2021年12月18日(土)・19日(日)に大阪・インテックス大阪にて全6公演が行われ、好評を博したこのライブ。その千葉公演として1月8日(土)・9日(日)・10日(月・祝)の3日間、幕張メッセにて全7公演が行われた。その最終公演のレポートをお届けする。
【見逃し配信】ヒプマイ新作3DCG LIVE "HYPED-UP 01" 19:00
2017年11月開催の「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 1st LIVE@イケブクロ アニメイトガールズフェスティバル2017」から、2021年8月7日(土)・8日(日)に行われた「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 7th LIVE《SUMMIT OF DIVISIONS》」まで、有観客・無観客を合わせて7回のライブを行ってきたヒプノシスマイク。
そしてこれまでのライブは、キャラクターを演じる声優陣がステージに立ち、パフォーマンスを展開するという構成で展開された。しかし今回のライブは「3DCG LIVE」と銘打たれたように、ステージ上に据え付けられたスクリーンに、6ディビジョン総勢18名のキャラクターが3DCGで登場し、ヒプノシスマイク楽曲をパフォームするという、これまでのライブとは大きく内容と構造が変わった新機軸のライブとして話題を呼んだ。
そしてその会場となった幕張メッセにはその新たな試みを目撃しようと、開演前から多くのファンが集い、ライブのスタートを待ちわびる。また、それぞれの推しのキャラクターグッズや、ディビションカラーを取り入れたコーディネート、そしてコスプレなどを通して、思い思いにこのライブへの期待を高める姿も印象的だ。
多くのファンで埋め尽くされた会場のBGMが鳴り止み、会場の明かりが消えると、ステージでは火柱が上がり、香取慎吾やももいろクローバーZなどの作品を手掛け、ヒプマイでは.Fling Posse VS MAD TRIGGER CREWのバトル曲「Reason to FIGHT」を作編曲したDJ、“TeddyLoid”を擁するバンド隊が登場。
そして新たなグッズ(SS席限定)として制作された、たたくと音が出るマイク型ライト「HPMI CLAP MIC」が生み出す客席からの拍手に導かれるように、センタースクリーンには18名のキャラクターが登場し、ライブはヒプマイのアンセムとも言える「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- +」からスタート。
両サイドの2枚のスクリーンでは、パートを歌うキャラクターがアップで映し出され、いわばセンターステージで歌うアーティストをクローズアップして映すスクリーンとして機能することで、通常のライブと同じような感覚で3DCGライブを体験することが出来たのも興味深い。また生で観ると予想以上にキャラクターの動きがスムーズで、この曲での伊弉冉一二三のシャンパンコールの盛り上がりは、これまでのヒプマイライブとも遜色のない熱気を感じさせられた。
同じく18人による「Survival of the Illest +」に続いては、イケブクロ・ディビジョン“Buster Bros!!!”の山田一郎、ヨコハマ・ディビジョン“MAD TRIGGER CREW”の碧棺左馬刻、シブヤ・ディビジョン“Fling Posse”の飴村乱数、シンジュク・ディビジョン“麻天狼”の神宮寺寂雷、オオサカ・ディビジョン“どついたれ本舗”の白膠木簓、ナゴヤ・ディビジョン“Bad Ass Temple”の波羅夷空却と、各ディビジョンのリーダーによるMCが挟まれたが、会話に加えて、キャラクター同士が前を横切る、後ろに回るといったアクションにも違和感が無く、普段のライブのコミュニケーションと何ら変わらないMCが展開された。
またMC中で「オーディエンスと一丸となって楽しむのが今回のコンセプト」という言葉があったように、昨年いっぱいに渡って各ディビジョンが雌雄を決した、ヒプマイ二度目のバトルシーズンである「2nd D.R.B」が、シブヤ・ディビジョン“Fling Posse”の優勝で幕を閉じ、現状はノーサイドとなっている状況もあり、今回のライブはバトル性よりもエンターテイメント性が重視された内容となっていた。
そしてライブはイケブクロ/ヨコハマ/シブヤ/シンジュク/オオサカ/ナゴヤ・ディビジョンの順でそれぞれのディビジョン楽曲を2曲ずつ披露。その際、山田一郎のようにハンドマイクを持つキャラクターもいれば、元海軍の毒島メイソン理鶯のトランシーバーを模したマイク、小説家の夢野幻太郎が持つ戦前の電話機のような受話器を模したマイクや、芸人の白膠木簓が持つスタンド型のいわゆる漫才マイク(サンパチマイク)、ヴィジュアル系バンドのヴォーカルである四十物十四の過剰にデコラティヴなマイクなど、通常の音楽ライブでは使用不可能な大きさや造形を持つ、それぞれのキャラクターに沿ったマイクも記憶に残った。
その意味でも、キャラクターが観客に呼びかけるMCや、バンドとキャラクターのセッションも含めて、通常のライブに近い「生々しさ」と、キャラクターや3DCGでしかありえない「ファンタジー」の両輪が、今回の3DCGライブを加速させていたのは間違い無いだろう。
山田二郎、入間銃兎、夢野幻太郎、伊弉冉一二三、躑躅森盧笙、四十物十四のMCに続いてライブは後半戦へ。“Buster Bros!!!”がキャッチー且つカラフルな「IKEBUKURO WEST GAME PARK」を披露すれば、“MAD TRIGGER CREW”はヒプマイの中でも屈指の鬼気迫るハードさを持つ「HUNTING CHARM」をぶつけ、“Fling Posse”はダンサブルさとエモーショナルさを同居させた「Black Journey」をパフォームし、オーディエンスの熱気は更に高まっていく。
続く“麻天狼”は「Shinjuku Style ~笑わすな~」でヒリヒリするような渋みと言葉の重みを提示し、“どついたれ本舗”はCreepy Nutsが手掛けたオオサカならではのコミカルさを聴かせる「あゝオオサカ dreamin'night」で客席をエンターテインし、“Bad Ass Temple”は「開眼」で3MCのキャラクターの強さとタイトなラップの掛け合い、そしてバンドサウンドのとの相性の良さをアピールし、観客の熱気は最高潮に。
そして山田三郎、毒島メイソン理鶯、有栖川帝統、観音坂独歩、天谷奴零、天国獄のMCに続いて、ステージには再び18人のキャラクターが登場し、「Hang out!」から「SUMMIT OF DIVISIONS」と展開し、パフォーマンスは終了。各キャラクターがそれぞれの言葉で観客に呼びかけ、大きな拍手が巻き起こるなか、ライブは幕を閉じた。
成長の過程にあるといえる3DCGライブ。これがより精度を増し、よりスムーズな動きを見せ、より立体化したとき、そこにはどんな光景が待ち受けているのか。恐らくキャラクターカルチャー、キャラクターライブは大きな変革を迎えるに違いないだろう。そしてその道を「ラップ × キャラクター」という発明を生み出し、アニメや舞台など、カルチャーを横断しながら常に進化し続ける「ヒプマイ」というプロジェクトが切り拓いていくというのは必然なのかも知れない。そう思わされる充実の内容だった。
なおこの日のライブの模様は、Blu-ray&DVDとしてヒプマイの公式ファンクラブ「HYPSTER」会員限定でリリースされることが決定した。回替わりで披露された「Hoodstar +」「Hang out!」両曲とも収録されるのでご期待頂きたい。
Text by: 高木"JET"晋一郎
Photo by: 山副圭吾、今元秀明
~「ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 3DCG LIVE “HYPED-UP 01”」セットリスト~
M1:ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- +
M2:Survival of the Illest +
M3:おはようイケブクロ
M4:Re:start!!!
M5:Yokohama Walker
M6:シノギ(Dead Pools)
M7:Shibuya Marble Texture -PCCS-
M8:Stella
M9:パピヨン
M10:TOMOSHIBI
M11:笑オオサカ!~What a OSAKA!
M12:なにわ☆パラダイ酒
M13:Bad Ass Temple Funky Sounds
M14:R.I.P.
DJ & Band Solo
M15:IKEBUKURO WEST GAME PARK
M16:HUNTING CHARM
M17:Black Journey
M18:Shinjuku Style ~笑わすな~
M19:あゝオオサカdreamin' night
M20:開眼
M21:Hoodstar +
Hang out!
※公演回替わりで披露
M22:SUMMIT OF DIVISIONS
ABEMAにて公演を見逃し配信中
1月10日(月・祝)幕張メッセ展示ホール2・3号館(千葉県)で開催された14:30公演と19:00公演は「ABEMA PPV ONLINE LIVE」で生配信も実施された。1月16日(日)まで見逃し配信の視聴が可能だ。
●詳細ページ
https://abema-ppv-onlinelive.abema.tv/posts/23900417
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