
8日夜、青森県で震度6強を観測した地震の影響で北海道や東北地方に出ていた津波注意報はすべて解除されました。道路が陥没し、建物火災が起きるなど各地で被害が発生していて、今も2万8000人に避難指示が出ています。
青森県東方沖が震源
地面を突き上げるような激しい揺れ。棚から家具が転がり落ち、電気は左右に大きく揺れています。
陥没した道路の真ん中で、取り残された1台の車。警察官らが距離を取りながら、状況を確認しています。
ガードレールも折れ曲がり激しく損傷していて、衝撃の大きさがうかがえます。運転手は救出され、病院に搬送されたということです。
建物の窓ガラスは割れ、破片が地面に散乱しています。室内は家具や家電が倒れていて、物が散乱。壁にはヒビも入っていました。
消防のサイレンの音が鳴り響き、夜空に立ち上る炎。どんどん燃え広がっていきます。雪が降っていますが、勢いが衰えません。
地震の発生からおよそ1時間が経ち、青森市の住宅ではものすごい煙を出しながら、家が燃えています。消防隊員が消火活動を行っています。
逃げ遅れた人がいないか、確認しながら消火活動を進める消防隊員たち。すると、規制線の中から消防隊員に体を支えられながら避難する人もいました。
消防隊員に連れられて救急車に乗り込みます。消防隊員が夜通し消火活動を行いました。
8日午後11時15分ごろ、青森県東方沖を震源とする最大震度6強の地震が発生しました。
北海道太平洋沿岸中部、青森県太平洋沿岸、岩手県に津波警報が発表され、高台や避難ビルなど安全な場所への避難が呼びかけられました。
今後1週間は巨大地震に警戒
午前1時すぎ、気象庁の会見室に集まった報道陣。気象庁が緊急の記者会見を開きました。
「この津波警報(現在は解除)を発表している予報区につきましては、ただちに沿岸部や川沿いにいる人はすぐに高い所に避難をしてください。また、すでに避難をしている方については避難の継続をお願いいたします」
「1週間程度、特に今後2~3日間につきましては今回の地震と同じく最大震度6強程度の地震を注意していただきたいと思っております」
地震発生が深夜の時間帯だったため、足元は暗く、大雪が降る中の避難をすることになった人も多くいます。雪道で転倒しけがをした人もいます。
「(Q.冬の寒い夜という中で避難されている方がいる。今回のような場所でこの規模の地震が起きた場合、警戒が必要になる期間がどれぐらいになる?)今後さらに津波の高さが大きくなる可能性もありますので、引き続き避難の方を継続していただきたいと思っております。津波ですが、この先どうなるかというところが見通せれば良いのですが、今の段階ではすぐに例えば何時間後に収まるというようなことを示すのは難しいと考えております」
政府は官邸対策室を設置
政府は8日午後11時16分に官邸対策室を設置。高市早苗総理大臣はこう述べました。
「私からは直ちに国民に対して、津波や避難等に関する情報提供、適時的確に行うとともに、住民避難等の被害防止の措置を徹底すること、早急に被害状況を把握すること、地方自治体と緊密に連携して、人命第一の方針のもと政府一体となって被災者の救命救助等の災害応急対策に全力で取り組むこと、以上の指示を行いました」
小泉進次郎防衛大臣は「人命救助に万全を期すことを指示し情報収集に努める」と語りました。
「現在の自衛隊の対応としましては、陸上自衛隊東北方面航空隊のヘリ、映像転送機、そして海上自衛隊第25航空群のSH-60が1機、そして航空自衛隊第7航空団のF-2が2機、以上上空からの被害情報収集のため、既に離陸をしております」
津波最大70cm 大雪の中で避難
地震発生時の状況について、青森市内に住む飲食店オーナーはこう話しました。
「縦揺れで揺れ始めて、立っていられないほどの揺れが来た。東日本大震災も体験しているが、今回の方が揺れたように感じた。何か倒れたまではない。戸棚も扉も閉じていたので」
また、青森市のホテル従業員にも話を聞きました。
「揺れはかなり激しかった。左右の間隔が短い。ここ最近感じたことないぐらい揺れた。立っているのが精いっぱい」
水道管が破裂し、地面から水が噴き出しています。撮影者はこう話します。
「非常に強い恐怖は覚えましたね 外に出られない中で古い建物の中にいましたので、このビルが倒壊する危険も考えましたので、命の危険を感じました。あちこちで悲鳴が上がっているような状態でした」
これまでに岩手・久慈港に70センチ、北海道・浦河に50センチ、青森・むつ小川原港40センチの津波が到達しています。
これまでに北海道と青森県で合わせて27人がけがをしました。各地で道路の陥没や土砂崩れなども確認されています。
現在もおよそ2万8000人に避難指示が出ています。東北地方では先月9日にも、三陸沖でマグニチュード6.9の地震がありましたが、記者が今回の地震との関連性があるのか、質問すると、気象庁はこう説明しました。
「距離は200キロ以上離れておりますので、そういう意味で直接的には関係性はないと考えております。 要するに、この地震があったから今回の青森県東方沖が起きたということは、直接的な影響はないと考えております」
後発地震に警戒 今後の対応は
一方で、気象庁は「北海道・三陸沖後発地震注意情報」を初めて発表。午前2時から内閣府と共に改めて会見を開き、注意を呼びかけました。
「今回の地震の発生により、北海道の根室沖から東北地方の三陸沖にかけての巨大地震の想定震源域では、新たな大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まっていると考えられます。今後もし大規模地震が発生すると、巨大な津波が到達したり、強い揺れとなる可能性があります」
気象庁は、大規模地震が発生する可能性が平常時より相対的に高まっていると発表。その一方で、特定の期間中に大規模地震が必ず発生するということを知らせるものではないとしています。
今後の対応として内閣府は、避難経路の確認、家具の固定など「日頃からの地震への備え」の再確認を求めています。
さらに今後1週間、特別な備えとして「すぐに逃げられる態勢の維持」と「非常持出品の常時携帯」を呼びかけました。これらを実施したうえで、社会経済活動を継続してほしいと呼びかけています。
「防災対応を取るべき地域をお示ししています。北海道から千葉県にかけまして、182の市町村におきまして、この防災対応をとって頂くようお願いできればと思っております」
防災対応を取りつつ、内閣府は無用の混乱を避けるため、正しい情報を見極め、誤った情報の拡散などは行わないよう呼びかけました。
「例えば、何月何日に巨大地震が発生するといった地震予知を政府が発表することはございませんので、十分にご留意頂ければと思います」
さらに、社会的混乱を最小限に抑えるため、食料品や生活必需品の過度な買いだめは控えるよう求めています。
(「グッド!モーニング」2025年12月9日放送分より)
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