近年、問題視されている“ブラック企業”。時間労働、低賃金、残業代の未払い、上司のパワハラ……そんな悩みを抱える人たちが相談する場所が、各都道府県にある労働局の窓口だ。
全国の労働局に寄せられた「自己都合退職」に関する相談の割合は、平成29年度で12.8%。約4万件もの「辞めたい」という相談が殺到したという。以前は「解雇」に関する相談の方が多かったが、平成27年に割合が逆転した。
なぜ「辞めたい」という相談が絶えないのだろうか。SHELLYがMCを務める『Wの悲喜劇~日本一過激なオンナのニュース』(AbemaTV/アベマTV※毎週土曜23時から放送中)では、想像を絶するブラック企業を生き抜いた女性たちが登場。衝撃的な実体験を打ち明けた。
(▲MCのSHELLY)
SHELLYが「会社を辞めるのって、そんなに大変なんですか?」とブラック企業経験者に聞くと、ゲストは口を揃えて「怖い」と回答。過去、職場のパワハラとセクハラに悩んだフリーライターの小林リズムさんは「1カ月前に言わないといけない。でも、本当は今すぐ辞めたい。『1カ月いられるなら続けているよ』っていう話」と意見。出版関係のブラック会社に勤務していたkahumoiさんは「(自分が辞めることで)皆に迷惑をかけるのが怖かった」と本音を語った。
(▲イラストレーターでセラピストのkahumoiさん)
kahumoiさんは「働き始めて半年経った頃に鬱っぽくなってしまい、病院に行って薬をもらって仕事をしていた。でも、もう無理だと感じたので、抱えていたプロジェクトが終わるタイミングで言おうと思った。何かされるのではないかという恐怖もあったので、お医者さんに診断書をいただいて、それを持ちながら辞めました」と当時の状況を説明。
いざkahumoiさんが話を切り出すと「意外とあっさりとした反応。受理されてから1カ月後くらいには辞められました」と、予想外にもあっさり退職が受理された。
(▲フリーライターの小林リズムさん)
一方、小林さんが働いた会社の経営者はセクハラとパワハラのオンパレードだった。
「当時、勤めていた会社の経営者は二つの理論を“真理”として掲げていて、一つが『男は穴に入れたいと思っている』、二つ目は『夫婦はお互いを殺し合いたいと思っている』で、それを世の中の“真理”としてホワイトボードに書いていた。『もう無理』と思ったとき、“真理”について意見を聞かれて『意味わかんないです』と答えたら、おしぼりを投げられて『お前はもう要らないから出ていけ!』と言われました」
飲み会にクビを宣告されたと話す小林さん。急いでその場から出て行き、後日内容証明書付きで退職届を送った。
労働組合であるプレカリアートユニオン・執行委員長の清水直子さんは「退職届けを出すのに対面する必要はない」と話す。労働者側から申し出る退職は、原則として「自由である」と憲法で定められている。民法上も、基本的に2週間前までに退職届を提出すれば問題ない。ただし、給与の支払われ方や雇用期限など、ケースによって退職届を出すルールが異なることも。
(▲「EXIT」代表の新野俊幸さん)
EXIT株式会社は「会社を辞めづらい」と悩む人に、退職代行サービス「EXIT」を世界で最初に始めた。
代表の新野俊幸さんは「自分自身が3度の退職を経験したことがあるが、めちゃくちゃ言いづらかった。言ったら言ったで引き留められて精神的な疲労が大きかった。そこで、精神的な負担をアウトソーシングできるサービスに需要があるのではないかと考えました」とサービス立ち上げの理由を語る。
(▲「EXIT」代表の岡崎雄一郎さん)
同じく「EXIT」代表の岡崎さんは「一緒にこのビジネスをやろうと約束したとき、新野くん自身もなかなか会社を辞められなかった。小学校の同級生なので、新野くんが決して気が弱いわけではないことも知っていました。そんな彼でも『会社ってなかなか辞められないものなんだ』と実感しました」と明かした。
EXITの退職代行サービスの具体的な内容は、退職に関する連絡の仲介だ。例えば、EXITが社員の代わりに会社に電話をかけて「◯◯さんがもう今日から行けないとおっしゃっています」と、退職の意志を代わりに伝えている。岡崎さんは「本人と連絡が取れないと手続き上困ることが出てくるので、制服や貸与物の返却や必要書類の送付などについては、EXITが仲介する」と説明した。
収録の段階では、EXITへの依頼件数は月に300件、相談は月に1000件前後。女性は3割程度で、男性の依頼の方が多い。岡崎さんによると「女性にもセクハラなどに悩んでいる方は多い。どちらかというと男性の方がきつい言葉を受けやすいようです。女性には怒鳴らない上司も多い」と分析する。
退職代行の依頼が多い会社や業界の特徴について、新野さんは「業界では製造業が多い。後は、最近IT業界が増えています。他には、やや人手不足の飲食や建設、福祉など」と説明。
岡崎さんは「変わりどころでは、神社の巫女さんもいました。神社は宗教法人になりますから、会社と同じように退職手続きを行います。退職の内容は『宮司からのパワハラがとんでもない』と。神社のことを考えるだけで吐き気がすると言って、泣きながら電話をかけてきた巫女さんもいました。日本の古い体質が残っている業界だと思います」と“ブラック神社”の存在を明かした。
依頼者の特徴について、岡崎さんは「真面目な人が多い。極端な話、仕事はバックレちゃえばいい。でも、それができないという人。本来、人が抜けても回っていくようにするのは会社側の責任。辞めにくい人の場合、自分の責任のように感じてしまう」と解説。新野さんも「自分よりも会社を大事にしてしまう人が多いです」と同意する。
岡崎さんによると、保育園や幼稚園も退職が難航しがちだという。岡崎さんは「女性で言うと、保育士や幼稚園の先生などは、子どもを思ってやめられない人が多い。理由は分からないですが、保育園や幼稚園はすごく面倒くさいことが多い。園長先生がひどい人だと30分延々と怒ってくる。僕たちがひたすら謝っています」と苦労を明かした。
新野さんは「保育園、幼稚園に限らず、基本的にワンマン経営や家族経営は独自のルールでやっている人が多く、話が通じない人もいます。病院の受付に務めていた女性の方で、医師からカルテの角で殴られるというパワハラ相談もありました」と実際にあった相談例を紹介した。
岡崎さんが最もひどいと感じたのは、とある建設業界で起きたパワハラ。岡崎さんは「クレーンで吊るされたり、服を破かれたり、ヘルメットがへこむくらい鉄の棒で殴られるという例もありました」と衝撃のパワハラ事例を語った。
(C)AbemaTV
(AbemaTV『Wの悲喜劇』より)