【映像】SKE48アリーナコンサート 私の兆し、皆の兆し ~あかねまちゅりだ!~
― 卒業を決めたきっかけを教えてください。
高柳:卒業自体は20代中盤を過ぎてからずっと頭の中にありました。“自分のタイミングで”と考えてはいたんですけど、グループ結成8~9年を迎えたあたりから、“せっかくなら10年までいよう”と思い、その日を迎えて、そしたら私たち2期生の10周年ももうすぐじゃんと欲が出て(笑)。晴れて、翌年に卒業を発表したら、コロナの影響で延期になり、今に至っています。
― アイドルの活動には「期限」があると考えての卒業ということでしょうか?
高柳:私はアイドルに期限はないと思っています。それこそ、アイドルにはいろんな形があって、1人で活動している人もいれば、固定人数で活動を続けるグループもある。ただ、48グループは常に新陳代謝があって、それこそ10歳以上も年齢の離れた子も入ってくるので、どうしても続けることが難しくなっていきます。ソロのアイドルというのも考えていなかったし、固定人数のグループでみんなで歳を重ねていく美しさもあると思うけど、48グループに所属している身としては卒業という選択肢は、避けて通れないものだと思っていました。とはいえ、卒業のタイミングはそれぞれだと思います。私の年代が48グループでは1番上で、須田亜香里ちゃんや、AKB48の柏木由紀さんや大家志津香さんも同い年。それぞれ現役バリバリで、今後もアイドルとしてやっていくという姿は、すごくかっこいいと思います。
アイドルに期限はない
― 高柳さんが当初、アイドル活動をスタートさせることに、周りはどんな反応でしたか?
高柳:高校2年生の頃、誰にも言わずにオーディションを受けたので、もちろんびっくりされたし、そのときはAKB48さんも総選挙を行なっていない時期で、“東京の秋葉原にアイドルがいるらしい”くらいの認知度だったと思うんです。私の周りにも、アイドルに偏見を持っている方は多かったですけど、自分の中で“アイドルになりたい”という気持ちが強くあったので飛び込みました。私自身、高校の頃はそんなに目立つ人間ではなかったんですけど、オーディションの映像が地元・名古屋の番組で流れたことでみんなに知られたんです。仲良かった子にも報告していなかったので、みんながどう思うのかは不安ではありましたけど、すごく応援してくれました。
SKE48はかっこ悪いことを全力でやれるのが強み
― 高柳さんから見たSKE48はどんなグループでしょうか?
高柳:ずっと変わらないと思うのが、少し体育会系のノリというか、それこそオーディションを受ける前に1期生のステージを見たときに、アイドル特有のキラキラした感じではなく、1つのスポーツのように思えたんです。そんなところが私にはかっこよく映って、“楽しそう”とオーディションを受けました。その姿勢は続いていると思います。私たち先輩が“ステージ上でがむしゃらになることを恥ずかしいと思わない”ということを伝え続けていたので、それが後輩たちに継承されているというのはうれしいですね。
― 高柳さんはそれを体現し続けた1人です。
高柳:そうですね。昔はアイドルってかわいい姿だけを見せるという考え方が強かったと思うんですけど、ライブ中のSKE48は本当に髪の毛もぐちゃぐちゃになるし(笑)、汗でメイクが落ちちゃっている。でも、そんな全力の姿を届けるのが、グループの魅力だと思います。
― NMB48との兼任時代も経験されていますが、SKE48との違いは?
高柳:NMB48さんもすごくパワフルですけど、とにかくトーク力がめちゃくちゃ高いんです。土地柄なのか、笑いのハードルが異常に高くて、面白くない話をするくらいなら死んだ方がマシだと思っているんじゃないでしょうか(笑)。私も兼任時代は吉本の芸人さんと関わる機会も多かったですし、そういうところはすごく刺激になりましたね。
― パフォーマンスの面についての違いはどんなところに感じましたか?
高柳:フリが全然違うと思います。振付師が違うっていうのはもちろんあるんですけど、“グループの違い”というのを身に染みて感じたのが、NMB48はサビの振りはユニゾンが多いんです。それに対してSKE48は列ごとに振り付けが違ったりするので、そこが面白かったです。
― SKE48の強みは何だと思いますか?
高柳:SKE48はかっこ悪いことを全力でやれるのが強みだと思います。照れとか、プライドとか、そういうのはSKEで活動する上で逆にかっこ悪くて。私は名古屋で生まれ育ったので、あえて言いますけど、東京のようなキラキラした部分はSKEにはないんですよ(笑)。がむしゃらな泥臭さがSKEのかわいさであり、魅力であり、そんなところをきっとファンの方は応援したいんだろうと思います。例えば、自分の子供が全力で運動会に参加していたら、応援したくなるじゃないですか。
― 見守りたくなるような距離の近い関係とでも言うんでしょうか。
高柳:だと思います。活動初期の頃はどうしてもがむしゃらにパフォーマンスするのに恥ずかしさや照れが邪魔することもあるんですけど、その殻を破れば輝き出す子がたくさんいるんです。“理想としたアイドル像と違った”という葛藤もあるのかもしれないけど(笑)、その殻を破れるかが、SKE48メンバーには重要です。
― 長年の活動の中で後輩の変化も感じましたか?
高柳:後輩も“人が変わった”という子をたくさん見てきました。SKEって珠理奈さんも、私も、須田亜香里ちゃんも全員負けず嫌いなんです。その負けず嫌いに勝つには、強烈な負けず嫌いになるしかない(笑)。だから後輩たちも“なにくそ!”という気持ちなって、いつしか後輩たちも負けず嫌いになっていました。不屈の精神がSKEの中に根付いているんだと思います。
「おつかれ~」って感じです(笑)
― これからのSKE48に託したいこと、期待することを教えてください。
高柳:私がいつかSKE48のライブをお客さんとして観に行ったときに、変わらぬステージの熱量を感じられたらいいなと思います。その一方では、変わっていくことも大切だと思っていて。時代はどんどん変化していくし、新しい世代の子たちは新しいことを始めていくと思うので、いい意味でそんな姿も見せて欲しいですね。それでもSKE48の骨格にある、ガムシャラさは変わらないで欲しいです。
― 4月10日開催の卒コンでファンの方にメッセージを送ると思いますが、そこで自分はどんな感情になっていると想像できますか?
高柳:実は盛り盛りのセットリストになってしまって、あまりスピーチの時間は用意していなくて(笑)。喋ることも大切だと思いますけど、私はそれよりもライブが好きなので、歌って踊っている姿を1秒でも長く観て欲しいなって。当日、“ここで話していいよ”という時間は用意してもらっていて、喋ると思うんですけど、もしかしたらめちゃくちゃ長くなっていたらすみません(笑)。
― そこは感情に身を任せるというか。
高柳:毎年、総選挙や生誕祭でスピーチする時間があったんですけど、私は考えて挑むタイプではないんです。それで後悔したこともあったけど、その勢いのおかげで出来たこともあったので、ライブを通して“ありがとう”の気持ちや、“SKE48が好きだったからここまで頑張れた”というのを素直に伝えたいと思います。
― ライブを終えた後の「私へ」メッセージをお願いします。
高柳:「おつかれ~」って感じです(笑)。でも今私が1番気になるのは、悔いなくライブを終えられているかなというところ。1年半卒業ライブも延期になってしまったし、12年活動するなかで挫けそうになったり、それなりに落ち込んだり、傷ついたこともあったけれど、今は“終わり良ければすべて良し”と思っています。コンサートを終えて「幸せでしたか?」と自分に聞きたいかな。
― 最後に応援してくださっていたファンの方々にメッセージをください。
高柳:最後のコンサートに私の12年を詰め込みました。みんなに観てもらって「成長したな」とか「いいアイドルだったな」と思ってもらえたらうれしいです。私はグループを卒業してしまうんですけど、映像の中で“アイドル高柳明音”は存在し続けるので、そういう意味では私のアイドル活動は永遠に続くのかな。ぜひ、そんな最後の姿を、再配信で楽しんで欲しいですね。