11月20日に幕を開けたカタール・ワールドカップ。日本の初戦は大会4日目の23日、ハイファ国際スタジアムでドイツ代表と対戦する。

 優勝候補の一角に、森保ジャパンはいかに立ち向かうか。大金星を挙げられるか。国内外のサッカー事情に精通し、今大会も現地で取材する河治良幸氏に、ドイツ戦で勝点を奪うための三大ポイントを挙げてもらった。

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【ポイント1/ボールを奪う位置の見極め】

 当たり前だが、イングランドに2-6で敗れたイランにも見られた通り、強豪相手にチャレンジャー側が先制点を奪われると、ほぼほぼ試合が決まってしまう。

 ドイツは可変性の高いビルドアップを得意としている。ハイプレスを効率良くかけるために、基本システムは4ー2ー3ー1でほぼ固定するが、ボールを握ると左右サイドバックのどちらかが高い位置に上がって、反対側のサイドバックは中に絞ったり、ボランチが最終ラインに降りたりする。

 押し込んだ時には左右のサイドバックをウイングの位置まで上げて、左右サイドハーフを中に入れるなど、いろんな形があるが、それをかなり短い時間帯で変えてくる。

 こうしたビルドアップに全て対応しようとすると、日本のディフェンスは立ち上がりから運動量を求められるし、体力を消耗する割にフリーで前を向かれて、縦に運ばれたり、簡単にパスをつけられてしまうだろう。

 ハイプレスをやり切るなら、相当の覚悟を持ってやり切る必要はあるが、現実的にはミドルゾーンにコンパクトなブロックを作りながら、1トップがドイツの攻撃方向を規制して、侵入してくるところを中盤で奪うことができれば、ショートカウンターよりは少し距離が長めのカウンターから何度かチャンスは作れるはずだ。
 
【ポイント2/中央のデュエルで絶対に負けない】

 ドイツ戦に関しては、サイドである程度ボールを持たれるのは仕方がないと割り切るべき。左サイドバックのダビド・ラウムがかなり高い位置を取って来るが、シンプルなクロスにFWがヘッドで合わせて得点を狙うチームではないので、大外で持たれる分には大きな不安はない。

 一度は外が起点になろうと、ジャマル・ムシアラやカイ・ハベルツが中で勝負してくる動きはかなり危険なので、やはり遠藤航には獅子奮迅の働きが期待されることに加えて、もう一人のボランチもドリブルで入れ替わられたりしないようにする必要がある。

 セルジュ・ニャブリやレロイ・ザネも起点はワイドでも、バイタルエリアあるいはゴール方向に矢印がある選手なので、左右のサイドバックはある程度、付き切ってでも中央を破らせない対応が生命線になる。

 最も怖いのは、二次攻撃やボールを即時奪回したところからのショートカウンターで、これが続くと日本はかなり苦しい。ただ、どれだけうまく戦っても何度かは必ずあるので、そこで6月のブラジル戦などでも見られた、ギリギリのところで身体を張り切れるかというのは重要なポイントになる。
 
【ポイント3/ショートカウンターの質】

 おそらく、どれだけ上手く戦えても、1試合の中でそう多くのチャンスは来ない。4回ないし5回、流れからの本当のビッグチャンスは1回か2回だろう。

 相手のビルドアップのミスをFWやサイドハーフが引っ掛けるようなシーンがあれば“プレゼント”だが、中盤でボールを奪えた直後に、ファーストパスが2列目の選手に通ったところからもたらされると見ている。カナダ戦で久保建英が惜しいシュートを打ったようなシーンは、ドイツ戦でも何とか作ることは可能だろう。
 
 確実にゴールを仕留めるにはもう1つ。前のところでのチャンスは欲しいが、W杯でチャレンジャー側が強豪国を倒す時は、セットプレーかスーパーゴールであることが多い。

 スーパーゴールを決めるポテンシャルのある選手は久保や鎌田大地など複数おり、ドイツ戦ではボックス内からフリーで決めるシーンより想定できる。もちろんドイツの守護神はワールドクラスのマヌエル・ノイアーだが、臆することなく思い切って狙い、ゴールをこじ開けたい。

文●河治良幸

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