アンダーライブが開催されるのは今年初めてで、昨年12月の東京・日本武道館3days公演以来となる。本公演では、6月9日にリリースされるニューシングル「ごめんねFingers crossed」収録のカップリング曲、「錆びたコンパス」で初のアンダーセンターを務める山崎怜奈が、座長を担当。ライブは山崎がパーソナリティを務める「山崎怜奈の誰かに話したかったこと。」(TOKYO FM)をモチーフにした「山崎怜奈のアンダラで話したかったこと」と題した、ラジオ番組風の演出が施されるなど、オンラインならでは仕掛けで観る者を楽しませた。

伊藤純奈「ライブは楽しむもの。全力で頑張るぞ!」

 3期生の伊藤理々杏、佐藤楓、吉田綾乃クリスティーによる影ナレが行われると、新曲「錆びたコンパス」からライブをスタートさせた乃木坂46。続けて「風船は生きている」「ここにいる理由」といった歴代のアンダー楽曲を畳み掛け、序盤から視聴者の目頭を熱くさせた。また、「My rule」をパフォーマンス中には、過去に冠番組『乃木坂工事中』(テレビ東京)でネタになった、山崎のダンスしている姿を喩えた、「バード山崎!」「バード山崎きたー」などといったコメントも多く寄せられていた。

 最初のMCで伊藤純奈が「今日がラストライブなんですけど、私はライブは楽しむものだと思うので、みんなで全力で頑張るぞ!」と元気よく呼びかけ盛り上がりを見せると、渡辺も「私自身はライブ大好きなので、みんなとたくさんアイコンタクトをとって、目を合わせて思い出を作りたいなと思います!」と意気込んだ。続けて北野日奈子が「2021年、初のアンダーライブということで、こないだのライブから半年くらい経っているから、うずうずしてたの。今回は無観客で配信ライブになってしまったけれど、私たちの熱い気持ちをちゃんと体感してもらえるようにエネルギッシュに頑張るので、画面の前で応援してくれたらうれしいです!」と視聴者に呼びかけ、3期生の阪口珠美は「アンダーメンバーのことが大好きなので、そんな皆さんと一緒に出来る喜びを噛みしめつつ、ファンの皆さんにパワーをどんと届けますので、“おたま”のしみに!」と元気よく伝えた。

 それからライブはリクエストコーナーに突入した。ファンからの声に応える形で、紫色のちょっぴりセクシーな衣装に着替えたメンバーは、小室哲哉が作曲した「Route246」を披露。それから原曲と同じく伊藤理々杏をセンターに据え、3期生のみで「僕の衝動」を熱くパフォーマンスすると、続けては2期生メンバーだけで4期生楽曲「Out of the blue」をキュートに届けた。『乃木坂工事中』の“2期生ハウス企画”でも同曲をカラオケで楽しそうに歌い踊っていたが、見事にライブでも披露して視聴者を喜ばせた。

 続けては和田まあやをセンターに据え、「Wildrness world」を全員で披露すると、鈴木絢音と寺田蘭世が卒業生の白石麻衣と西野七瀬のユニット曲「心のモノローグ」を息ぴったりにパフォーマンス。視聴者からは「カッコいい!」「美しすぎる」「二人とも綺麗…」などため息が溢れていた。

 佐藤をセンターに据え、阪口、山崎、吉田、和田の5人で「自由の彼方」を情熱的に届けると、北野と渡辺の“宇宙兄弟”がキャプテンの秋元真夏と白石のユニット曲「まあいいか?」を楽曲のイメージ通り、コミカルにパフォーマンスした。

 「13日の金曜日」では向井葉月が“普段着に近い”ジャージとメガネ姿で登場。楽曲の途中で、寺田が揃えたというお洒落な洋服に着替えていき、パフォーマンスが終わる頃にはすっかり洗練されたアイドルに変身していた。続けて、中村麗乃は齋藤飛鳥のソロバラード曲「硬い殻のように抱きしめたい」を透き通る声で丁寧に歌い上げ、視聴者を感動で包んだ。

 それから松村沙友理が率いる“さゆりんご軍団”の「白米様」を、新たに結成された“田んぼユニット”寺田、吉田、和田の3人でキュートにパフォーマンス。生田絵梨花、白石、松村のユニット曲「ショパンの嘘つき」は、伊藤純奈がソロ歌唱し、渡辺がダンサーとして参加した。曲の間奏では渡辺が情熱的なパフォーマンスを決め、視聴者からは称賛の声が続々と寄せられていた。

 MCコーナーを経て、ここからライブは終盤戦へ。「嫉妬の権利」「滑走路」を立て続けに披露し視聴者を興奮へと誘うと、ダンストラックを経て、「日常」を力強くパフォーマンス。北野が曲の終わりで見せた存在感たっぷりな目力に、視聴者からは「この迫力はこのライブでしか味わえない」「かっっけえええええ」などのコメントが寄せられた。

 ガラッと雰囲気を変え、メンバーそれぞれが「自惚れビーチ」でキュートさを届けると、阪口をセンターに据え「口ほどにもないKISS」をパフォーマンス。そして本編最後は全員で「誰よりそばにいたい」を情感たっぷりに歌い上げ、感動のムードの中でライブは幕を閉じた。

渡辺みり愛「全力で愛してあげて欲しい」

 コメント欄に並ぶ盛大なアンコールを受け、画面上には伊藤純奈と渡辺が登場。2人は“卒業の挨拶”と以下の内容を話した。

■渡辺みり愛

「8年間、在籍させていただきました。でも、8~9月まではいる予定なので、私の気持ちというよりかは、たくさんの方にこの場を借りて感謝を伝えたいと思います。

まずは家族。たくさん迷惑を掛けたし、転んでしまうことも人生の中であったけれど、見捨てずに1番近くにいてくれて、すごく感謝しています。ありがとうございます。

そして、スタッフの皆さん。本当に私たちには計り知れないほどの、大変さだと思います。ライブを支えてくださっている皆さんも、マネージャーの皆さんも、時には友達のように接してくれて。本当にこんな大人数の女性グループをまとめるのは大変だと思うし、いつもすごく申し訳ないなと思いつつ、ついわがままを言ってしまったこともあります。本当に8年間支えてくださってありがとうございました。

メンバーのみんな。私は2期生で入った時は最年少だったので、今、3~4期のみんなの中にも私より年上の子とかもいたりするんですけど、みんなすごくいい子たちで、私にたくさんお話をしてくれて、人見知りだったけど少しずつ克服できるくらいになりました。すごく大好きで、かけがえのないメンバーばっかりです。1期生の皆さんにも8年間、お世話になったし、2期生とはずっと一緒に戦い続けてきたし、3期生のみんなもアンダーライブとかいろんなライブを経験して、すごく仲良くなって私は本当にうれしいし、4期生のみんなもまだお話できてない子もいるかもしれないけど、それでもミーグリとかで話しかけてくれて、とってもうれしい時間を過ごさせてもらってます。

そしてファンの皆さん。8年間、私を支えてくれてありがとうございます。私が『乃木坂を辞めよう』と思わなかったのは、確実にファンの皆さんのお陰です。今回は自分の未来のための決断として、卒業を決めたんですけど、ファンの方ともっと交流したかったし、直接お会いして愛情を伝えたかったです。今回は配信になってしまったんですが、ちゃんとライブでの私を見ていただけたでしょうか? 精一杯気持ちを込めて踊ったので、伝わっていればうれしいです。

そして、純ちゃん。純ちゃんは、なんだろ……。たくさん一緒に歩いて帰ったり、多い時は3時間以上、歩いて帰って、たわいもない話とか、仕事の真面目な話とか、多分1番一緒にしていたのかなと思います。世間から見ると、年の差のある姉妹のように映るかもだけど、年齢も1つ差だったからお互いが話しやすい間柄だったのかなと思います。辛い時とかは純奈にすごく助けてもらって、純奈が辛かった時は私が助けたいと思っていました。だから今回も、卒業の発表とか時期も色々重なって、MVでもいろんなところを回って、今回もアンダーライブでたくさん打ち合わせして、話したりして、『ショパンの嘘つき』とかを一緒にやれて、私は幸せでした。残り3ヶ月くらい…でもその後も絶対に会うと思うからこれからもよろしくお願いします。

そして最後に、私からちょっとだけお願いがあります。メンバーはアイドルだけど、1人の普通の女の子だから、いつみんな(ファン)の元から離れてしまうのかは、分からないじゃないですか。だからその時のために、ファンの皆さんには全力で愛してあげて欲しいし、毎日ちゃんと推しメンに愛情を伝えてあげてください。『僕には、私には、あなたが必要だよ』って、ちゃんと口にしてあげてください。後悔のないように、大好きな人と過ごしてください。

乃木坂46に入れて幸せでした。ありがとうございました!」

■伊藤純奈

「乃木坂での活動は残り、3ヶ月ほどあるんですけど、今日は私とみり愛にとっての最後のライブでした。まずはここまで、配信を見てくださった皆さん、ありがとうございます。

まず、スタッフの皆さんに感謝を伝えたいです。8年前、何もわからず、何も出来なかった私たちをこうしてステージに立てるように、育ててくださって本当にありがとうございます。やっぱり、すごく甘えちゃったり、頼りすぎちゃった部分もたくさんあるんですけど、いつもいつも何があっても味方でいてくれて、スタッフさんの存在があったから、私たちもここまで頑張ってこれたのかなと心から思います。少しの変化にも気付いて、声を掛けてくれたから、弱い部分も出せたし、多分スタッフさんがいなかったら、私はここにいなかったんじゃないかなと思います。ありがとうございました。

そして、メンバーのみんな。約8年間、一緒に活動出来て、本当に本当に良かったです。みんなは本当にいい子で、素敵だから、こんな子たちに囲まれて活動することが出来て、“なんて私はラッキーなんだろう”と心から思っています。今日は『アンダラ』だから選抜のみんなや、4期のみんなと一緒にステージに立てなかったけど、配信を見てるメンバーいるかな? 見てる? 本当にみんなの事が大好きです。ありがとう。

私は乃木坂から離れてしまうけど、みんなのことはずっと応援していくので、頑張って欲しいと思いますし、みんなは強い子なので、大丈夫だと思います。

そして、みり愛。一緒に卒業発表が出来て本当に心強かった。1人で卒業発表する予定だったから、みり愛と一緒に出来ると聞いた時は“うれしいな”って心から思ったし、こうして2人でここに立てているのも幸せです。みり愛には小さなことでも、大きな悩みでもすぐ話したくなる存在だし、年下なんだけど、そのことを感じさせない冷静な対応とかもしてくれるから、本当にみり愛と同期として活動できて良かったです。これからもよろしくね。

ファンの皆さま。約8年間、乃木坂46の伊藤純奈を応援してくださって、本当にありがとうございました。私の良いところなんて、数えるほどしかお見せできなかったと思うんですけど、私のことを推していて良かったと思ってくれていたら、私はうれしいです。今日、ここで私の乃木坂人生のライブが終わるなんて信じられないんですけど、歌っているところや踊っているところが好きだと言ってくれて、本当にありがとうございました。一生分の愛をもらったと思います。私たちは私たちらしく生きていくつもりなので、これからもよろしくお願いします」

 それからメンバーは伊藤純奈が「乃木坂には卒業した先輩たちの大切な曲がたくさんあります。私はそのバトンを受け取り、最後に大切に歌いたいと思います」と希望した「三角の空き地」を披露、続けて渡辺が「私のもう一個の大切な曲。いつもは花道を使ったりしてオリジナルで踊れてなかったので、最後はオリジナルでしっかり歌い上げたい」とリクエストした、自身がセンターを務めた楽曲「君が扇いでくれた」をしっとりとパフォーマンスした。

山崎怜奈「最後まで明るい気持ちで送り出したい」

 最後のMCで山崎が「2人は周りの事とか気を使うし、すごくみんなのことを愛で支えているし、そんな2人のことを私は尊敬している。多分2人がいなかったら挫けているメンバーってすごく多いと思う。その位、支えになっていて、だからそんな2人がいなくなっちゃうのは、寂しいけれど、最後まで明るい気持ちで送り出したい」と言葉を掛けると、伊藤純奈も渡辺も晴れやかな笑顔を浮かべていた。そして全員で「乃木坂の詩」を披露し、明るい雰囲気の中でライブは終了した。

最後にメンバーから花束を受け取った伊藤純奈と渡辺。心強い仲間と共に、約2時間30分のラストステージを終えた。多くのファンが画面越しの彼女たちのパフォーマンスを目に焼き付けたことだろう。

 またアンダーライブ開催前にABEMATIMESの取材に応じた山崎は「卒業する2人だけが主役というわけではなく、座長の私が主役というわけでもなく、全員が主役になるアンダーライブになったら」とコメントしていたが、その言葉の通り、ステージに立った13人それぞれにスポットライトが当たり、輝きを放っていた。まさに全員で作り上げた、あたたかさも感じられる「アンダーライブ2021」だったように思う。

 なお、「#山崎怜奈のアンダラで話したかったこと」「アンダーライブ2021」といった関連ワードが、ライブ中にTwitterトレンドで日本1~2位に輝くなど、大きな反響を呼んでいた。

■乃木坂46「アンダーライブ2021」セットリスト

M00. Overture

M01. 錆びたコンパス

M02. 風船は生きている

M03. My rule

M04. ここにいる理由

M05. Route246

M06. 僕の衝動

M07. Out of the blue

M08. Wilderness world

M09. 心のモノローグ

M10. 自由の彼方

M11. まあいいか?

M12. 13日の金曜日

M13. 硬い殻のように抱きしめたい

M14. 白米様

M15. ショパンの嘘つき

M16. 嫉妬の権利

M17. 滑走路

M18. 日常

M19. 自惚れビーチ

M20. 口ほどにもないKISS

M21. 誰よりそばにいたい

EN1. 三角の空き地

EN2. 君が扇いでくれた

EN3. 乃木坂の詩

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