「特定の地域や年代を除外するような制度であってはいけない」星野リゾート・星野佳路代表、GoToトラベルめぐる政府の対応に苦言
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 東京からの発着や東京を目的とする旅行を対象から外すことが決まり、物議を醸している「GoToトラベル」事業。

・【映像】"GoToトラベル"本当に今やるべき? 星野リゾート代表の"withコロナ時代"観光・ツーリズムの新しいカタチ

 17日の『ABEMA Prime』に出演した星野リゾートの星野佳路代表は、今回の政府の判断について「緊急事態宣言が出ない限りは淡々とやるという覚悟でいなければ、経済と感染抑制の両立を目指すことはできない」と批判する。

 「旅行というのは、予約する日と実際に宿泊する日にギャップがある。場合によっては、1カ月、2カ月、3カ月先の日程を予約することになる。つまり、感染者数が上がったり下がったりすることにも耐え得る制度、いつスタートしても構わない制度であるべきだ。その意味では、ちょっと感染者数が上がったからといって、すぐにその地域を対象から除外したり、あるいは特定の年代を除外したりするようではいけない。コロナが今後1年、2年と続くことを考えれば、GoToトラベル事業があろうがなかろうが、観光産業としては、観光地にある程度の人を呼び、日本の国内観光は感染に繋がらない、安心・安全ものだと示すチャンスにしなければならない。特にこの7、8月は観光シーズンだ。第一波が収束した、この緩和期にテストさせて欲しかった」。

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 さらに星野氏は「GoToトラベル事業は、“盛り上げる”“売上を上げる”ではなく、“下支えする”“利益をサポートする”という発想が大事だ」とも指摘する。

 「観光事業を盛り上げれば観光地に人が溢れ、感染拡大に繋がってしまう可能性がある。日本中の観光地が三密回避を一生懸命頑張っている中で“山を作る”ということではなく、平日や人の少ないシーズンをサポートするすることで年間通しじて山を平準化させ、観光地が密にならないようにすべきだ。そのような需要を作る制度にすべきだったと思っているし、今からでもできると思っている」。

 また、星野氏は「今はインバウンドは来ないし、東京などの大都市圏の人たちも“行こう”という気持ちが十分ではない。また、受け入れる側の気持ちが揺れることもある」として、観光業界がコロナ禍を乗り切るために「マイクロツーリズム」「混雑緩和の休日分散」を提言している。マイクロツーリズムとは、「30分から1時間で行ける範囲に出かけ、地元の魅力を再発見する小さな旅行」のことを指す。

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 「いま最も安定したマーケットは、観光地から1時間圏内くらいの方々にある。これは人口としては少ないかもしれないが、リピートする確率は高い。ニューヨークから来る人が年に4回来ることはないが、1時間圏内の人たちなら春夏秋冬ごとに来る可能性がある。実は1960年代、1970年代の日本の観光は、ほとんどがマイクロツーリズムだった。私の実家は軽井沢にある旅館だが、東京から人が来たのは7、8月だけで、それ以外のシーズンは長野県や群馬県の人たちが温泉に入ってゆっくりしていった。交通網が発達し、“遠くに行こう”“遠くから来てもらおう”となったが、もう一度マイクロツーリズム市場の安定度、良さを見直せば、第二波や再度の緊急事態宣言が来ても維持できるのではないか。東京・大阪で感染爆発が起こっても、全国一律に県境をまたいだ移動を禁止するのではなく、このマイクロツーリズム市場を意識して、県境をきめ細かく残しておこうという発想が重要だと思う」。

 また、「休日分散」についても、「休みを分散することで、値段が下がる。そうすれば、1泊、2泊しかできなかった人が3泊、4泊行けるようになるなど、良いことがたくさんある」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)

"GoToトラベル"本当に今やるべき? 星野リゾート代表の"withコロナ時代"観光・ツーリズムの新しいカタチ
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