ドルオタ「運営は接触・チェキ会に頼りすぎないで」アイドルとファンの“適切な距離感”とは?元NMB48山田菜々「握手会で傷つく言葉も。問題は深刻」
【映像】ABEMAでみる
この記事の写真をみる(8枚)

 「結婚されたら、時間とお金を返してと思う」。3年の間におよそ500万円を注ぎ込んだアイドルファンの男性を取り上げた週刊『SPA!』の記事が話題を呼んだ。

 SNSによって距離感が近くなり、推しにガチ恋した結果、様々なトラブルも報じられる昨今。AbemaTV『AbemaPrime』には、「ドルオタは何を求めているのか聞きたい。アイドルの幸せじゃないということだけはわかる」「推しのアイドルが結婚したら、お金と時間を返せって、好きなアイドルに何を求めているのか」「結婚が嫌なら、二次元のアイドルを推せば?人間がいいのか?」「終わりがあると知っていて投資しているのに文句言うとか」「アイドルが恋愛をしてはいけないって、そもそもなんで?」などの意見も寄せられた。

 そこで番組では、アイドルとファンの関係性について、"沼落ち"しているというファンたちを交えて議論した。

■「成長を見ていたいだけ」「結婚を望んでしまった」異なるスタンス

ドルオタ「運営は接触・チェキ会に頼りすぎないで」アイドルとファンの“適切な距離感”とは?元NMB48山田菜々「握手会で傷つく言葉も。問題は深刻」
拡大する

 まず、「まねきケチャ」の深瀬美桜さんを推しているITエンジニアのまさやさんは、比較的自由な働き方ができることから、かなりの時間を応援活動に費やすほか、同じCDを"200枚買い"するなど、投資額は年間200~300万円に達するという。「"狙って200枚"というより、"いっちゃった"という感じ。毎日のようにイベントがあるし、そこに入るのための優先券のような感じでどんどん買っていくと、200枚行ってしまう。怖い。でも運営も上手で、"200枚でオフ会"というようなボーナスを付けてくる。だから"190枚まで買ったらあと10枚買うでしょ"みたいな」と話す。一方、アイドル本人との関係性については「どうなりたい、というより、楽しいから行っているというところが大きいし、確実に売れているということが分かるので、活動のステージがレベルアップすること嬉しい。AKBさんの東京ドーム公演や国立競技場公演が決まった時もそう。まねきケチャさんは武道館を目標にしていたので、決まったときはすごく感動した」。

 次に、3人組ダンスヴォーカルユニット「MELLOW MELLOW」のSENAさんを推すかずきさんは、ライブのチケット代や握手・チェキなどで月に4万円、年間に50万円程度を使っている。「ライブ後に必ずTwitterの公式アカウントに"今日楽しかった"とか"ここが良かった"などと返事をしていたら、"かずきくんだよね?"と顔と名前を覚えてくれた。"ちゃんと見てくれているんだなあ"と感動して、好きになった」。それでもスタンスはまさやさん同様、「ライブを楽しんだその気持ちを伝えるために握手会やチェキ会などに行く。そして、より大きいステージに立つ、その成長を見られるというのが楽しい。仮に忙しくなってチェキ会が無くなったとしても、売れてくれた方が嬉しい。どんどん個性が出て、どう化けていくか、というところが楽しみ。そのワクワク感が推している理由」と説明、「アイドルとオタクという関係がいいなと。一度だけプレゼントはしたことがあるが、それ以外はTwitterのリプだけ。DMとかは送れない」というスタンスだ。

 また、「アップアップガールズ(2)」の高萩千夏さんを推しており、かずきさんと同じく年に50万円ほどを使うりひとんさんは、ライブ参加が2週間空いただけで「サボりすぎ」と冗談を言われるほど認知されていると話す。「僕も人気になってほしいとは思うが、そうなるとチェキ会や握手会がなくなってしまう。だから人気になる前にたくさん行っておこうという気持ちだ」。一方、過去には推しメンだった「虹のコンキスタドール」の木下ひよりさん(2015年に卒業)のInstagramを"プロファイル"してしまう等の"ガチ恋"経験があるといい、「写真がアップされたら拡大して、撮ったのが男じゃないか確認してしまったり、スプーンに影が写っていると、"これ男じゃない?"みたいに思ってしまったり。最終的にはきれいに卒業していったので、何も残らず。失恋した」と振り返った。

 さらにアイドルとファンの"究極の関係"を望んでしまったと告白するのが山Pさんだ。4~5年にわたって応援していた小明さんが2015年に結婚・出産を公表した。「結婚しようと思って通っていた」という。「手紙にメールアドレスを書いて渡したりしていたが、連絡は来なかった。最近見ないな、どうしているのかな、と思っているうちに、"産みました"という出産報告のブログがアップされた。ただただ、悲しかったですね」。

■山田菜々「アイドルの前に一人の人間でもあるし…」

ドルオタ「運営は接触・チェキ会に頼りすぎないで」アイドルとファンの“適切な距離感”とは?元NMB48山田菜々「握手会で傷つく言葉も。問題は深刻」
拡大する

 音楽ライターの南波一海氏は「"お客さん"としては最高だとも言えるが、距離感が近く、何度もお話しているうちに勘違いし、本当に好きになってしまったファンによる事件も間違いなく起こる」と指摘する。では、ファンの思いを受け止める側のアイドルはどのように感じているのだろうか。

ドルオタ「運営は接触・チェキ会に頼りすぎないで」アイドルとファンの“適切な距離感”とは?元NMB48山田菜々「握手会で傷つく言葉も。問題は深刻」
拡大する

 アイドルグループ「われらがプワプワプーワプワ」(通称・われプワ)のチェキ撮影会を取材すると、同じメンバーの列に何度も並び、1時間でチェキを3度撮影しサインをもらい、合計で3500円を支払っていた熱心なファンの姿も見られた。メンバーの川崎ひかるは「ファンからDMが届くこともあるが、運営に任せている」と明かす。また、相沢菜々美は自身の恋愛や結婚について「自分が癒やされる場所を作ってしまうと、わざわざ会いに来てくれているファンの方たちの居場所がなくなってしまう。自分の幸せも考えないといけないが、応援してくれている人たちの気持ちも考えないといけないので難しいことだと思う」と吐露。

 2015年にNMB48を卒業している山田菜々は「アイドルを卒業した身なので、もちろん恋愛もOKにはなっているが、やっぱり昔から応援してくれている方の中には、"アイドルとして好き"という部分もまだあると思う。皆さんに夢と希望を与えてこそのアイドルだと思うけれど、アイドルの前に一人の人間でもあるし、自分の幸せについてどこで線引きをしたらいいのかな、と考える」と言葉を選びながら説明した。

ドルオタ「運営は接触・チェキ会に頼りすぎないで」アイドルとファンの“適切な距離感”とは?元NMB48山田菜々「握手会で傷つく言葉も。問題は深刻」
拡大する

 そんな山田は、「第9回AKB48選抜総選挙」(2017年)にて3万1779票を獲得、20位にランクインしながら、スピーチの場で突然の結婚発表をして議論を巻き起こした元NMB48の須藤々花について「良いか悪いかは置いといて、確かに凛々ちゃんは誰もが思っていないようなことを発言することで人気だったメンバー。一緒に活動していた立場としては、"あ、凛々ちゃんだな"と思った」と話す。

 この出来事については、かずきさんは「びっくりした。自分の推しというわけではなかったからショックを受けるということはなかったが、"ちょっとどうなのかな"という気持ちにはなった」、りひとんさんも「選挙で上位にいこうと真剣に頑張っていたメンバーや、それを応援していたファンの世界観、気持ちを踏みにじるようなところがある行為だったので、ちょっと残念だった。それでも、もし仲間内に"お金を返せ"とうような人がいたとしたら、"それは違うんじゃないか"と言う。ライブや握手会の時間のためにお金を使っているのであって、自分とどうこうなるために使っているわけではない。"お前はライブを楽しんだだろ"と説教する」と話す。また、まさやさんは「もし僕が須藤さんを推していたら、"よくやった"って思ったと思う。面白いし、話題になった。それでテレビにも出るようになった。そもそも他の者を蹴落としてでも上にいくぞ、というコンセプトはやっぱり上手いし、だからこそ悔しいなとも思う」と、それぞれに複雑な心境を覗かせた。

■握手会ではメンバーに説教、セクハラ、泣かせるファンも

ドルオタ「運営は接触・チェキ会に頼りすぎないで」アイドルとファンの“適切な距離感”とは?元NMB48山田菜々「握手会で傷つく言葉も。問題は深刻」
拡大する

 しかし、世の中には彼らのような冷静なファンばかりではなく、過激な行動、時には犯罪行為にまで手を染めてしまうファンも存在する。レイ法律事務所の河西邦剛弁護士によると、ぬいぐるみやお菓子などのプレゼントにGPSや盗聴器を仕掛け、自宅を特定して郵便受けやゴミをチェックし、家族にも被害を及ぼす"プレゼントストーカー"や、頻繁にライブや握手会に参加し常連になり、個人的に会うなど、禁止されている特別扱いを強要、その時の写真を材料に揺さぶりをかけて、事務所にも言えないアイドルが憔悴してしまうなど、様々なトラブルが起きているという。日本大学法学部新聞学科教授の小林義寛氏は「女性アイドルの男性ファンが変だという像が作られ過ぎだと思うが、現実には男性アイドルが女性ファンから同じようなことをされるケースもある」と指摘した。

ドルオタ「運営は接触・チェキ会に頼りすぎないで」アイドルとファンの“適切な距離感”とは?元NMB48山田菜々「握手会で傷つく言葉も。問題は深刻」
拡大する

 そこまでの行為ではなくとも、メンバーと触れ合うことのできる握手会では、トラブルが後を絶たないようだ。りひとんさんが「握手会で下ネタを話したことを自慢げにTweetしている人がいた」、かずきさんも「ファンがメンバーを泣かせてしまい、握手会が一時中止になってしまったことがあった」と話すと、山田も「握手会での問題は本当に深刻だと思っている。48グループでは1枚あたり7~8秒の時間があったので、まだそんなに有名じゃない子たちの場合、30枚くらい取れたりする。そして、その時間を説教に使うファンの人がいる。プロとしてやっている以上、あまり言い返すこともできず、ずっと言われっぱなしになってしまう。もちろん応援しているからこそ言っているんだとは思うが、傷つく言葉を聞かされ、嫌な気持ちで終わってしまうパターンもある」と明かした。

ドルオタ「運営は接触・チェキ会に頼りすぎないで」アイドルとファンの“適切な距離感”とは?元NMB48山田菜々「握手会で傷つく言葉も。問題は深刻」
拡大する

 そんなアイドルとファンの関係性について、改めて聞いてみると、まさやさんは「アイドルは"インターネットをちゃんと勉強して!"と思う」と訴える。「一般の女性でもそうだが、アイドルがトラブルを起こすのはスマホの普及が原因。インターネットのことをよく知らずに画像をアップすることで、住所がバレてしまうこともある。細心の注意を払わなければいけないということを学んでほしいと思う」。りひとんさんは「"アイドルになった時の気持ちを忘れないで"というメッセージを送りたい。みんな最初はファンと個人的な関係になるという目的ではなく、キラキラした気持ちで、人気になりたいと思っていたはず。そのときの気持ちを忘れでほしい」と語った。

 また、かずきさんは「ファンについては、"応援する"という気持ちを一番の軸に置くことが大事だと思う。また、運営に対しては"接触に頼りすぎないで"と思う。オタクは可愛いからたくさん行ってしまうし、運営はチェキや握手会で簡単にお金を稼げる。だけどそこに頼り過ぎると、アイドルと話がしたいというオタクだけになってしまう。だからこそ、ステージで登っていけるようなアイドルを作っていってほしいと思う」と注文を付けていた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶動画:山田菜々らを交えた議論の模様(期間限定)

推しが結婚したらカネ返せ!? 実際にトラブルも...
推しが結婚したらカネ返せ!? 実際にトラブルも...
新川優愛×須藤凜々花の美女対決!
新川優愛×須藤凜々花の美女対決!
地上波未公開!ラストアイドル「ラスアイ、よろしく!」
地上波未公開!ラストアイドル「ラスアイ、よろしく!」
鈴木愛理の火曜The NIGHT
鈴木愛理の火曜The NIGHT
PRODUCE 48
PRODUCE 48
IZ*ONE CHU
IZ*ONE CHU
#乃木坂世界旅 今野さんほっといてよ!
#乃木坂世界旅 今野さんほっといてよ!

■Pick Up

【Z世代マーケティング】ティーンの日用品お買い物事情「家族で使うものは私が選ぶ」が半数以上 | VISIONS(ビジョンズ)

この記事の写真をみる(8枚)