昨年7月、素潜りの深さを競うフリーダイビングで日本人初の世界記録を樹立した木下紗佑里選手(本名=紗由里、当時30歳)が不慮の事故で亡くなった。紺碧の世界で、ひと息でどこまで潜れるかを追い求め続けた30年だった。
 潜る楽しさをその身にまとい、自在に泳ぎ回る姿は“リアル・マーメイド”。酸欠で失神する“ブラックアウト”の恐怖と向き合い、「もっと先へ」と潜降し続けた。さらなる活躍を期待されながらも夭折した、“世界一マーメイド”木下紗佑里さんの生涯に迫る