「戦国武将に例えると徳川家康に近い」 岸田新総裁誕生、総裁選を通して“敵をつくらないタイプ”から“戦う男”に?
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 自民党総裁選の投開票が29日に行われ、決選投票にもつれこんだ結果、岸田文雄氏が河野太郎氏を破って選出された。

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 1回目の投票では河野氏が1位だとみられていたが、蓋を開ければ岸田氏が1位と、終始リードした。岸田新総裁誕生の背景について、テレビ朝日政治部の今野忍記者が解説する。

 今回の総裁選について、結果は予想どおりだったという。今野記者は「初戦では河野さんが勝って、決選投票で逆転するというシナリオを岸田営は描いていた。初戦で1票差(岸田氏256票、河野氏255票)とはいえ1位で通過したのは、予想を超える勝利になったとも言える」と話す。

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 選挙期間を通して、岸田氏の振る舞いや周囲の見る目は変わってきていたといい、「総裁選に臨む前の決起集会で『私が勝たなければ日本がおかしくなってしまう』と言ってみたり、その前の時にも『時代が求めるリーダーは私なんだ』と。これまでの岸田さんはどちらかというと、“戦わない男”“決められない男”“優男”などと結構な言われようをしていたが、今回は『威厳が出てきた』『絵になる人になった』と側近や周囲が驚くぐらい、ある意味変わった一面、戦う姿勢を見せた」と説明した。

 ターニングポイントとして、岸田氏が出馬を表明した8月26日をあげる。岸田氏はいち早く出馬を表明したほか、党役員の任期を制限する党改革案を掲げ、幹事長を5年務めてきた二階氏に対して“宣戦布告”をした。

 「これまでの岸田さんの評価というと、永田町では“敵をつくらないタイプ”と言われていたが、こういった宣戦布告をしたことで、菅総理も焦って党役員人事をやると言うなど迷走し、退陣にもつながった。この時の宣戦布告が、その後の党員票などにも大きく刺さったのではないか。『党を改革してくれるのか』と、そういった評価につながったのではないかというのが、岸田さんの周囲の見方だ」

 岸田氏は菅総理が誕生した2020年の総裁選で惨敗し、一時は「終わった男」とも囁かれた中で、なぜ一発逆転できたのか。

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 「前回は出遅れたので、今回はいち早く出馬した。岸田さんは『特技は人の話を聞くこと』と言っているが、今だから言えるのは、ベテランの岸田派の議員が『1年前にああいう負け方をしたのに今回も出るのはどうなのか』と止めていたのを蹴った。もっと言ってしまえば、二階さんを切るというのも、ある中堅議員は『幹事長に逆らって岸田派の議員、選挙基盤の弱い若手が睨まれたら大変だ』と反対していたが、若手・中堅からは『戦うならそれぐらい言うべきだ』と。両方の意見を聞いて、岸田さんは自ら党改革を打ち出した」

 岸田氏は自民党にはあまりいないタイプ、戦国武将に例えると徳川家康に近いと言われているという。

 「“泣かぬなら 泣くまで待とう ホトトギス”ではないが、ずっと我慢してきたわけだ。2018年の総裁選では安倍さんと戦うことを選ばずに、出馬しないで安倍さんの支持を取り付けようとした。その後、2020年の総裁選でも安倍さんは支持してくれなかったが、それでも基本的に悪口等は言わず、じっと我慢をしてきた。今回こそはと、憲法改正、女系天皇反対を言って、本来自分の主張だったと言われる選択的夫婦別姓、同性婚なども『慎重だ』と、イエスもノーも言わないようにした。安倍さんと安倍さんの支持層である保守層や右派の人にも票を入れてもらえるよう、じっと我慢をして、あいまい戦略でここまでやってきたところがある。基本的に政治家は“俺はああだ、こうだ”という人が多い中で、人の話を聞いて最後は自分で決めるスタイルの、永田町では珍しいタイプだ」

ABEMA/『倍速ニュース』より)

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自民党新総裁に選出 岸田氏あいさつ
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