2019年3月27日に1stシングル「キュン」をリリースした日向坂46。そのメモリアル企画として「日向坂46 デビュー2周年記念Special 2days」が開催された。今回の2日目公演では代表曲やこれまでのシングル楽曲が盛り込まれた、“ベスト盤”的なセットリストのライブパフォーマンスが繰り広げられた。

 「OVERTURE」が流れたあと、アメリカンスクールバスに乗って会場入りしたメンバーたち。アメリカの学生チアリーディング風衣装にオリジナルのスタジアムジャンパーを羽織った格好で、バスから降車し、ド派手な照明と炎による演出を用いた中でクールなダンスパフォーマンスを繰り広げると、オープニング楽曲に選ばれたのは「アザトカワイイ」だった。ライブの冒頭でいきなり昨年の 「NHK紅白歌合戦」で披露した楽曲で画面の向こうのおひさま(※日向坂46ファンの呼称)の興奮を誘うと、続けて流れてきたのはダンスビートに乗った“パリピちゃん”こと富田鈴花のラップ。体調不良のため富田は本公演を休むことになったが、日向坂46らしい22人の絆を感じさせる演出でオーディエンスの涙を誘うと、続けて「ソンナコトナイヨ」を熱くパフォーマンスした。

 3曲目「ドレミソラシド」では日向坂46とおひさまが約1年ぶりとなる感動の再会を果たした。本公演は配信形式だが、会場には限定で観客700人を招待。ステージを移動し、メンバーたちは客席でペンライトを振るおひさまの姿を確認すると、歌いながら涙を流すメンバーが続出。MCで佐々木久美が「ついにライブ会場におひさまが来てくれました! ちょっと感動しちゃいましたね」とコメントすると、加藤史帆も「ドレミの歌でみんな泣いてる声がすごい聞こえてて、すごいドレミだったね(笑)」と返し、笑いあった。

 高本彩花が「リハーサルの時から本番でおひさまが来てくれることをずっと楽しみにしてて。それでいざ、おひさまを目の前にしたら涙が止まらないや。私はずっとこんな日を求めていたんだなと思いました。幸せです」と涙を流しながら胸の内を明かすと、松田好花は「自分でも泣くかなと思っていたんですけど、“ドレミのファ~”部分で涙も“ファ~”って止まらなくなっちゃいました」とコメントし、会場の笑いを誘った。

 続けては新3期生の高橋未来虹、森本茉莉、山口陽世によるMCコーナーへと突入。2年前は坂道研究生として日々レッスンに励んでいた3人だが、日向坂46配属が決まった日のことを思い出し、森本は「3人で集まって泣いてたよね。とにかくうれしいって気持ちが大きかった」と語り、山口も「私も日向坂46が大好きで、幸せでした。先輩方もそうだけど、おひさまの皆さんもあたたかく迎え入れてくださって、本当に幸せです」と笑顔を見せた。新3期生がおひさまの目の前でライブをするのはこの日が初。高橋が「いざ本番を迎えたらペンライトが客席の一面に広がっていて、すごくきれいで感動しました。これまでリハーサルを頑張ってきてよかったと思いました」とコメントすると、客席からはあたたかな拍手がステージに向け送られた。

 それから前身グループ・けやき坂46時代のライブ定番曲「ひらがなで恋したい」でオーディエンスを興奮へと誘うと、1期生のみで「僕たちは付き合っている」を届けた。ハードなサウンドが印象的な楽曲「抱きしめてやる」でさらにおひさまをヒートアップさせると、メロディアスな楽曲「君に話しておきたいこと」を真っ直ぐに届けると、2期生のみで「半分の記憶」を披露。さらに1期生のみで「永遠の白線」をフレッシュにパフォーマンス。曲のラストでは佐々木久美が“見えるポーズ”を決めて、画面越しのおひさまを歓喜させた。

 ここでライブは2期生のMCパートに突入。渡邉美穂から「この2年間、ひよたんはどうだった?」と話を振られ、濱岸ひよりは「休業してしまった時期もあったり、このご時世の中、なかなかおひさまの皆さんに会えなかったりだったけれど、今日はこうしておひさまに会えたことがすごくすごく幸せです!」と声を弾ませた。またこの日のライブをお休みしている富田に向け、花ちゃんズ相方の松田は「さっき懐かしのひらがなの曲をやらせてもらったんですけど、『がな恋』も『抱きしめてやる』も『君話』も全部、鈴花とポジションが隣なんですよ。だから全部の曲で鈴花のことを思い出しながら、パフォーマンスしてました」と伝えていた。

 3rdシングル曲「こんなに好きになっちゃっていいの?」を情感たっぷりに歌い上げると、いよいよライブは後半戦へ。アップテンポなサウンドの「キツネ」をパワフルに届けると、挑発的なナンバー「My fans」ではセットから轟々と火柱が上がる。

 けやき坂46時代の1stアルバムのリード曲「期待していない自分」の後は、ライブの定番曲「NO WAR in the future 2020」をパフォーマンス。曲が終わると佐々木久美は「いやぁ、楽しいね! こんなにもおひさまがいてくれるだけで違うんだね!」と満面の笑みを浮かべていた。

 「次にやる曲は私たちも歌っていて勇気が出るし、聴いてくださる方もそう仰ってもらえる曲です。まだまだおひさま全員とお会いし難い世の中ですけど、この曲を聴いてもらって皆さんに勇気を与えられたらと思います」という佐々木久美の力強い言葉から繰り出されたのは「青春の馬」だった。パワフルなステージングで、言葉通りおひさまに勇気を届けると、本編ラストの楽曲に選ばれたのは「JOYFUL LOVE」。ペンライトを掲げたおひさまたちが客席を虹色に彩ると、ステージにもAR演出で合成された虹の景色が広がった。

 新型コロナウイルスの感染防止対策のため観客が声を出せないという状況を受け、画面上には過去のライブでファンがアンコールを求める映像が流された。おひさまたちの“心のアンコール”が届き、メンバーたちが再びステージに登場すると、日向坂46はデビューシングル表題曲「キュン」からアンコールをスタート。

 MCでは日向坂46主演の声優青春ドラマ「声春っ!」(日本テレビ)が4月28日からスタートすること、そして前作の「ソンナコトナイヨ」から実に1年3カ月ぶりとなる待望の5thシングル「君しか勝たん」が5月26日にリリースされることが発表された。ドラマについて佐々木美玲は「豪華なキャストの皆さんとご一緒させてもらっていて、毎日“うわぁ”と勉強になることばかりで、楽しかったです。皆さんぜひよろしくお願いします」とアピールしていた。

 最後にグループを代表してキャプテンの佐々木久美が挨拶。「2020年は東京ドーム公演や全国ツアーも予定されていたけれど、世の中が大変なことになってしまいました。今までとまるっきり環境が変わってしまって、これまでは当たり前のようにおひさまの皆さんと顔を合わせていて、大事なのはわかっていたつもりでも、離れてみて皆さんが私たちにとってこんなに大事なんだってことに気付きました。そして今日こうやって楽しい時間を共有出来て、素敵なおひさまと出会えて、日向坂46になって本当によかったなと思います。2021年はもっと全員でおひさまの皆さんの前に立ちたいと思います」とコメントした。そしてアンコールの最後には“東京ドームで単独公演を行う”夢を歌った「約束の卵 2020」を全員で真っ直ぐに届けた。

 今回は日向坂46のライブの魅力でもあるファンタジーな世界観の演出はグッと抑えられ、真っ直ぐに楽曲を届けるという姿勢が印象的だった。また画面上にはデビュー2周年を祝うおひさまからのメッセージが浮かび上がったり、巨大なモニターに抽選で選ばれたおひさまたちがリモートで応援する姿が映されるなどの仕掛けも施されていた。

 ライブでは、けやき坂46時代に発表された楽曲もたっぷりと披露された。MCで佐々木久美が「けやき坂46時代の曲はいい曲が多い。これからもしっかりと歌い継いでいきたい」と語っていたが、初期から応援しているファンにとってはうれしい言葉だったのではないだろうか。

 「2回目のひな誕祭」では2020年11月から体調不良で活動休止していた宮田愛萌が4カ月ぶりの復帰するというグッドトピックもあった。残念ながら富田の体調不良で、22人のメンバー全員がステージ上に揃わなかったが、しっかりと富田はラップで参加を果たし、今回も全員一丸となって前へ進んでいくというグループの絆を見せてくれた。

 昨年は夢だった東京ドーム公演が延期となったが、それでもメンバーたちは前を向き、オンラインライブなどを行って、おひさまにハッピーオーラを届け続けた。「約束の卵」の歌詞の通り、“苦しくても諦めない”姿勢を体現しながら、着実にファンの数も拡大させている。

 本公演のMCで佐々木久美が言っていたように、延期となった東京ドーム公演も予定されている。今年こそ“約束の卵”である東京ドームのステージで彼女たちが全力でパフォーマンスする姿が見られることを期待したい。

■日向坂46「日向坂46デビュー2周年記念~MEMORIAL LIVE:2回目のひな誕祭~」セットリスト

M00. OVERTURE

M01. アザトカワイイ

M02. ソンナコトナイヨ

M03. ドレミソラシド

M04. ひらがなで恋したい

M05. 僕たちは付き合っている

M06. 抱きしめてやる

M07. 君に話しておきたいこと

M08. 半分の記憶

M09. 永遠の白線

M10. こんなに好きになっちゃっていいの?

M11. キツネ

M12. My fans

M13. 期待していない自分

M14. NO WAR in the future 2020

M15. 青春の馬

M16. JOYFUL LOVE

EN1. キュン

EN2. 約束の卵2020

※高橋未来虹の「高」ははしごだかが正式表記

「“先が無い”仕事としてアイドルを選ぶのは悲しい」AKB48柏木由紀、“三十路アイドル”の決意 後輩が明かしたそれぞれのアイドル観
「“先が無い”仕事としてアイドルを選ぶのは悲しい」AKB48柏木由紀、“三十路アイドル”の決意 後輩が明かしたそれぞれのアイドル観
ABEMA TIMES
堀未央奈「最後のことは想像していない」 ありのままの自分で臨む乃木坂46としてのラストライブ
堀未央奈「最後のことは想像していない」 ありのままの自分で臨む乃木坂46としてのラストライブ
ABEMA TIMES