「日本は自粛解除の基準も“やっていいこと・ダメなこと”の基準もわかりにくい」フランス在住のひろゆき氏が指摘する“日本との違い”
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 安倍総理大臣は1日夕方、専門家会議の報告を受け「緊急事態宣言の枠組みを概ね1カ月程度延長することを軸に、専門家の皆様の意見を伺いながら、地域の感染状況に対応した対策を速やかに調整するように指示した」「最終的には各地域の感染状況、また最新データを専門家の皆様に十分検討いただいた上で意見を伺い、4日に決定したいと考えている」と明らかにした。

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 緊急事態宣言が全国に拡大されてから2週間。多くの店がシャッターを閉め、都心からは賑わいが消え、一部の観光地も閑散とした。これまでの我々の自粛に効果はなかったのだろうか。ネット上には「なぜ日本は緩和できないのか」「自粛のお願いだけの精神論では限界ではないか」といった声が上がった。

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 一方、海外では少しずつ緩和の動きが広がっている。ドイツでは、先月から徐々に規制緩和措置を続けており、根拠・政策・補償をセットに国民に協力を訴えたメルケル首相の政権支持率が世論調査で3ポイント上昇し、38%になった。感染拡大が深刻だったフランスでも、今月11日から段階的にロックダウンを緩めることを発表した。

 1日の『ABEMA Prime』に出演したフランス在住の2ちゃんねる創設者・ひろゆき(西村博之)氏は「パリの場合、解除は当面されない感じだが、100km移動する場合には許可証を求めるという形にして、大丈夫な地域は解除している。都市によってはマスクをしなければ外に出てはいけない、この都市はマスクを付けなくてもいいといったルールが地域ごとに出始めていて、そのマスクについても配布や1枚200円で売るというようなことが発表されているので、分かりやすい。日本も東京や大阪などの大都市は延長すべきだと思うが、新規感染者が出ておらず、入院患者も少なく医療的にも余裕がある地域は解除してしまってもいいのではないか」と疑問を呈する。

 ひろゆき氏の話す通り、フランスではパリ主要交通網を席数は半減し70%程度に回復させ、商業施設に関しては、4000平方メートル未満の商業施設は11日以降は再開が可能で、カフェなどは6月2日以降の再開を今後検討するとしている。企業に関してはテレワークを継続、適宜ローテーション制を導入。学校に関しては、保育園・幼稚園・小学校は再開可能だが、登校は自由となる。中学校については18日以降再開可能で、高校については当面休校となるという。

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 この点について、厚生労働省やWHOで医療政策に携わった坂元晴香・東京大学大学院特任研究員は「この数週間、皆さんが働き方・生活を頑張って変えてきた成果が出てきていると思う。それでも3月下旬にかけて一気に増えた時の勢いほどには新規感染者数が減ってはいないため、“期待したほどではなかった”という判断としたのだろう。1日の専門家会議の発表では、実効再生産数が1を下回ってきていると言っていた。ただ、こちらも下がり方が期待したほどではないということだった。また、医療関係の方々は病床の調整なども含め、前線で頑張ってきた。それでも特に人工呼吸器につながれて集中治療室にいるような重症者は平均2~3週間くらい入院しているので、医療体制に余裕を持たせるにはまだ少し時間がかかるということだ」と説明。

 「だからこそオーバーシュートしていないし、人口当たりの死者数も低く抑えられている。また、感染者数が多く医療体制も逼迫している地域と、新規感染者がほぼ出ておらず医療体制に余裕があるところとでは対策は変えてよく、後者に関しては緩めていく方向でいいと思う。一方で、流行している地域から県を跨いで移動してしまうことで、感染を拡大させてしまうという懸念がある。そこのところをどう考えていくかだ」と話す。

 「専門家会議の提言などを読んでいても、基本的には流行状況に合わせて対策を変えていくという考えた方が中心だ。ただ、今の日本では移動の制限をかけられないので、段階分けをすることで国民の皆さんに理解してもらおうということだと思うが、それぞれの地域がどれくらいの温度感で対策すればいいのかについては分かりにくいと映るかもしれない」。

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 自粛維持か緩和かについて、専門家会議では考慮すべき要素を2つ挙げている。一つは疫学的状況だ。感染が一定範囲に抑えられていることが重要になる。必要なPCR検査などが迅速に実施できることが求められる。もう一つは、医療状況だ。医療提供体制が確保できていることが指標となる。医療機関の役割分担や搬送体制・病床管理体制の確立などがこれに当たる。

 一方、今月11日に封鎖解除されるフランスの基本方針は「ウイルスと共に生きる」「段階的」「地方ごと」ということが言われている。内容としては、「防御・検査、隔離」の徹底、従来通り社会的距離・手洗い・マスク着用等の推奨、11日以降も毎週状況を確認する。6月2日以降、新たなフェーズに入れることを期待するとしている。仮に流行の第2波が確認された場合は、再度外出制限に戻ることになる。

 ひろゆき氏は「日本も活動を再開させることで感染者数は増えることになると思う。その意味でも、どうなったら緊急事態宣言を止めるのか、という基準、数値目標を決めなければならないのではないか。フランスでは自分がどうなるかということが分かりやすくなってきていて、例えば幼稚園については“15人以下のところだけ”“医療従事者の子どもは優先的に入れるが、営業していない飲食店の子どもは家で見て下さい”といった基準を作り始めている。日本の場合、自粛要請なので、そもそもやっていい・いけないも分からないし、解除でやっていい・いけないということも分からないので、やりづらいだろう。あるいは専門家会議の中では数字を元に話をしていると思うが、それが政策になると言えない理由があるということだろうか」と質問。

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 すると坂元氏は「自粛している側としては相当つらいので、ある程度の目安が出てくることで頑張れると思う。その意味で、私も再開の目安などを都道府県ごとにはっきりとした数字で示した方がいいと考えている。フランスの方針を見てみたが、確かに“この分野は何月何日から何をしていい”とか、“業種ごとにこういうマニュアルを作りましょう”といったことが非常に細かく説明されている。一律に自粛要請して全てダメとするのではなく、そういう目安で示していくということはそろそろやってもいいのではないか。おそらく新規感染者数や実効再生産数、または医療機関のキャパシティに加え、地域ごとの集中治療のベッドの空き状況が鍵で、それが具体的に出てくるのではないかと思うし、あるといいなと思っている。一方、そうした数値を言わない理由は専門家会議の問題ではなく、それを踏まえてメッセージを発表している政府の側なのではないか」とコメント。

 フランスの対応ついては「大きなトレンドで感染者数が減少してきているので、段階的に解除するという方針に踏み切ったのだと思う。地域や業種ごとに細かく基準を設定しているし、メッセージもはっきり打ち出していると思う。ウイルスと当面の間は共存せざるを得ない、そして感染の流行の波が来る可能性があるので、そうすれ再びロックダウンもあると明示した上で解除するということなので、分かりやすいと思う」とした。

 さらにひろゆき氏は「国民が政治に対して強くすぐに焼き討ちをするような国民性だ。そういうこともあって、会社員の手取りの84%を国が補償することになっている。営業禁止となってもお金の心配はしなくてもいいので、家にいようと思える。この差は大きい。日本でも本来なら“10万円では足りない”という話になるのに、皆が文句を言わないので、扱いやすいと思われるのだろう」と皮肉っていた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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