中華風の後宮を舞台に、薬師の少女が活躍する謎解きエンタテインメント「薬屋のひとりごと」のTVアニメが2023年10月より放送されました。2025年1月10日から2期の放送が予定されています。
▶壬氏の頭突きを食らう猫猫、1期最終回 24話
▶猫猫の両親、鳳仙と羅漢の悲しい恋 23話
▶“男でなくす薬”を飲んでいた壬氏 20話
アニメの原作は、小説投稿サイト「小説家になろう」での連載を経て、作者の日向夏氏により加筆・修正を施し刊行された小説です。この小説版を原作としたコミカライズも展開され、これらのシリーズ累計発行部数は3800万部を超えています。
「薬屋のひとりごと」のコミカライズは、同じ原作をベースに2種類のコミックスを刊行する、めずらしいスタイルを採っています。この記事では、それぞれ違う出版社から連載されている2種類の漫画に、どんな違いがあるのかを解説していきます。
目次
- 「薬屋のひとりごと」とは
- 「薬屋のひとりごと」には漫画が二種類ある
- スクエニ版と小学館版の違いをまとめると?
- アニメの原作は、小説版「薬屋のひとりごと」
- まとめ
「薬屋のひとりごと」とは
花街で薬師をしていた少女、猫猫(マオマオ)は、人さらいにさらわれて売られたことから、後宮の下女として働くことになります。猫猫は毒と薬にしか興味がなく、権謀術数の渦巻く後宮でも年季明けを待ちながらマイペースに日々を過ごしていました。
しかし、帝の御子が次々と病気にかかる原因を見抜いたことで、美形の宦官・壬氏(ジンシ)の目に留まり、寵姫の毒見役に抜擢されました。そこから、猫猫はおもに壬氏よりさまざまな面倒事を押し付けられ、持ち前の薬師としての知識や深い洞察力により、後宮にはびこる謎や事件を解決していきます。
「薬屋のひとりごと」には漫画が二種類ある
「薬屋のひとりごと」には、二種類のコミカライズがあります。スクウェア・エニックスの「月刊ビッグガンガン」で連載されている「薬屋のひとりごと」と、小学館の「サンデーGX」で連載されている「薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~」です。
どちらの漫画も原作小説を読んでいなくても楽しめますが、作画の担当者が異なるので、絵柄や事件の描き方、雰囲気などは違っています。
二種類のコミックがある理由は、特に公式からはアナウンスされていません。小説の作者である日向夏氏もX(旧Twitter)上で、「私にもわからないから困惑していたのです」とポストしています。
スクウェア・エニックス版「薬屋のひとりごと」の特徴
スクウェア・エニックス版の漫画「薬屋のひとりごと」は、ねこクラゲ氏が作画、七緒一綺氏が構成を担当しています。ラブコメ的な要素が多く取り入れられ、絵柄もかわいらしく、全体的に華やかな印象です。「次にくるマンガ大賞2019」では、コミックス部門第1位に輝きました。
2017年5月から連載がスタートし、2024年10月時点で単行本は14巻まで刊行。内容としては、原作小説の4巻前半あたりまでが描かれています。
丁寧にストーリーを描く一方で、展開によっては原作小説にある細かいエピソードが省かれることもあります。たとえば原作小説1巻には、木簡を色付きの炎で燃やすエピソードがあり、アニメでも第5話で描かれていますが、スクウェア・エニックス版の漫画では割愛されています。とはいえ、この変更によるストーリーへの大きな影響はありません。
小学館版「薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~」の特徴
小学館版の漫画「薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~」は、倉田三ノ路氏が作画を担当しています。クールな絵柄で、ラブコメ要素よりもミステリー要素が強く押し出されていることが小学館版の特徴です。猫猫の容姿も、「整っているが特徴のない顔」という日向夏氏の説明を忠実に再現。壬氏に対しても、しっかり冷たい態度を取っています。
スクウェア・エニックス版よりも遅い2017年8月から連載が開始され、現在は第18巻までが刊行されています。内容としては、原作小説の4巻の終わりくらいまでです。ストーリーがテンポよく進む一方で、事件や事象の説明も丁寧に描かれていて、雰囲気も含めて原作小説を忠実に漫画化した作品です。小説版とはやや内容の違うところもありますが、大きな流れに違いはありません。
スクエニ版と小学館版の違いをまとめると?
スクウェア・エニックス版は、絵柄が華やかでラブコメ要素が多めになっていると感じさせる点が特徴です。ひとつひとつの事件が盛り上がるように、じっくり構成されています。
一方の小学館版は、ストーリーをしっかり追っている構成という印象です。絵柄もクールで、原作小説に近い雰囲気があります。また、事象や物事の背景の説明が細かいため、物語がわかりやすくなっています。
アニメの原作は、小説版「薬屋のひとりごと」
アニメ版の原作は、漫画版のどちらでもなく、現在第15巻まで刊行されている小説版の「薬屋のひとりごと」です。アニメと漫画の内容はほぼ同じですが、これは、どちらの漫画も原作小説を忠実に漫画化しているからであり、どちらかの漫画のストーリーを採用しているわけではありません。
アニメのキャラクターデザインも、漫画版のビジュアルが使われているのではなく、小説版のイラストをベースとしたデザインとなっています。アニメのクレジットには、「キャラクター原案」として小説版のイラストを手掛けたしのとうこ氏、「キャラクターデザイン」として中谷友紀子氏が名を連ねています。
まとめ
「薬屋のひとりごと」の漫画版は現在、二種類が刊行されていますが、どちらも原作は同じ小説の「薬屋のひとりごと」です。アニメは漫画版と同じく小説版を原作としていて、どちらかの漫画がアニメ原作として採用されているわけではありません。
二種類の漫画にはそれぞれの魅力があるので、好みで選ぶのはもちろん、見比べて違いを楽しむのもいいかもしれません。
(C) 日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
アニメ『薬屋のひとりごと』放送回一覧(動画リンクつき)
話数 | サブタイトル(タップで動画へ) | 見どころ |
---|---|---|
1 | 猫猫 | 猫猫の正義感が幼子を救う |
2 | 無愛想な薬師 | 媚薬の出来はバッチリ!? |
3 | 幽霊騒動 | 奇行の裏の真実に気づく猫猫 |
4 | 恫喝 | ガチギレ猫猫のマジビンタ! |
5 | 暗躍 | そばかすを落とした猫猫の顔 |
6 | 園遊会 | 「これ、毒です」猫猫が本領発揮 |
7 | 里帰り | 高順の前で素が出てしまう壬氏 |
8 | 麦稈 | 「一夜の対価」に壬氏、硬直 |
9 | 自殺か他殺か | 猫猫の死生観、壬氏の懊悩 |
10 | 蜂蜜 | 変態に追い詰められる猫猫 |
11 | 二つを一つに | 阿多妃の過去が明らかに |
12 | 宦官と妓女 | 猫猫、指先だけならお触りOK |
13 | 外廷勤務 | 官女とのドロドロバトル |
14 | 新しい淑妃 | 「女の園の秘術」を教授 |
15 | 膾 | 曲者な軍師・羅漢が来た! |
16 | 鉛 | 鍵の開かないタンスの謎 |
17 | 街歩き | 妓女の価値を下げる方法 |
18 | 羅漢 | 猫猫と羅漢の関係が明らかに |
19 | 偶然か必然か | 命を守るため、猫猫が走る |
20 | 曼荼羅華 | 壬氏が飲む薬の効果 |
21 | 身請け作戦 | 隙あらば嫉妬する壬氏 |
22 | 青い薔薇 | 羅漢の目に映る人々 |
23 | 鳳仙花と片喰 | 妓女・鳳仙と羅漢の悲恋 |
24 | 壬氏と猫猫 | 壬氏の頭突きを食らう猫猫 |
・無料でみられる「薬屋のひとりごと」エピソード・見逃し配信一覧