藤井聡太王位・棋聖が作った記録の数々 最年少記録はプロ入り、タイトル獲得など独占状態に
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 現在の将棋界において、最も有名な棋士の一人として挙げられるのが藤井聡太王位・棋聖です。中学2年生だった、14歳2カ月という史上最年少でのプロ入りを果たすと、その後も天才レベルの棋士が揃う中で、次々と最年少記録、最多記録などを更新しました。今後もさらに新たな快挙を達成し続けるだろう令和の天才棋士の記録について振り返ります。

藤井聡太王位・棋聖が活躍するプロの将棋界はどんなところ?

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 プロの将棋界は早くから、それこそ小学生時代から全国大会などで好成績を収める「天才少年」たちが集まったような、超エリート集団です。プロである「棋士」は、その多くが小学生時代に育成機関である「奨励会」に入ります。6級からスタートし、三段リーグで優秀な成績を収めると、ついにプロである四段になれますが、四段昇段できるのはレアケースを除いて年に4人だけの狭き門。年齢などで引退する棋士もいることから、棋士の人数は例年約160~170人になっています。

藤井聡太四段 炎の七番勝負
藤井聡太四段 炎の七番勝負

藤井聡太王位・棋聖の基本情報

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 小学生のころから将棋界では「天才少年」として有名だった藤井聡太王位・棋聖。前評判通り、さらにはそれ以上の活躍を見せ、最年少でのプロ入りを果たしました。まずは藤井聡太王位・棋聖の基本情報を確認します。

藤井聡太四段 炎の七番勝負
藤井聡太四段 炎の七番勝負
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藤井聡太王位・棋聖の基本情報【プロフィール】


 藤井聡太王位・棋聖は、2002年7月19日生まれ、愛知県瀬戸市の出身です。5歳時に祖母から将棋を教えてもらったことをきっかけに、すぐに上達し始めると、地元の将棋道場でも知られる存在となりました。奨励会に入会するとアマチュア大会には出られないのですが、藤井聡太王位・棋聖は小学4年制の時に入会。それまでには小学生大会などで優秀な成績を残していました。

 奨励会入会後も記録的なペースで昇級、昇段を繰り返し、2016年10月についに四段昇段。14歳2カ月でのプロ入りは、加藤一二三九段が持っていた14歳7カ月を更新しました。ここから藤井聡太王位・棋聖による、日本中を大いに沸かせ続ける快進撃が始まります。

藤井聡太四段 炎の七番勝負
藤井聡太四段 炎の七番勝負
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藤井聡太王位・棋聖の基本情報【仕草・趣味など】


 プロ入りから4年が経過した藤井聡太王位・棋聖ですが、様々な視点から注目を集めています。対局に関するもので言えば、自分の初手を指す前にお茶を一口飲む「初手お茶」は、ファンの間でも有名なルーティンの一つです。対局中、集中が高まると盤に覆いかぶさるように前傾姿勢が深くなっていましたが、最近では少しずつその角度は緩やかになってきました。

 対局中、相手の立場になって考えることで、指し手をひらめくケースもあります。対局者が離席している際、相手側に回って確認することもありました。加藤一二三九段がよくしていたことから「ひふみんアイ」とも呼ばれましたが、最近では脇息(きょうそく)に突っ伏し、目元をハンカチで押さえながら考えこむことで、脳内で盤をひっくり返して考えているといいます。

 生活の中で、時間さえあれば自然と将棋のことを考えている、という藤井聡太王位・棋聖ですが、趣味と実益を兼ねていると言われるのが自作のパソコン。パーツを買い集めて、高性能のパソコンを組んでいます。これは将棋ソフト(AI)による研究目的で、短い時間で効率よく、さまざまな選択肢を確認できるとして、最高レベルのパソコンを用いています。

棋聖戦第1局 最強の渡辺棋聖と対局!藤井七段、最年少タイトル挑戦
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藤井聡太王位・棋聖の記録

藤井聡太王位・棋聖が作った記録の数々 最年少記録はプロ入り、タイトル獲得など独占状態に
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 最年少でプロ入りした藤井聡太王位・棋聖だけあって、節目となる数字や昇段などが、次々と最年少記録になっています。また最年少だけでなく、将棋界の長い歴史の中でも史上初、史上最多という記録も打ち立てています。これまでの記録たちを年度別に振り返ります。

初タイトル獲得記者会見
初タイトル獲得記者会見
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藤井聡太王位・棋聖の記録【2016年度】


 藤井聡太王位・棋聖が最初に注目を集めたのが、2016年10月のプロ入り。14歳2カ月で史上5人目となる中学生棋士になりましたが、従来の記録を5カ月ほど更新しました。同年12月に、それまでの記録を保持していた加藤一二三九段とデビュー戦を戦いましたが、2人の年齢差は実に62歳6カ月。最も年齢差が大きい対局にもなりました。

藤井聡太四段 炎の七番勝負
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藤井聡太王位・棋聖の記録【2017年度】


 前年度、デビュー以来から10連勝としていた藤井聡太王位・棋聖ですが、年度をまたいで11連勝となり、デビュー以来の連勝記録を更新します。ただ、この連勝は新人記録に留まらず、2017年7月に佐々木勇気七段に竜王戦の決勝トーナメントで初めて敗れるまで継続。その数は過去の連勝記録を更新する29連勝となり、日本中に知れ渡る大きな話題となりました。

 2月には順位戦C級2組から同1組への昇級を決めたことで、最年少で五段昇段。さらに同じく2月に朝日杯将棋オープン戦で優勝しました。最年少での一般棋戦・全棋士参加棋戦での優勝を果たすとともに、六段にも昇段。五段昇段からわずか16日後に、また昇段するという記録も作りました。藤井聡太王位・棋聖、15歳6カ月の時のことです。

第11回 朝日杯将棋オープン戦 準決勝・決勝 藤井聡太五段最年少優勝
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藤井聡太王位・棋聖の記録【2018年度】


 2018年5月に竜王戦5組ランキング戦で決勝進出を果たしたことで、「竜王ランキング戦連続昇級」という昇段規定をクリア、最年少15歳9カ月で七段に昇段を果たします。また7月には、史上最速で100局に到達。2019年2月には朝日杯将棋オープン戦で連覇を果たしたことで、一般棋戦連覇の最年少記録16歳6カ月を打ち立てました。

若手vsトップ棋士 魂の七番勝負 第三局 藤井聡太四段 vs 行方尚史八段
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藤井聡太王位・棋聖の記録【2019年度】


 タイトル戦絡みを除く最年少記録を塗り替え続けてきた藤井聡太王位・棋聖だが、2019年度は史上初の記録も作ります。対戦相手のレベルも上がり続ける中、勝率を落とすことなく勝ち続け、デビュー以来3年連続の年間勝率8割以上を達成しました。デビュー間もない新人棋士が7割を超えるような高勝率をマークすることはありますが、デビュー以来ずっと8割を超えているのは、異次元の強さといっても過言ではありません。

第1回AbemaTVトーナメントinspired by羽生善治 決勝 藤井聡太七段 対 佐々木勇気六段
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藤井聡太王位・棋聖の記録【2020年度】


 4月に竜王戦3組ランキング戦で決勝進出、4期連続での昇級を決めると、決勝では師匠・杉本昌隆八段に勝利。史上初となる竜王戦ランキング戦の4期連続優勝を成し遂げました。

 29連勝時に「藤井フィーバー」と呼ばれた藤井聡太王位・棋聖ですが、それから3年後に、フィーバー再来と言われる大盛り上がりを見せました。その理由は、最年少でのタイトル挑戦からの快進撃にほかなりません。6月に最年少17歳10カ月で最年少タイトル挑戦を決めると、そのまま棋聖戦でタイトル獲得に成功。将棋界で初となる17歳でのタイトルホルダー(17歳11カ月)となりました。さらに王位も獲得し、最年少18歳1カ月で二冠、さらに八段昇段となりました。

 12月に放送された銀河戦でも初優勝、同棋戦としては史上最年少での優勝を果たし、第2次藤井フィーバーを締め括る記録を作りました。

王位戦 七番勝負 第四局 1・2日目 木村一基王位 対 藤井聡太棋聖
王位戦 七番勝負 第四局 1・2日目 木村一基王位 対 藤井聡太棋聖

藤井聡太王位・棋聖、今後期待される記録

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 これからも多くの記録を作っていくと期待される藤井聡太王位・棋聖(八段)ですが、一番近いのが九段昇段です。九段の昇段規定は4つあり、1つでもクリアすれば昇段できますが、そのうち「タイトル3期獲得」は、なにかのタイトルであと1期獲得すれば達成できます。現在保持している王位、棋聖はもれなく防衛戦があり、どちらか防衛すれば渡辺明名人(棋王、王将)の持つ21歳7カ月という記録を大幅に更新できます。

 ハードルの高い最年少記録は、やはり最年少名人です。来期から順位戦B級1組に昇級する藤井聡太王位・棋聖ですが、記録更新には1期抜けが必要で、さらにA級初挑戦で挑戦権を獲得、一発で奪取に成功しなくてはいけません。谷川浩司九段が持つ21歳2カ月の更新はそれだけ険しい道です。一方、羽生善治九段が持つ竜王の最年少記録、19歳3カ月の更新は今期がラストチャンス。現在、2組ランキング戦に参加していますが、準優勝以上で決勝トーナメントに進出。挑戦者となり、豊島将之竜王(叡王)からの奪取が条件です。

「将棋日本シリーズ」JTプロ公式戦 二回戦第三局 豊島将之竜王 対 藤井聡太二冠
「将棋日本シリーズ」JTプロ公式戦 二回戦第三局 豊島将之竜王 対 藤井聡太二冠

藤井聡太王位・棋聖の記録・対局について知れるサービス

藤井聡太王位・棋聖が作った記録の数々 最年少記録はプロ入り、タイトル獲得など独占状態に
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 藤井聡太王位・棋聖の記録について調べるには、やはり日本将棋連盟の公式ホームページが最適です。年度、通算の記録が個人別でわかるほか、タイトル戦・一般棋戦の歴代優勝者などもわかります。最年少記録などは、達成時に「将棋ニュース」として紹介されることもあります。

 記録達成の瞬間を見るための中継サービスとしては、「ABEMA」が挙げられます。最も多くの対局を配信しており、タイトル戦は王将戦を除く7タイトルを配信。一般棋戦でも、藤井聡太王位・棋戦の対局は、銀河戦を除いて配信をしています。王将戦、銀河戦を見たい人向けには、「囲碁・将棋チャンネル」が独占で中継をしています。リアルタイムで中継は見られないが、せめて棋譜だけでも見たいという人には、「日本将棋連盟モバイル(将棋連盟ライブ中継)」がおすすめです。棋譜・コメントを、過去の対局も遡って確認できます。

第3回AbemaTVトーナメント 表彰式
第3回AbemaTVトーナメント 表彰式

藤井聡太・王位棋聖の記録まとめ

 最年少記録を次々と塗り替えていく藤井聡太王位・棋聖。今後、さらなる活躍が続けば、いずれ数多くの最多記録も樹立していくことでしょう。現在、最多記録を最も多く保持しているのは羽生善治九段。国民栄誉賞も受賞したレジェンドの記録に、どれだけ近づけるかこれからも注目です。

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