同社では、データ分析サービス「推しエンタメブランドスコープ」において、エンタメブランドの価値をメディア横断でとらえ、<推しファン人数><支出金額><接触日数>、そしてこれらを総合した<GEM指数>という指標により、エンタメブランドの価値を数値化している。
「推しエンタメブランド・アワード」では、2022年1月から23年11月にかけて累計27万人に行った調査で得られた5,000エンタメブランドのデータを集計し、23年を代表するエンタメブランドはなにか、各指標を集計し「総合部門」「急上昇部門」「信者数部門」の3部門において、ダイヤモンド賞、ルビー賞、サファイア賞として発表した。
『Snow Man』が総合部門でダイヤモンド賞を受賞
「総合部門」では、<推しファン人数><支出金額><接触日数>から算出したエンタメブランド総合価値<GEM指数>が、2023年で最も高かったエンタメブランドを表彰する。
最も<GEM指数>が高いエンタメブランドに贈られるダイヤモンド賞に輝いたのは、アイドルグループの『Snow Man』だった。23年は、TBSのバラエティ番組「それSnow Manにやらせて下さい」や3rdアルバム「i Do ME」の発売、初のドームツアー「Snow Man 1st DOME tour 2023 i DO ME」を開催するなど、各メンバー個人としての活動だけでなく、グループとしての活動が目立った。受賞理由として、<推しファン人数><接触日数>のみならず、推しファンの<支出金額>が多いエンタメブランドであることが挙げられ、『Snow Man』に対する旺盛な支出意欲がうかがえる。
ルビー賞は『鬼滅の刃』が受賞した。23年は2月公開の映画「上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」、4月~6月のテレビアニメ第3期「刀鍛冶の里編」によって<推しファン人数>が上昇。24年以降も引き続き<推しファン人数>の盛り上がりが期待できそうだ。
サファイア賞は、サービスブランド『YouTube』が受賞。特徴として、接触日数が非常に多いエンタメブランドであることが挙げられる。23年の平均月当り接触日数は、一人当り17日間と2日に1回以上となり、日常的に接しているエンタメのインフラとして評価を得ているようだ。
急上昇部門のダイヤモンド賞に輝いたのは『【推しの子】』
急上昇部門では、22年と23年における各カテゴリーのエンタメブランド総合価値(GEM指数)、もしくは<推しファン人数>が最も高い月を比較し、その上昇幅が大きかった上位3つのエンタメブランドを表彰した。
急上昇部門[総合]のダイヤモンド賞に輝いた『【推しの子】』は、前年最大月比+5,633GEMを記録。GEM指数の上昇で2位以下を大きく引き離し、まさに23年を代表する“推し”エンタメブランドとなった。GEM指数はTVアニメ1期放送の4~6月にかけて大きく上昇している。この流れを作った要因として、TVアニメ第1話を劇場で先行上映してからテレビ放送(地上波と同時にABEMAで単独先行配信も実施)を行ったほか、マンガも青年コミック誌「週刊ヤングジャンプ」掲載から1週遅れでWebマンガ誌「少年ジャンプ+」で初回無料配信するなど、まさに複数メディアによる仕掛けがブランド価値上昇に貢献したと言えるだろう。
ルビー賞は『ゼルダの伝説』が受賞した。本シリーズでは、17年に発売し世界中で大ヒットを記録した「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」の続編「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」の販売数が23年5月の発売後3日間で1,000万本を突破し話題となった。23年全体を通じたブランド要素の内訳を見ると、「ティアーズ オブ ザ キングダム」の月当たりの平均推しファン人数が5.2万人に対し、「ブレス オブ ザ ワイルド」は0.9万人と、旧作も依然として根強い人気があるようだ。
サファイア賞は『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』が受賞。TVアニメ、YouTubeコンテンツに加え、キャラクターグッズが人気を博しており、23年において推しファンの内『ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ』のおもちゃ(ぬいぐるみ、玩具、人形、フィギア)に1カ月以内に接触した人は約50%にのぼる。