「リベラルで前向きな憲法改正というものがあるはずだ」山尾志桜里議員が国民民主党を選んだ理由…古巣・立憲民主党との“合流話”に複雑な心境も
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 「時代にそぐわない古い政治文化を刷新して、時代が必要とする新しい政策議論・憲法議論の一助になれたらと考えた」。先週、そう述べて国民民主党に入党した山尾志桜里衆議院議員。

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 2009年に旧民主党公認で愛知7区から出馬し初当選。元検察官という経歴を活かし「有事法制」や「特定秘密保護法」、「共謀罪」など、憲法に関する法案審議で鋭い論を張った。2016年には旧民主党の後身・民進党で政務調査会長に抜擢。岡田克也代表(当時)も「間違いなく将来のリーダー候補の1人だ」と話すなど、期待の人材とされてきた。

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 ところが翌年、既婚者の男性弁護士とのスキャンダルが報じられ無所属に。同年の衆院選で再選すると、枝野幸男代表率いる立憲民主党に入党。自民党の憲法9条改正に対抗する独自案を提示するなどの活動を見せてきたが、今年3月、再び離党して無所属となっていた。枝野氏らとの衝突も報じられているが、どのような経緯があったのだろうか。また、今後の政治活動についてどう考えているのだろうか。『ABEMA Prime』が直撃した。

■幹部たちと対立し立憲民主党を離れる…国民民主党は何が違うのか?

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 山尾議員が立憲民主党に違和感を覚えたのは、去年の秋ごろだったという。

 「憲法審査会で“自由に議論をしましょう。意見の違いは議論を通じて解決していきましょう”と言った。すると、“憲法論議は前に進めないという立場なので、余計なことは言うな”と言われた。“ちょっと待て”と。“立憲”というからには憲法の議論をしなければならないはずだし、“民主”というからには議員の発言にいちいち“あれはダメ、これはダメ”と言うようでは困る。その頃から、どうすれば国会議員としての役割を果たしていけるのか、と悩むようになった」。

 今年に入ると、新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案をめぐって枝野代表ら党首脳部との意見の対立が表面化する。山尾議員は外出自粛要請などが私権制限につながるという考えを持っていたが、党は改正案に賛成。山尾議員は3月、ついに立憲民主党を離党する。

 「1週間という短時間で、中身を詰めずに結論ありきで決めてしまった。“ちょっとこれは無理だな”と思った。それ以前にも、国対委員長が壁に新聞を貼って〇とか×を付けるということもあった。そういうメディアに対する姿勢にも問題があったと思うし、1期目の皆さんがものを言えないような、先輩議員との人間関係の問題もあった。党内の会議などで、そういうところは直すべきだと空気を読まずに言ったこともある。しかし、力が及ばなかった。辞めて、無所属でやれることをやってみようと考えた」。

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 そして先月、国民民主党入りを表明、今月、正式に入党する。

 「やはり経済と憲法だ。玉木代表は、少なくとも半年程度は一時的に減税をして生活や消費を立て直そう、その上で税と社会保障の関係について期限を切って決めようと打ち出している。憲法についても、少なくとも議論はしていこうという立場だ。玉木さんは9月までに、そうしたことも含めた社会像を出すと言っている。私はできることなら、それを改憲案にすればこうなる、ということを出したい。私は皆が困っていることを解決するための、リベラルで前向きな憲法改正というものがあるはずだと思っているし、他国ではリベラルな側が“もっと人権を保障して下さい”“しっかり三権分立して下さい”と提案している。“なるほど。こういう考え方でやれば、問題が解決できるかもしれない”と思えるような憲法案を出していきたいと思っている」。

■入ったばかりの国民民主党が、古巣の立憲民主党と合併か

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 そんな中だが、立憲民主党と国民民主党は今も合流・合併を視野に入れている。“党名以外では折り合っている”とする共同通信の報道に対しては両党とも否定しているが、協議は水面下で進行しているようだ。

 一連の報道に山尾氏は「玉木代表とは具体的な政局に向けた生々しい話はしていない」と苦笑しつつ、「自民党に政権交代してから野党はバラバラだが、それでもまとまりたい。しかし考えが違うところがあるので、まとまろうとすると政策がぼんやりする、ふんわりする。その矛盾を解決するのがとても難しい。ただ、“まとまれ圧力”が強すぎて、政治家が本来やるべき仕事ができていないのではないか、とも思う。むしろ、一緒にやれるという人が少なくなってもいいから、まずは“勝ったらこれをする”ということ示し、そこから改めて広げていくということを考えた方がいいのではないかと思っている」と説明。

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 ジャーナリストの堀潤氏は「本当に両党が合流するというのなら、あの“希望の党”の騒ぎは何だったのかということをしっかり説明してもらわなければ困る。野党共闘についても、“共産党さんは何とか大臣”“立憲さんは何とか大臣”“総理はこういう形でどこから出す”ということをちゃんと示し、経済政策や、自民党に対抗する憲法改正草案についても示していただきたい。それがないので、選挙になると“力合わせましょう”“ダメだった”という繰り返しだ」と指摘。

 NHKのアナウンサー時代、民主党による政権交代を間近に見ていた経験から、「自民党が下野したとき、国会のロビーで派閥の長たちが余裕綽々で談笑しているのを見て、“自民党は強いな”と思ったのを覚えている。主義・主張や憲法観が違ったとしても、一丸となって“我々が国民政党だ”と開き直れるのが自民党の強みということだ。一方、民主党は下野した後、あっという間に仲間割れが始まってしまった。それが再びまとまろうとしても、結局また離れてしまうのではないかという不信感がある。自民党に入るという選択肢はなかったのだろうか」と疑問を呈する。

 山尾氏は「入れてもらえるかということは置いておいて、自民党に入ろうと思ったことは本当に一度もない。自民党にも、ものを言えないカルチャーがあると思う。ただ、自民党は人材供給源だし、政策供給能力もある。私が10年前に政治活動を始めたのは、そういう人材供給、政策供給ができて、できることなら政権を担いうる“もう一つの塊”が日本に必要だと思ったからだ。そこは揺るがせにしたくない」との考えを示した。

■やはり国民民主党も一枚岩ではなかった?

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 先月末、国民民主党に所属する小沢一郎衆議院議員と対談したお笑い芸人のカンニング竹山は「山尾さんのおっしゃるように、僕も野党をまとめるなんて無理だと思っているので、小沢さんに疑問をぶつけた。すると“連合では意味がない。7月くらいまで新党を作る”と答えた。“このまま解散総選挙なになってしまったら、みんな落ちてしまう。そうならないためには、まとまらなければならないと心の底では皆が思っている”とおっしゃった」と話す。

 山尾氏は「それが政治家の本音だし、意見が違う者同士が当選のために仲間のふりをしているということはバレる。野党共闘という言葉のマイナスイメージが強くなっているのも、それが原因だと思う。野党が候補者を一本化することで当選する人は増えるかもしれないが、それ国民にとってどんないいことがあるのかが見えてこない。老練な小沢さんのことなので野党共闘なり選挙協力なりで動いているのかもしれないが、私にはあまり関心がない。“私たちの解決策はこれだ”と打ち出したらいいと思うし、それをやると言ったから国民民主党に入った」と答えた。

 しかし、国民民主党も一枚岩でないことは東京都知事選でも露呈している。竹山が対談した小沢議員は立憲が支援した宇都宮健児氏を応援した一方、前原誠司衆院議員は日本維新の会推薦の小野泰輔氏を、馬淵澄夫衆議院議員はれいわ新選組の山本太郎代表をそれぞれ応援している。

 「今回の都知事選では自主投票という形を取ることで、ガバナンスとしては最低限ぎりぎりのところで守ったのかなと思う。自分が民進党時代に政調会長として全国に選挙応援に行ってしみじみ感じたのは、選挙応援はすごく責任が重いということだ。候補者を選び、そこに党が一枚岩になって突っ込んでいくということは、実は極めて難しいことではないかと思う。だからいない時には“いません”と、いる時は一律で“応援する”という方が自然なのではないか」。

■地元・愛知を離れ、東京に“国替え“報道も

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 山尾氏は「確かに一部報道で、愛知の外に出ると報じられたが、選挙区については白紙ということで入党した。党本部にも確認をしたが、“約束通り、何も決まっていない”という回答だった。よく政治家は報道を使って既成事実化し、外堀を埋めていくことをするが、私は好きではないし、そういうことはやめてほしい」とした上で、次のように話した。

 「あまりプライベートのことを話すのは好きではないが、シングルマザーとして東京で国会の仕事をしながら子育てをしているので、週末ごとに愛知に帰って運動をするのは難しいところもあるので、私自身も悩んでいる。“それができないのなら議員失格だ”という永田町的な考え方もあるが、そういう政治を変えていきたいという思いもある。選挙区の皆さんに伝えることも大事だし、国会議員は全国民の代表者と憲法で決まっているので、その点も大事。そういう思いで、次の選挙区のことは良く話し合っていきたい」。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

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