2011年にグループの1期生として加入した松村。さゆりんごの愛称で親しまれ、アイドルとしての活動以外にも、役者業や、ファッション雑誌『CanCam』で専属モデルを務めるなど、幅広い活躍を続けてきた。今年の4月15日に自身がMCを務めるニコニコ生放送の番組「生のアイドルが好き」で卒業を発表。2日間にわたり行われた卒業コンサートには乃木坂46のメンバーが出演したほか、卒業生もゲストとして登場し、節目に花を添えた。なお本公演は政府発表のガイドラインに従い、収容人数を制限した形の有観客で実施され、2日目は生配信も行われた。ABEMATIMESではその2日目の様子をレポートする。
さゆりんご軍団は解散しません!
さゆりんご軍団と乃木坂46の2部構成で行われた今回の卒業コンサート。齋藤飛鳥、樋口日奈、星野みなみ、和田まあやの“1期生 ヤングチーム”による影ナレが行われた後は、まずは、さゆりんご軍団が登場。現役メンバーの寺田蘭世に加え、卒業生の伊藤かりん、佐々木琴子、中田花奈もステージに登場し、オリジナル曲「ぐんぐん軍団」「白米様」から勢いよくライブをスタートさせた。
最初のMCで松村は「これがさゆりんご軍団の、解散ライブになります。さゆりんご軍団が結成されて7年、長いことやってきましたけど、今日で幕を閉じます」といきなり宣言。この話を聞いていなかったという軍団員の中田は「私はみんなより後から入って、今日がほぼ初ライブくらいで…今日のために曲を覚えてきたのに、これで終わりなんだと思うと悲しいですね」と悲しげな顔を見せつつ、「なので今日、全部を出し切ります!」と気持ちを切り替えていた。
その後、ライブは「さゆりんごが咲く頃(ハルジオンが咲く頃)」、「何度目の軍団か?(何度目の青空か?)」「ライス!(ハウス!)」といった乃木坂46人気曲の、替え歌バージョンが届けられると、真夏さんリスペクト軍団の楽曲のパロディ「りんごのパクリから(2度目のキスから)」では、曲中に秋元真夏と鈴木絢音も登場し、さゆりんご軍団と愉快なバトルも繰り広げていた。
それからさゆりんご軍団と真夏さんリスペクト軍団のコラボ曲「大嫌いなはずだった」をキュートに届けた両軍メンバーたち。さゆりんご軍団のオリジナル曲「働き方改革」を歌唱した後は、サプライズVTRが流され、JAグループ会長の中家徹氏が登場。音楽を通じ白米の魅力を伝えた松村の功績を称え、一生分のお米、60kg分の米俵60俵が贈られることが発表された。さらにこの映像のナレーターを務めた声優で歌手の堀江由衣からのメッセージが届けられると、堀江の大ファンを公言する松村は大感激した様子。このVTRを受け松村は「さゆりんご軍団って需要ありそうですね…。さゆりんご軍団は解散しません!」と突如解散を撤回。解散ドッキリだったことが明かされると、最後は「さゆりんご募集中」をキュートに届け、大盛り上がりの中で第1部の公演は幕を閉じた。
からあげYeah! からあげYeah!
第2部はまず松村のソロ曲「さ~ゆ~Ready?」からスタート。それからステージには乃木坂46メンバーが登場し、松村をセンターに据え「ガールズルール」をエネルギッシュに届けた。「夏のFree&Easy」「ロマンスのスタート」といったアッパーチューンを連続でパフォーマンスし、ファンを熱狂へと誘うと、MCコーナーに突入。キャプテンの秋元が「いよいよ、この日がやってきたんですけど、まちゅ、どうですか? 最終日」と感想を聞くと、松村は「本当にこれで終わりという実感がせぇへんけど、これが最後やと噛み締めて1曲1曲をやらなきゃあかんなと思います! えへっ」と笑顔を見せた。
最新シングルの表題曲「ごめんねFingers crossed」が届けられた後は、VTRが流れ、同期の白石麻衣卒業後に「白石さんが卒業しちゃって松村さんは寂しいと思うから、私が松村さんに声を掛けます」と寄り添ってきたある心優しい後輩のエピソードが紹介された。その後輩とは3期生の向井葉月。そこで今回はグループ加入前から乃木坂46ファンの向井が白石のポジションに立って、彼女をフィーチャーする形で「でこぴん」が披露された。それから松村は新内眞衣と2人で「今、話したい誰かがいる」をパフォーマンス。プライベートで一緒に旅行する仲の松村&新内コンビが曲の途中涙で歌えなくなると、コメント欄には「泣く…」「感動した…」「これはあかん、、、」などの声が続々と寄せられていた。
それから松村はからあげ姉妹の相方である生田絵梨花と共にセーラー服姿で「無表情」を披露。親衛隊として3~4期生メンバーも法被を着て登場し、最後の間奏では「焼きそばパン! ライスカレー! たくあん! フライドチキン! からあげYeah! からあげYeah!」といったお馴染みのコールが響き渡っていた。その後も、からあげ姉妹は「1・2・3」「やさしさとは」を連続で歌唱。パフォーマンスが終わると、生田と松村は目に涙を浮かべながら、熱い抱擁を交わした。
MCコーナーを経て、ここからライブは終盤戦へ。ここで松村は単身で舞台に立ち「急斜面」をソロ歌唱。この楽曲はファンから「御三家」と呼ばれていた1期生の橋本奈々未、白石、松村の3人による大切なユニット曲だ。3色のスポットライトに照らされる中で、曲の終わりに松村が「好きだ~!」と笑顔で叫ぶと、コメント欄には「御三家よ永遠に」「泣くわ」「最高」などの声が届いていた。
それからグループは1期生のみで高山一実が初めてセンターを務めた楽曲「泣いたっていいじゃないか?」をパフォーマンス。会場をセンチメンタルなムードが包むと、続けては秋元と松村がWセンターを務めた「ひと夏の長さより・・・」を全員で熱演した。そして松村が「次が最後の曲になります。このコンサートは私のやりたいことをたくさん詰め込ませてもらって、私の言った事、全部を実現させてもらいました…。本当に素敵なライブになったなと心から思います。こうやって、来てくださった皆さん、配信を見てくれる人のお陰です。本当にありがとうございます」と感謝すると、会場にはスティックバルーンの音が響き渡った。それから、「次の曲も私にとって大切な曲です。みんなと一緒に心を込めて歌いたいと思います」と言って、本編のラストに「シンクロニシティ」が届けられた。
ファンの皆さん。私の10年はどうでしたでしょうか?
鳴り止まぬスティックバルーンの音とコメント欄に並ぶ盛大なアンコールを受け、ドレスに着替えて再びステージに登場した松村は卒業の挨拶として以下の内容を述べた。全文を掲載する。
「乃木坂46の松村沙友理として皆さんの前でこうやってお話しするのも、あと、もう少しとなりました。そして乃木坂46としてライブに出られるのは、今日で終わりです。私はあまり自分の気持ちを言葉にするのは得意じゃないかもしれないけれど、やっぱり最後なので、この場を借りて、少し皆さんに感謝の気持ちをお話しさせていただきたいなと思います」。
・家族へ
「私のお父さんと、お母さんは、10年前に私がオーディションを受けて、急に新聞に載ってその日から“アイドルです”と言われて、本当にとても驚いたと思います。でも、10年前にオーディションを受けてから、ほんまに頑張ってきて、もうすぐ卒業します。私が上京する時も、東京で辛い時があっても、ずっと力強く背中を押し続けてくれて、そして私の周りの人に誰よりも感謝の気持ちを持ってくれて、私のことを励まし続けてくれて本当にありがとう。私は、お父さんとお母さんの自慢の娘になれたでしょうか? なれていたらとてもうれしいです」
・スタッフへ
「そしてスタッフさん。乃木坂46に入って、本当にたくさんの皆さんと色々なお仕事をしてきて、どの現場でもモノを作る人だったり、こういうエンターテインメントの世界にいる人って本当にすごいなって。それにこのライブのチームの皆さんも、いつも私が意味わからないこと言っても、全部それを形にしてくれて、本当に感謝しています。
そしてマネージャーの皆さん。マネージャーさんには本当に、本当に本当に、たくさん迷惑を掛けたと思います。やっぱりこのアイドルという仕事はちょっと大変なこともあって、すごく忙しかったりだとか、いろんなことをやらなきゃいけなかったりするんですけど、それを1番傍で支えてくれて、一緒に悩んでくれて。私は結構、落ち込んじゃうことが多かったので、本当にマネージャーさんにはたくさん迷惑を掛けちゃったなと思って、本当に申し訳ないことをしたなと思うんです。けど、今こうやって卒業する時に私にたくさんの方が“笑顔が印象的”と思ってくださってるのは、いつもこうやって仕事をする時に、楽しい気持ちになれるようにマネージャーさんが盛り上げてくれるからだと思います。ありがとうございます」。
・メンバーへ
「そしてメンバー。私はね、みんなにはバレちゃってると思うんですけど、本当にメンバーのことが大好きです。心から大好きだし、本当にみんなのことが可愛くて仕方がないので、みんなには本当に心から幸せになって欲しいです。これから先、嫌なこと、辛いことたくさんあるのかも知れないけれど、でもちゃんと周りの人の声を聞いて、自分1人で悩まないで、ちゃんと導いてくれる人がいるので、そういう人たちをちゃんと頼りにして、みんなで乃木坂46を楽しんでくれたらいいなと思います」。
・ファンの皆さんへ
「そしてファンの皆さん。私の10年はどうでしたでしょうか(会場では拍手が起き、コメント欄には『感謝しかない』『大好きなアイドル』などの声が届く)? 乃木坂46として10年間生きてきて、辛いこともたくさんあったけど、でもやっぱり辞めないで、頑張ろうと思えたのはファンの皆さんのお陰だと思います。卒業発表してから、あんまり時間がなくて、卒業発表したけど、みんなに『卒業おめでとう』と言ってもらっているけど、本当にここを辞めるんだという実感はあまりなかったです…。けど、握手会…今はオンラインの握手会なんですけど、そこで卒業発表してから初めてファンの方に会った時に、私のファンの人ってニコニコしている人が多くて、沙友理ちゃんの事を楽しませようと思ってくれている人が多いんですけど、卒業発表してから初めて、顔を見ると、泣いちゃっている人が多くて…私はその顔を見て、初めて卒業を実感しました。10年間、何か仕事を頑張って、みんなと会って感想を聞いたら『かわいかったよ!』って言ってもらえるのが、頑張った後の楽しみだったのに、これからはそういうのがないんだなと思うと、本当に寂しくて…私にとって、ファンの皆さんは掛け替えのない存在だったんだなと改めて思いました。
この10年間、どんな時も支えてくださって本当にありがとうございます。私の10年間は良い時ばっかりじゃなかったかもしれないけど、ここにいる皆さん、そしてこの配信を観てくださってる皆さん、応援してくださってる皆さんのお陰で、本当に素敵な10年になりました。乃木坂46に入って心から良かったと思います。本当にありがとうございました」。
それから松村が「自分の気持ちは喋っても喋っても足りないくらいなので、後は曲に思いを乗せたいと思います」と発して、披露されたのは「サヨナラの意味」。パフォーマンス中には、各メンバーが松村の元へと駆け寄り、言葉を掛ける場面もあった。その後「悲しみの忘れ方」を歌唱すると、再び「さ~ゆ~Ready?」を披露。花道を歩く松村にメンバー全員からバラの花が渡されるというサプライズが用意されていた。飛鳥、生田の力を借りながら歩く松村はファンに向け手を振りつつ、会場を1周。最後に松村は、「みんな本当に最高だよ! さゆりんご、完全燃焼しましたー! 乃木坂46のことも、みんなのことも大好きです。本当に、ありがとうございまっちゅん!」と笑顔で叫び、卒業コンサートの幕を下ろした。
これまで発表された乃木坂46の全シングルで選抜入りを果たしている松村の卒業。グループの中心メンバーとして活躍し、モデルや女優業に加え、冠番組「乃木坂工事中」(テレビ東京)では“名言メーカー”として数々の名場面を作ってきた。唯一無二な魅力を体現してきた存在で、グループへの貢献度は計り知れない。
そんな彼女の功績を称えるように、今回の卒業コンサートは異例の2部構成で行われた。さゆりんご軍団として卒業メンバーも登場し、松村の歩んだ足跡をしっかりと噛み締めることが出来るセットリストだったように思う。
そして、ライブを通じて、改めて感じさせてくれたのは乃木坂46の絆の強さだ。10年間の活動で築き上げたチーム力はこの先もそう簡単に消えることはないだろう。ライブ中には松村から、さゆりんご軍団継続の発表もあった。また、いつの日か、松村が乃木坂46のメンバーと共に、ステージで歌いながら笑っている姿を見せてくれる日を、今から楽しみに待っていたい。
■さゆりんご軍団ライブセットリスト
M00. Overture(鼻歌ver.)
M01. ぐんぐん軍団
M02. 白米様
M03. さゆりんごが咲く頃
M04. 何度目の軍団か?
M05. ライス!
M06. りんごのパクリから
M07. 大嫌いなはずだった
M08. 働き方改革
M09. さゆりんご募集中
■乃木坂46「松村沙友理卒業ライブ 本編」セットリスト
M00. Overture
M01. さ~ゆ~Ready?
M02. ガールズルール
M03. 夏のFree&Easy
M04. ロマンスのスタート
M05. ごめんねFingers crossed
M06. でこぴん
M07. 今、話したい誰かがいる
M08. 無表情
M09. 1・2・3
M10. やさしさとは
M11. 急斜面
M12. 泣いたっていいじゃないか?
M13. ひと夏の長さより・・・
M14. シンクロニシティ
EN1. サヨナラの意味
EN2. 悲しみの忘れ方
EN3. さ~ゆ~Ready?