

安定的な皇位継承に向けた皇族数の確保に向け、衆参両院の議長・副議長4人がとりまとめた案が、与野党全13党派の代表に示されました。
【画像】女性皇族結婚後も&“旧宮家”男系男子を養子…皇族数確保案
4人はまず、議論の前提を次のように押さえました。

石井啓一衆院副議長
「今上陛下から秋篠宮皇嗣殿下、次世代の悠仁親王殿下という皇位継承の流れをゆるがせにしてはならないことについては、立法府としても、これを確認する」

次世代の皇族の中では、悠仁さまだけが皇位継承権を持っています。
ここは“ゆるがせにしない”、つまり、いまの女性皇族が天皇になることは想定していません。

そのうえで、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案を“第1案”として示しました。いまいる女性皇族については、経過措置として、皇室に残るかどうか、本人の意向を尊重する方向です。
一方で、意見の隔たりが大きかった“夫と子の身分”をどうするかについては、結論を先送りしました。

森英介衆院議長
「今後の検討課題。ですから白黒はっきりすることが、すべてじゃないですから」

現在、未婚の女性皇族は5人。いずれも父方をたどれば、天皇にたどり着く男系の女性皇族です。しかし、その次の世代は、性別に関わらず、天皇との間に母方が挟まる女系です。皇族の身分を与えると、自民党などが容認しがたい“女系天皇”の誕生につながる可能性もあります。

自民党 小林鷹之政調会長
「配偶者(夫)、そして子に対しては、皇族の身分を付与すべきではない。自民党としての確固たる考え方であります」
高市総理はかねてとりまとめ案では“第2案”に位置付けられた男系を重視する案を第一優先とする考えを示しています。

高市総理(4月)
「皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系男子を皇族とする案を第一優先として、国会における議論を主導してまいります」

旧宮家の中から父方が天皇につながる男系の男性を見つけ、養子として皇族に迎え入れるというのがとりまとめられた“第2案”です。ただし、それは、小泉政権時代の有識者会議で「国民の理解と支持を得ることが難しい」といった理由から否定された考えでもあります。
旧皇族の1人からも、こんな声が上がります。

旧久邇宮家 久邇朝宏さん(81)
「いまのまま、特別な教育を受けないで、皇族になるのは大変だろう。(国民の)支持を得るために何をしなきゃいけないか。考えるのは難しい」

森衆院議長は、10日、改めて、全体会議を開き、“立法府の総意”をとりまとめたい意向です。
皇族数を確保するために提示された案です。

●女性皇族が結婚後も皇室に残る案
●旧宮家の男系男子を養子に迎える案

女性皇族が結婚後も皇室に残る案について、詳しく見ていきます。現状ですが、未婚の女性皇族は、愛子さまや佳子さまを含め5人。現行の皇室典範では、女性皇族は結婚すると、皇族の身分を離れると定めているため、将来的に公務の担い手が減る可能性があります。それを防ぐため、女性皇族が結婚後も皇室に残る案が提示されました。ただ、今回の案では「現在の女性皇族の身分を保持するかどうかは、そのご意向を尊重するなど、一定の配慮をするべき」としています。一方で、女性皇族の夫と子どもに皇族の身分を与えるかどうかは明記せず、先送りした形になります。


次に、旧宮家の男系男子を養子に迎える案についてです。
旧宮家とは、1947年に皇籍を離脱した11の宮家のこと。この旧宮家の男系男子、つまり父方をさかのぼると、歴代天皇にたどりつく男子を養子に迎えるという案です。天皇家と旧宮家との関係をみると、天皇陛下の祖先である室町時代の第102代後花園天皇の弟・貞常親王が、旧宮家の祖先にあたるとされます。
政府の有識者会議では、賀陽宮家・竹田宮家・久邇宮家・東久邇宮家、4つの旧宮家に20代以下の未婚の男系男子がいるとされています。

今回の案では、養子となる対象者の年齢、養子の親となる皇族の範囲、養子自身は皇位継承権を持たない。このようなことについて、「慎重に制度設計を行う」としていて、必要があれば「一定年数ごとに見直す」としています。ただ、養子の子どもに皇位継承権を与えるかどうかまでは明記していません。一方で8日、森衆議院議長は「男の子が生まれれば、その子は皇位継承権を持つことになる」と述べました。
◆天皇制に詳しい名古屋大学大学院の河西秀哉教授に聞きました。

河西教授は「一定の案がまとまったことは評価できる。ただ、与野党で妥協できるところを探ったものであり、玉虫色の結論に至っている。そもそも、女性・女系天皇の議論を対象外にしている」としています。

旧宮家の男系男子を養子に迎える案については「旧宮家の男系男子は、現在、10人前後いると言われている。ただ、皇族の経験が一度もないのに、すべてを投げうって皇族に入る人がいるかどうか。制度を作っても誰も来ない可能性がある。

また、どこの誰をどう招くか、皇族費(生活費)をいくら払うか、何も決まっていない。国民感情的に受け入れられるかも不明。先送りになっている部分も多いので、今後の議論や成り行きを国民がきちんと見守っていく必要があるのでは」との見解を示しています

今後ですが、10日に与野党で協議し、正式に“立法府の総意”をとりまとめたい考えです。その後、政府がこの立法府の総意に沿って、皇室典範の改正案を作成し、今国会での成立を目指すといった流れになっています。
