臨時国会の焦点の一つが「103万円の壁」の見直しです。財源の確保が大きな問題となるなか、専門家が富裕層への増税の可能性を指摘しました。
【画像】富裕層に有利な「1億円の壁」見直し…元大蔵省官僚が指摘する増税案
■上げ幅を協議「ジャブの打ち合い」
石破茂総理大臣
「いわゆる『103万円の壁』については、令和7年度税制改正の中で議論し引き上げます」
連日の税制協議で最大の焦点となっている「年収103万円の壁」。29日、石破総理は所信表明演説で「103万円の壁を引き上げる」と述べました。
「103万円の壁」見直しを看板政策として掲げてきた国民民主党の玉木雄一郎代表は時折、うなずきながら演説を聞いていました。
しかし、上げ幅を巡る議論は今も続いています。
自民党 森山裕幹事長
「103万円の問題については、『引き上げる』とは言われたが、『178万に引き上げる』という発言ではなかったのではないか」
国民民主党 玉木雄一郎代表
「明言をされたことは、第一歩が記されたということで評価をしたい。どこまで引き上げるかはこれからということで、まさに第一歩に過ぎないと思っている」
上げ幅と合わせて協議が必要なのが、減税分の財源の確保です。年収の壁が178万円に引き上げられた場合、税収が最大8兆円減少することが予想されています。
解決すべき課題が山積みの税制改正の見通しについて、自民党と国民民主党は…。
自民党 宮沢洋一税調会長
「具体的にどうなるかということは、まだ見えてきていない状況」
国民民主党 榛葉賀津也幹事長
「来月のクリスマスの前あたりまで、交渉が続くから。日が高いうちはなかなか、ジャブの打ち合いですよ。多分クリスマス前後には、いいプレゼントが。永田町のサンタクロースがくれるんじゃないですか」
■「1億円の壁」見直し…富裕層への課税?
上げ幅も財源も、まだまだ見えない状況の「103万円の壁」。それを踏まえたうえで、元大蔵省官僚の森信茂樹氏は上げ幅について、こう予想します。
森信氏
「物価上昇率がだいたい10%ぐらいだから、それをかけると103万円が113万円ぐらいになる。それに少し上乗せするぐらいが、交渉の最終決着としてあり得るのではないか」
減収分の財源について、28日の3党協議で自民党は、「歳出削減」や「経済効果による増収」を例として挙げていました。
しかし、森信氏はそれらで全額を賄うことは難しいため、現実的なのは「増税しかない」と話します。
森信氏
「これから出るかもしれないのは、『富裕層への課税』。『1億円の壁見直し』も含めた、富裕層への少しの負担増」
森信氏が指摘する増税案が、「1億円の壁」見直しなど富裕層への課税です。
所得税は、所得が高くなるほど税が高くなる累進課税が課せられている一方、株式や不動産の売却益に対する税率は一律です。
所得が1億円を超える富裕層の多くが資産運用で所得を増やして、税の負担率が下がっていることから、たびたび問題視されてきました。財源を確保するための増税はありえるのでしょうか?
自民党の宮沢税調会長は…。
宮沢税調会長
「(Q.(減収分を)増税して埋め合わせる?)これからの協議次第だろうと思う」
(「グッド!モーニング」2024年11月30日放送分より)