サッカー日本代表を率いる森保一監督は21日にオンラインで取材に応じ、7月に日本で開催されるEAFF E-1サッカー選手権(E-1選手権)に向けた選手招集の方向性について明かした。

 国際Aマッチウィークから外れた期間に開催されるE-1選手権では、代表チームに選手の拘束権がないため国内組のみで臨むのが通例になっている。それは今大会も同様で「完全に国内組の選手だけで考えています」と森保監督は語る。

 招集の基準の1つになるのは、やはりJ1リーグでレギュラーをつかんでいること。そのうえで「カタールワールドカップに向けてメンバーに入っていく可能性のある選手たち」を選考していくという。

 一方で、未来を見据えた招集も考慮されている。森保監督は「先日、AFC U-23アジアカップを戦った選手たちからもA代表に来てもらえるよう、リストアップをしています」と明かした。「J1でレギュラー」という基準は持ちつつも、そこだけにこだわることなく将来的に日本代表として戦えるポテンシャルを秘めた若手も抜てきしていく可能性を示唆した。

 また、「ワールドカップに出場した経験のある選手たちは、招集を見送っていくという考えを持っています」とも指揮官は語る。2019年の前回大会は、翌年に東京五輪が迫っていた当時の状況も考慮され、U-22世代の選手たちにも多くのチャンスが与えられた。

 MF田中碧やFW上田綺世、MF相馬勇紀らはE-1選手権で貴重な経験を積み、新型コロナウイルスの影響で1年延期された東京五輪でも重要な役割を担った。しかし、今大会は五輪を意識した強化ではなく、Jリーグで結果を残している選手にワールドカップへ向けた最後のチャンスが与えられる大会になりそうだ。

「今回はワールドカップが目の前にあるので、選手が目標としているところに向けてE-1選手権でチーム作りをして、最終的にメンバーをどうするかを考えつつ、未来に向けても考えていくメンバー構成をしたいと思っています」

 これまで日本代表で長く主軸を担い、ワールドカップを経験してきた選手たちに関しては、わざわざE-1選手権に招集せずとも実力を把握できている。そういった意味でも、森保監督は「未来に向けて」他の選手にチャンスを与えることを重視する。

 指揮官の言葉を聞く限りでは、E-1選手権にDF長友佑都やDF酒井宏樹、FW大迫勇也らの招集を見送る方針の様子。とはいえ、それはあくまで「招集しない方向」であり、「招集しない」とは断言していない。状況しだいではメンバー入りの可能性も残されている。

 果たして韓国代表や中国代表、香港代表と東アジアNo.1を争う舞台でどんな選手たちが躍動するだろうか。フレッシュな面々になることが予想される日本代表で、カタールワールドカップに向けてアピールに燃える選手たちの健闘に期待したい。

(取材・文:舩木渉)