「党風一新、誰ができるか、そういう点からも、河野太郎さん」。あすの自民党総裁選の告示を前にそう述べた小泉進次郎環境大相。自民党内では先週、この“党風一新”を掲げた当選3回までの若手議員による『党風一新の会』が結成され、派閥の意向や垣根を取り払い、新たな自民党の顔を選ぶべく動き出している。
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代表世話人である福田達夫衆議院議員(細田派)らが14日、二階俊博幹事長のもとを訪れ、「派閥一任ではなく、しっかりと一人ひとりの党員、議員が自分の判断で投票できるようにしてほしい」と申し入れたという。
15日の『ABEMA Prime』に出演した同会のメンバーで麻生派の山田賢司衆議院議員は「小泉先生が“党風一新”と繰り返した理由は聞かないとわからないし、我々は特定の候補者を支持するために集まった会ではなく、課題の共有、認識だ。どの人が総裁になろうとしっかりと党改革をやっていこうということだ。私個人としては高市さんを支持すると表明した。また、新聞の論調を見ていると、選挙に弱い若手の議員が選挙に勝てる顔にしてくれって言っているように見えるが、そんなことで集まっているのではない」と説明する。
「最初に我々が集まったのは8月下旬のことだった。地元を回っている中で、“自民党しっかりしろ”とか“若手は何をやっているんだ”という声をいただき、自民党に対する信頼もそうだが、政治に対する信頼までも失ってしまうという危機感を持ったということだ。当初は同期(当選3回)の仲間119人のうち84名がしっかりと声をあげようと、国会の裏方をやっている国対のメンバーが中心になった。そして、せっかくだから下の期にも声をかけようということで衆議院の3回生以下ということになった。
その際はまだ総裁選をやるか、やらないかという話があったので、党の規約にあるものをやらなければ、ますます自民党不信、政治不信を招くという話にもなった。また、我々は政権批判しているグループだと思われているが、決して菅政権の全てを否定しているわけではない。もちろん至らないところはあるが、自民党もコロナ対策も含め、しっかりと対策を打っているのに、それが国民の皆さんになかなか伝わっていないところがある。だからこそ総裁選をしっかりやって、菅総裁にも出ていただいて、しっかりとPRしていただくとともに何が足りなかったのか、これからこういうことをやっていただきたいということを明らかにしていただきたい、そして対抗馬で出られる方々が、菅政権のここは評価するけどここはダメだ、自分ならこうするんだと政策論争していただきたい。それを国会議員や全国の党員に見て頂き、次のリーダーになる総裁を選んでいただきたいということだった」。
また山田氏は「派閥の全てを否定しているわけでもない」と訴える。
「派閥には、裏で権力争いをしている悪い集団のようなイメージがあるのだろう。 しかし200人、300人の集団があれば、なんらかのグループになっていくのは否定できない。派閥以外にも、外交安全保障の会だったり、子育て支援の会だったり、色々なグループがある。われわれもそういう会の一つだし、その中の旧来の枠組みが派閥だということだ。
いきなり入ってきた1回生議員が10回生議員に教えてくださいよとは言いにくいが、派閥というグループにいると、ベテランの先輩方が国会の回し方を教えてくれたり、政策について相談に乗ってくれたりする。そういう政策集団、教育機関的な部分があるものだと理解している。また、“派閥一任にしない”というところが一人歩きしているが、我々としては総裁選のためだけに派閥があるわけではない、あくまでも開かれた総裁選をし、徹底的に政策論争を戦わせてほしいというのが訴えたいことだ」。
お笑いジャーナリスト・笑下村塾代表のたかまつななは「今回のようなグループができること自体、政治の信頼を失うことだと思う。やっぱり地元を回って自民党に対する逆風が強い、菅さんでは勝てない。だったら新しい顔を立てようという魂胆しか見えない。報道でも、今の話を聞いていても、私はそう思う。本当に自民党のため、国民のためを思うのだったら、まずは派閥から出て、この人だったら長老政治ではなくなるのでこの人に投票します、というふうにしないと、何をしたいのかが見えてこない」と厳しく批判。すると山田議員は「ありがとうございます。そのように見られていることもよく理解している」と応じた。
一方、元経産官僚の宇佐美典也氏は「清和会(細田派)には福田さんと安倍さんの源流があり、対立して来た。すごく歯の奥に物が挟まった言い方をしているようだが、“キングメーカー”にならんとしているのを福田さんが防ごうとしている、まさに派閥的に見えてしまう。また、もともと小選挙区になって、政党助成金ができ、派閥の縛りが弱まる一方、内閣人事局や諮問会議ができて総理・総裁に権力が集中化していく流れを防ぎ、再び党に権力を取り戻そう、議員ひとりひとりが活動できるようにしようと派閥が復権してきているという構図があった。私から見ると現状は独裁の方向に行っているので、派閥はボトムアップの議論をしてくれる最後の砦だと思う。そこを長老政治といって批判してしまえばそういう機会が失われ、自民党議員は集票マシンになってしまうのではないか」と指摘。
これに対し山田議員は「自民党はこれほど世の中に知られていないのだな、と思う。実は自民党の中ではいろんな議論をしていて、国会が開いている平日には毎朝8時から様々な政策分野で部会を開き、徹底的に議論を戦わせている。だから少数意見を無視しているということはない。ただ、官邸が強すぎるというのは確かにある。我々は政権与党なので、決まった以上はしっかりと官邸を支える立場だが、最近の傾向として、“この方針になりました”といわれたことを承認する機関になっていた部分は否定できない。そこをもっと党から声を上げていけるようにしていこうというのが我々の目指すところだ」と反論。
その上で、「我々がやろうとしていることは、政治の信頼を取り戻すために開かれた総裁選挙をやることと、党改革の議論をしていくことの2つの柱だ。その中で派閥のあり方についてもよく議論していこうということだ。だから派閥を再定義するとか、我々の定義に変えていけというものではなくて、これからの派閥というものはどうあるべきであるかをしっかり議論していきたい」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)
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