敗者の弁とは思えないほどに力強かった。7月19日に行われた王座戦挑戦者決定戦。佐藤康光九段(51)は木村一基九段(48)に132手で敗れ、挑戦権獲得には届かなかった。勝てば故・大山康晴十五世名人以来、35年ぶりとなる日本将棋連盟の現役会長によるタイトル挑戦だったこともあり、戦前から多くの将棋ファンが注目していた。「少し攻め急いでしまった。もう少し最後、最善を尽くしたかったですが、ちょっと実力不足でした」と敗因を述べたが、その後に続いた向上心の結晶ともいえる言葉が、多くファンの感動を呼んだ。