小林容疑者の“逃走劇”で浮かび上がる矛盾と問題点 舛添氏「日本の司法制度全体を見直す時期に来ている」
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 23日朝、神奈川県愛川町で実刑が確定した男が逃走した事件で、行方を追われていた小林誠容疑者(43)が横須賀市内の知人アパートに潜伏しているところを逮捕された。

 傷害などの罪で実刑が確定した同容疑者は19日、愛川町の自宅から刃物を持ったまま車で逃走。その後、神奈川県内の知人宅を転々としていたと見られており、警察は今朝、横須賀市内のアパートに知人といる所を見つけ、公務執行妨害の疑いで逮捕した。横浜地裁によると、数十人の警察官がアパートを取り囲んで数分間に渡って説得したところ、小林容疑者が抵抗せずに出てきたため逮捕に至ったという。現在、小林容疑者の身柄は横浜地検に移されており、これから本格的な取り調べが行われる。なお、小林容疑者の立ち回り先として警察が把握していた自称・建築業の幸地大輔容疑者(38)も犯人蔵匿の疑いで現行犯逮捕されている。

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「(小林容疑者が)横須賀にいるということは、事前に警察が把握していた」

この件についてそう話したのは、23日にAbemaTVで放送された『Abema的ニュースショー』に出演した元埼玉県警捜査一課の刑事である佐々木成三氏。佐々木氏は「朝方、数十人が現場に向かっているので、ある程度態勢が整ったうえで踏み込んだということ。夜間の逮捕は証拠隠滅や逃走されたりした際に視認情報が悪いので、朝方の場合が多い」と明け方の逮捕劇となった事情を説明すると、「いずれは出頭するつもりだったのだろう」という見解を次のように示した。

「ずっと逃げ回るということではなく、いずれ出頭するつもりだったはず。その理由として挙げられるのが覚せい剤。自宅にも使用後の形跡が残っていたことから、覚せい剤が切れる期間は逃げ切ろうという考えだったのだろう」

 この見解に対してMCを務める千原ジュニアから「覚せい剤が抜けきる期間」について質問を受けた佐々木氏は「人それぞれだが、尿に関していえば1週間」と答えると「もう少し逃げたかったのでは」と小林容疑者の考えを推察。さらに逃亡直後の散髪に関しても、証拠隠滅を図った可能性を指摘した。

 そもそも小林容疑者は窃盗の罪で懲役3年8カ月の実刑が確定していたが、裁判中に保釈されており、4カ月に及んで収容に応じていなかった。そのため横浜地検は収容すべく警察官二人に応援を要請。7人体制で小林容疑者の自宅を訪れたが、その際に「準備をするから出ていけ」と言われ、その後、刃物を振りかざして現れた小林容疑者に逃走を許した極めて珍しいケースとされているが、今回の事件を考えるとき、ある疑問が浮かび上がる。それは「何故、7人もいて逃げられたのか」である。

 そのことについて佐々木氏は「今回については保釈中の人間。保釈を認められるということは『逃走の恐れがない』『証拠隠滅の恐れがない』という認定を裁判所から受けていることになる。4カ月間、出頭はしなかったが連絡は取れていたのだろう。そのため、『逃走の恐れはない』という認識のもとで7人が現場に赴いたはず。本来は赴いて収容されるので、収容状を執行するのは稀なケース。その場合は検察庁が主導となるので、警察はあくまでも応援という形になる。以前、自分も収容状の執行で応援に立ち会った経験があるが、前日の夜にそのことを知らされた。そういった初めて顔を合わせる人たちがコミュニケーションをとるのは難しく、7人が行っていても、現場での統制がとれていなかったのだろう」と話すと、逃走の可能性をある程度想定できていなかったことについては「粗暴性の有無や過去の犯罪歴などを調べておくべきだった」と続けた。

小林容疑者の“逃走劇”で浮かび上がる矛盾と問題点 舛添氏「日本の司法制度全体を見直す時期に来ている」
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 この話を聞いた国際政治学者の舛添要一氏が「収容状が無い限り、出頭要請に強制力はない。正当な理由がなく出頭を拒否した場合は罪にあたるという法整備を国会で行うべきだ」と持論を述べると、フリーアナウンサーの馬場典子氏は「逃げないということで保釈中だったのに、実質的には収監と同じ身分の人が逃げたに等しい」と問題点を指摘。すると佐々木氏は「収容状が執行されていないので、まだ受刑者でもない。過去に例もあったかもしれないが、ここまでの規模は初めてだ」と苦笑いを浮かべると「裁判中の保釈であれば被告人だが、本件は裁判が確定しているので被告人でなければ、受刑者でもない。そのため逃走に関しては罪に問われない。今後は包丁を持って屋外に出た銃刀法違反、さらに公務執行妨害、覚せい剤取締法違反などについて問われることになるだろう」と話した。

 この法のグレーゾーンについて「おかしいなぁ……」と怪訝そうに首を傾げた千原ジュニアは「逃走した人間について罪は問われないのに、匿った側の人間は罪に問われる」と漏らすと「検察と警察の距離の遠さに問題があった」と主張。この主張に対して佐々木氏は「実際に警察官が逮捕することになれば、逃げるときはどこに逃げるか、窓を割った際の逃走経路は、車を持っているのであれば、車の前に警察車両を停車させておくなどを2、3日かけて入念に確認する。そこが『逃げるだろう』という前提で逮捕に向かう警察と、『逃げないだろう』とシミュレーションが足りなかった検察の意識の違いだ」と説明を行った。

 これらの議論を受けて舛添氏は「日本の司法制度全体を見直す時期に来ている」と私見を述べた。

(C)AbemaTV

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小林容疑者の“逃走劇”で浮かび上がった矛盾と問題点

元刑事が小林容疑者逃走劇の矛盾点を指摘
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