえ、コンテナホテルには、普通の宿泊施設にはないメリットがあります。
麻生川さん
「(Q.どうしてナンバーがついている?)災害時には被災地のほうに動かすことができるようになっていますので、このまま公道とかも走れるようにナンバープレートを各部屋につけています」
こちらの客室は、トレーラーヘッドで牽引(けんいん)すれば移動も可能。「レスキューホテル」とも呼ばれ、仮設住宅としても活用できます。
移動式のランドリーやトイレ、医療用コンテナなどさまざまな用途にも使えます。
麻生川さん
「まずは全国で200店舗1万室を目指して、現在出店を進めておりまして。平時は快適なビジネスホテルとしてご利用いただきながら、災害時には身近にある安心安全な防災拠点としてご利用いただけるような存在になりたいと思っています」
(「グッド!モーニング」2024年11月28日放送分より)