(※1) 2023年3月31日時点における退会を除いた会員数。以下、NP会員という。

■調査背景

 近年、「音楽」「動画」「マンガ」に代表されるデジタルコンテンツは、私たちの日常生活から切り離せない存在になってきている。デジタルコンテンツの市場規模は、2022年で10兆1,545億円に達し、多くのサービスが提供され、使われていることが伺える(※2)。特に、「サブスク」という単語でよく耳にする、定額制のサブスクリプションサービスは、デジタルコンテンツ分野だけでなく、衣料品や外食サービス、生活関連サービスなど幅広いジャンルにおいて、複数のサービスで提供され始めている。国内におけるサブスクリプションサービスの市場規模は、2021年で9,615億5千万円に達しているという。(※3)

 今回は、デジタルコンテンツの中でも「音楽」「動画」「マンガ」におけるサブスクリプションサービスに注目し、利用率や利用頻度、人気サービス、利用額や決済方法について調査を行った。

※2) 出典:一財団法人デジタルコンテンツ協会「デジタルコンテンツ白書2023」
※3) 出典:株式会社矢野経済研究所「サブスクリプションサービス市場に関する調査(2022年)」(2022年6月8日発表)

■調査結果サマリー

◆「音楽」「動画」「マンガ」のデジタルコンテンツのサブスクリプションサービスでは「動画」系サービスが最も高い利用率
◆「音楽」「動画」では「Amazon」、「マンガ」では「コミックシーモア」が高い支持を得る
◆利用頻度は「音楽」「マンガ」「動画」の順に高い
◆「音楽」「動画」「マンガ」のサブスクリプションサービスに使う月額の平均は「約1,430円」
◆サブスクリプションサービスの解約忘れを経験した人は約35%、さらに70%近くが想定より使用しなかった経験あり

■実施概要

調査方法:WEBアンケートによるリサーチ
調査時期:2023年8月16日~8月22日
調査対象:全国のNP会員
有効回答:493名
(内訳/10代~20代:28 30代~40代:164 50代~60代:298 回答しない:3 女性:364 男性:117 回答しない:12)

■調査結果概要

1.サブスクリプションサービスでは「動画」系サービスが最も利用率が高い

*ネットプロテクションズ調べ

 「音楽」「動画」「マンガ」のサブスクリプションサービスを利用したことがある人に対して、現在も利用しているかどうかをジャンル別に聞いたところ、「音楽」系サービスは4割強、「動画」系サービスが約7割、「マンガ」系サービスは2割強の利用率と、「動画」系サービスが最も多く利用されていることがわかる。「音楽」や「マンガ」は、30~40代が多く利用しているが、「動画」に関しては、60歳以上の利用率が約80%になっていることも特徴。「音楽」と「マンガ」については、ダウンロードやレンタルでしか利用できないサービスも複数存在するため、サブスクリプションの利用率はそれほど高くなっていないと推察できる。

2.「音楽」系サブスクリプションサービスでは、約半数が「Amazon Music」の利用経験あり、「Apple Music」「Spotify」が続く。

*ネットプロテクションズ調べ

 「音楽」系サブスクリプションサービスを利用している人の中で「Amazon Music」(48.1%)を利用したことがある人は約半数を占め、堂々の1位。次いで、「Apple Music」(29.5%)や「Spotify」(27.6%)など代表的なサービスが並んでいる。また、2つ以上のサービスを選択した人が55人であり、全体の3分の1以上を占めることから、複数サービスを試した後に、利用するサービスを検討する人が多いと推察される。

3.「動画」系サブスクリプションサービスでは「Amazonプライムビデオ」が圧倒的に利用率が高い

*ネットプロテクションズ調べ

 「動画」系サブスクリプションサービスでは、7割を超える人が「Amazonプライムビデオ」(72.7%)を利用した経験があるという結果になった。他サービスも一定数の支持を得ていることは、サービスごとに得意ジャンルや観られるコンテンツが様々であることが要因だと推察できる。

4.「マンガ」系サブスクリプションサービスでは「シーモア」がトップ

*ネットプロテクションズ調べ

 「マンガ」系サブスクリプションサービスでは「シーモア」(45.1%)が最も利用率が高いという結果になった。2位以降のサービスは支持が比較的分散しているが、「マンガ」系サービスの特徴として、利用プランが多岐にわたることも要因の1つではないかと考えられる。

5.利用頻度は「音楽」が最も高く、「マンガ」「動画」の順に続く。

 *ネットプロテクションズ調べ

 利用頻度に関しては、「音楽」「マンガ」「動画」の順に高いという結果になった。「音楽」系サービスはスマートフォン等で他の作業中に“ながら利用“ができるため、「毎日」利用する人が最も多いと推察できる。「マンガ」に関しても通勤・通学時などの“スキマ時間“に手軽に利用できることが、頻度の高さの理由だと考えられる。「動画」は、日常的な利用頻度は減るが、月2回以上利用する人の割合は9割近くになっている。

6.サブスクリプションサービスに使う月額の平均は「約1,430円」

 *ネットプロテクションズ調べ

 サブスクリプションサービスに対しては、1か月に「2,000円以下」使う人が多いという結果が出た。1か月の平均利用金額が約1,430円であり、1~2サービスを契約している人がボリューム層であると考えられる。

7.サブスクリプションサービスの支払方法は「クレジットカード」と「キャリア決済」の2強

*ネットプロテクションズ調べ

 サブスクリプションサービスの支払方法は「クレジットカード」(55.3%)が主流であることがわかる。次いで、「キャリア決済」(24.2%)や「口座振替」(7.9%)が続く。全体の8割以上を上記3つが占めることから、サブスクリプションサービスの支払方法は選択肢が限られている場合が多いことが推察される。

8.約35%の人がサブスクリプションサービスの解約忘れの経験あり

*ネットプロテクションズ調べ

 サブスクリプションサービスを契約したことがある人のうち、解約を忘れたり、解約せずに放置したことがあると答えた人が3割を超え、思いのほか高い割合の結果が出た。理由の1つとして、無料体験等のキャンペーンで利用登録し、無料期間終了後、利用の有無に関わらず料金が発生していることに気づかないまま契約を続けているケースが考えられる。

9.サブスクリプションサービスを想定より使わなかったことがある人は、7割近くにも及ぶ

*ネットプロテクションズ調べ

 サブスクリプションサービス利用経験者の約67%もの人が、想定していたよりも使わなかった経験があると答えている。無料体験等のキャンペーンを機に契約したものの、思ったほど使う機会がなかったり、好みのコンテンツが少なかった等の要因が考えられる。

■総論

 今回の調査結果から、当社会員でデジタルコンテンツのサブスクリプションサービスを利用したことがある人の中では、「動画」「音楽」「マンガ」の順に利用率が高いことがわかった。サービスごとにみると、「動画」では「Amazonプライムビデオ」、「音楽」は「Amazon Music」、「マンガ」は「シーモア」を利用したことがある人が多いよう。利用頻度については、「音楽」が最も高く、「マンガ」「動画」と続いている。支払いに関しては、月に「2,000円以下」利用する人が多く、1人あたりの契約数は1~2サービスが多いと考えられる。支払方法に関しては、ほとんどの人が「クレジットカード」「キャリア決済」「口座決済」のいずれかを利用しており、決済方法に偏りがあるのが現状のようだ。

 また、「解約忘れ」や「想定よりも使わなかった」経験した割合の高さから、サブスクリプションサービス特有の課題も見られた。「解約忘れ」の要因の一つに、クレジットカードの自動引き落としに気づかないことが考えられる。

<各デジタルコンテンツの選択肢となった主なサービス例>
【音楽】Amazon Music、Apple Music (Apple One)、Spotify、LINE MUSIC、YouTube Music、AWA、Rakuten Music、TOWER RECORDS MUSIC
【動画配信】Netflix、Amazonプライムビデオ、Hulu、U-NEXT、Disney+、dTV(※)、Abemaプレミアム、dアニメストア、Paravi(※)、DAZN
【電子コミック】シーモア、Kindle Unlimited、ジャンプ+、BOOK☆WALKER、マンガ王国、FODプレミアム、ブック放題、マンガ読破!、コミックDAYS
※dTVは2023年4月12日にLeminoにリニューアル、Paraviは2023年7月からU-NEXTに移行・統合。