オープニングでは、ひとりひとりにスポットライトが当たり登場。各自の“願いの力”を象徴したカラージャケットを身に着け、TAKAHIRO、AKIRAに続き、橘ケンチ、黒木啓司、TETSUYA、NAOTO、NESMITH、SHOKICHI、小林直己がそれぞれ花道を歩いて登場。岩田剛典、白濱亜嵐、関口メンディー、世界、佐藤大樹、そして最後にATSUSHIがやってくると、超満員の場内から一斉に拍手が沸き起こる。TAKAHIROの「セミファイナル、楽しんでいきましょう!」という掛け声とともに『Rising Sun』で華々しい幕開けとなった。
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続くツアータイトルにもある『POWER OF WISH』。「改めまして東京ドームの皆さん、EXILEです!」とATSUSHIの挨拶とともにパフォーマー勢も息の合った華麗なる踊りを展開し、それぞれが持ち味を発揮する、刺激的で力がみなぎるパフォーマンスを観客に届けた。
場内が白いライトで照らされると、SHOKICHIのドラムス、NESMITHのギターが場内をつんざく。ここに白濱のDJプレイも加わり、流れるように『RED PHOENIX』へ。
力強さを象徴する赤い衣装でパフォーマンスが始まると会場をアゲる曲が続き『24WORLD』ではトロッコが出現し、メンバーたちが外周タイムに。「24、何回聞いてもいい!」「この曲聞くとテンションあがります」「家だけどずっと立ってる!」とお待ちかねの曲にコメント欄もにぎやかになった。黒木は佐藤とふたりでトロッコに乗り込み、年長組と最年少の佐藤という目じりの下がる取り合わせ。これには、「泣ける」「エモい」と感傷にひたる声も上がる。
前半戦が終わると、「タオルを回してパワーをためよう!」というコメントがスクリーンに映し出され、EXILE THE SECONDのパートに移る。ダイナミックなSECONDならではの躍動感に観客も釘付けになり、あっという間に最後の『RAY』へ。SECONDでの活動も、東京公演で幕引きになる黒木。メンバー全員で肩を組む頃には、その目にはうっすら涙がたまっていた。コメントでは「けいじさん、泣かないで」「もう無理…」「最高です」「輝いてる!」と黒木へのメッセージであふれ、マイクを向けられた黒木は絞り出すように「ありがとう…!」とシャウトしていた。
後半戦はEXILEの『Lovers Again』からスタート。しっとりとしたバラードに相応しく、黒スーツ姿で現れた面々。ATSUSHIとTAKAHIROが背中合わせとなり美声を響かせ、懐かしい曲と2人のハーモニーに「最高」とコメント欄も盛況だった。
MCでは、ATSUSHIが「セミファイナルを迎えることができて、マスクごしの笑顔を見られました。温かい拍手を本当にありがとうございます」と心地よいトーンで語りかける。TAKAHIROも「このツアー、楽しいですね!いつもにも増して、皆さんの笑顔とパワーがマシマシな会場です。今日を入れて残り2公演、忘れられない思い出がたくさんできました」とATSUSHIに続いた。ラスト曲は『愛すべき未来へ』。ATSUSHIとTAKAHIROが歌うのを囲むようにパフォーマーが座り、しっとりした雰囲気を作り上げた。
アンコールでは、「Your eyes only ~曖昧なぼくの輪郭(カタチ)~」や「FIREWORKS」といったEXILEの様々な名曲をダンストラックにアレンジしたダンスショーケースからスタート。アンコールの初っ端からフルスロットルで踊るだろう彼らの気合いに、観客の息も興奮で荒くなる。11名が揃ってパフォーマンスを始めたと思いきや、すぐさまソロのナンバーへと移った。NAOTOの小気味よいダンストラックの後は、AKIRAが迫力のクランプでタンクトップを引きちぎる。懐かしい曲はそのままに、岩田、黒木、佐藤とヒートアップした踊りが続く。
そして、黒木をはじめとした二代目J Soul Brothersの7名で決めた後は、TETSUYA、小林がバリエーション豊かな楽しいダンスを披露。橘が大柄の体を生かした派手なパフォーマンスをすれば、関口も上半身裸で勢いに乗る。さらに白濱、世界へとバトンを渡し、最後は再度全員が集まりフィニッシュ。
ボーカル勢が加わり、24karatsメドレーが始まると、コメント欄では「アツイ時間キター!」とファンも大騒ぎ。メンバーのボルテージも上昇し、パフォーマーの約半数はジャージを脱ぎ捨て上半身裸で客席を煽り、激しさは勢いを増した。
いよいよフィナーレも近づくと、ATSUSHIがマイクを取り「皆さんの感動がステージまで伝わってきました」と語る。TAKAHIROも「明日で終わりなんだなと思うと、達成感もありながら、どこかで寂しさも感じて。初めてくらい複雑な気持ちです。何度も涙が出そうになってしまいました」と感傷的なコメントをしたと思いきや、直後に「そのたびに(関口)メンディーを見て、ぐっと涙を引っ込めて、どうにか『道』を歌い切ることができました」とジョークを飛ばす。関口が破顔すると、ATSUSHIも「癒やされるからね。いい笑顔してるもんね」とにっこり。
この人の声が聞きたいのではと、ここで黒木にマイクが渡る。黒木は「ありがとうございます。自分ごとではありますが、今日と明日の公演をもって…EXILEそして芸能界引退を決めさせていただきました」と言い終わると、ぐっと唇をかみしめる。何度もこみ上げるものを抑えようとしている様子の黒木だったが、それでも言葉を紡いだ。「メンバー、スタッフさん、何よりもファンの皆さんと積み上げてきた17年間は、本当にかけがえのないものでもありますし自分の…人生の……一生の宝物だなと感じています」と言い、涙を落とすまいと思わず上を向く。
「今日も楽しいライブのはずなのになぜか…自分でもどういう気持ちかわかりませんが、ところどころで涙があふれていました」と言い終わらないうちに、涙が頬をつたう。「自分でも不思議な気持ちですし、なかなかこういう気分は味わえないんだろうなと思って。ここに立たせていただいた17年間、感謝の気持ちでいっぱいです。僕はもともとJ Soul BrothersのファンでEXILEになることができ、明日で引退はしますが、皆さんと同じようにこれからはまたEXILEのファンとして、EX FAMILYとして皆さんと同様、EXILEを応援していきたいです」と、これから先も一員であると誓っていた。
「本当に…何もなかった自分を拾っていただいたHIROさんをはじめ、オリジナルメンバーの皆さん、そして今ここにいるメンバーの皆さん、ファンの皆さん、本当にありがとうございました。…ああ…本当に楽しかったです!心から感謝の気持ちでいっぱいです」と言い、最後は黒木発案の“ワンクラップ”で会場とひとつになった。ラストソングは、EXILEの代表曲『Choo Choo TRAIN』。黒木を先頭に笑顔でローリング・ダンスからスタートし、晴れやかな顔でパフォーマンスを行った。会場から去り際、TAKAHIROと肩を組みながら黒木は「EXILE最高!!!ありがとうございました!」とシャウトして去って行った。
テキスト:赤山恭子