森友学園を巡る文書改ざん問題について、自民党の片山さつき参議院議員がAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』(17日放送)に出演、元官僚の立場から解説した。
まず文書から削除されていた「特殊性」という言葉について片山氏は「"特別な"とか"特殊性"というのは行政用語であって、感情的な意味ではない。予算決算及び会計令的に見て例外的だからそう記述したのだろう。法律でも例外として認められているところを通って決済されたのだろうが、何十年に一度の、担当者としても初めてのケースだったのだろう。貸すなら普通3年のものを10年にして分割払いも認めて、しかも"売却予定"という形を取った。これは本省に上申する必要がある。また、埋設物の全容も価格的に見えておらず、相手に訴訟を提起されるリスクもある中で売った。これはメディアの皆さんが書いてくださらないことだが、普通、国がものを売る時には民間の売り主と同様に瑕疵担保責任を負う。そこを瑕疵担保責任はないと認めさせたのは、現場の財務局の方が頑張ったと思う。だからそんなに悪いディールではなかったが、ものすごく特殊だ」と説明。
そして、文書の決裁プロセスに関しては「一番細かいことが書いてある決裁は、理財局次長まで上がったもので、電子決裁だそうだ。私が想像するには、それを起案したのは理財局の下の方の人で、売却取引にも交渉にも関わったわけでもないから、正確に作ろうと思ったら、当時まだ存在していたであろうメモなどをコピペするしかなかったのかなと。今の40代以下の人を見ていると、文書を短くまとめるのがすごく苦手で、コピペで長くするのがとても上手い。我々の感覚では、こんな長いものは編集する。本筋とは関係ないから。これだなと思った。そもそもこの案件は10億円以下の売却で、通常であれば局長は中身を見ない。近畿財務局の管財部次長までだ。それが"特殊性"があるので上まで回ってきて、決裁をした人は見たことになっている。もちろん全部読まなければいけない建前だが、50代以上の人がクリックして全部読むかというと怪しい、"まあ下がしっかりやっているんだろう"という感覚だろう。出てきた文書とされるものを拝見すると、なぜこの程度のものをわざわざ隠したのかと思う。誰かに相談してくれれば、こうなる前に解決することはいくらでもできたと思う」との見解を示した。
その上で「まさかこんな改ざんがあるとは思っていなかった。決裁文書を国会答弁に合わせて変えてしまうということはあってはならないこと。議会の権威も大きく傷ついた。年金記録問題などがあって公文書管理法を作った時には、今の有権者のみならず、将来の有権者から見ても"あの時どうしてこうなったのか"が検証できるようにしようという非常に高邁な精神だった。しかし罰則はなく、全く根付かなかったということ。たしかに公文書法が作られた時、議論がふわっとした形で終わってしまって、不十分と言えば不十分だった。今後、罰則の付与と"変えてはいけない。公表しなければならない。保存もしなければならない"公文書がどこまでなのかということを誰にでも分かるよう、ビシッとマニュアル化したものを作らなければいけない」と指摘した。
また、今回の背景にあったとされる政治主導、内閣人事局の存在によって"忖度"が生まれたという議論については「2000年にニュー・パブリック・マネジメントを導入し、情報公開法も作って霞が関はだいぶ変わった。大蔵省も財務省になって、ただの役所になった。国民に選ばれた国会議員がそれを決めたのだから、時代の要請だったのだろう。その頃から民主党政権のときも含め、縦割りを排除するにはどうしたらいいかの議論をずっとしてきて、今の内閣人事局的な一元化や、採用の一元化まで話してきた。それでも日本はまだまだ政治よりも官僚の方が強い。国会議員は選挙で選ばれるが、官僚は一度も選ばれず強大な権限を手にする。これをなんとかするための劇薬として必要だろうと内閣人事局が導入されたが、あれから4年が経ったので、もう一度国会も含めよく話し合ってファインチューニングする時期だろう。防衛省、厚生労働省、そして今回と、こういうことが明らかになったので、中立的な機関にもっと権限を持たせた方がいいという議論も党派を超えてでてきている」と訴えた。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)