いまネット上を中心に世代を超えた論争になっている“親ガチャ”問題。2日のABEMA『NewsBAR橋下』に出演したお笑いタレントのメッセンジャー・黒田有と橋下徹氏が議論した。
【映像】橋下徹×メッセンジャー黒田〝親ガチャ論争〟貧困家庭出身の本音
まず黒田は「“親ガチャ”って言っている子って、意外と中流層ちゃうかなと思う。“もし医者の息子やったら”とか言うのって、お腹がいっぱいやからと思う。ものすごくお腹が空いてたら、“とにかく飯食わなあかん”が先にくる。だから“親ガチャ”とか言って喜んでいる人間は、まだ幸せ者のような気がする。これは教育問題というか、親を尊敬させない親なわけだ」と問題提起。
「人間、差がありすぎたら勝負ができない。例えば100m走るのに相手が11秒、12秒で走るけど、自分は20秒ぐらいかかると分かっていたら、初めらから勝負しようとしない。それと一緒で、僕らもお金持ちに対してワーッと思うことはなかった。僕なんかも子どものときはクソ貧乏やったから、“親を選べへんねん”という不満とか、不平すらなかった。そんなことを考えてる余裕もないのよ。思わなかった、と言ったら嘘になるかもしれないが、それ以上に母親の哀れさっていうのんを目の前で見ているから。かわいそう、じゃなくて惨めだった。
家は四畳半と六畳の二間しかないところに兄弟4人と母親。兄弟喧嘩とかで窓ガラスは割れちゃってたからチラシとかで代用して。だから冬場なんか寒くてみんなで集まらなあかんかった。暖房というか、練炭はあったけど、逆に窓あったら死んでたで。(爆笑するMCの高橋茂雄を見て)笑い事やない!笑うな、アホ(笑)!お前の家に泊まりに行った時、なんていい家やと思った。親父は歯医者で、ベースを弾いて(笑)。
その家に取り立てが来て、おかんに“金返さんか、ブタ”とか言う。おかんは“ブタで結構、ブタは今高い”とか強く言い返したり。でも、兄弟が寝静まった後の背中を見ていたら、母親も人生やり直したいやろうなと感じた。だから親を選ぶとか選ばないとかよりも“正義感”みたいなものが先に立った。
その点、今はそこまでの貧乏はあまりいないだろうし、服でも何でもみんな安いから、平等だ。だからどんぐりの背くらべ。カバンも持っているかれど、”あの人のカバンはバーキンのだ”ということになるのではないか。それから、今はみんな自分の部屋もあって、親の喜怒哀楽、とくに哀と怒を見てないような気がする。本当であれば、子どもはそういうことを敏感に感じて、吸収する。僕は部屋が無かったから母親の背中を見ることができた。
そのおかげか、うちは男4人が誰もグレていない。兄は出来が良かったから大学は行けたけど、私学は無理だったので服飾の仕事をして、今は社長をやっている。次男はアルバイトをしながら一浪して国立に。三男は高校を卒業したら起業すると言って、実際に会社を興した。“親ガチャ”とはまたちょっと違う話かもしれないが、結果的には、うちに生まれて良かったと思っている」。
橋下氏は「親の立場からすると、子どもに“親ガチャ”なんて言われたら辛い」とした上で、「確かに黒田さんが言うように本当に家庭環境が厳しいら子どもは、そういうことも言えないと思う。それから、やっぱり黒田さんたち兄弟はたまたまメンタルも含めて強かったから、こうなれたけれど、今も同じような境遇、特に虐待などに苦しみ、命を落とす子どもたちもいる。そこはやはり行政がサポートする体制を作らなければいけない。
黒田さんの時代にも手厚い体制があれば、お母さんだって違っていたと思うし、家庭の経済状況に関係なく、誰でも大学に行きたいと思ったら行けるような世の中しないとダメだと思う。だから僕は政治家の頃には教育無償化を訴えてきた。そもそも行政が何かやってくれとる、ということを考えられる余裕がないということもある。それを教えるのも教育だろうし、例えば卒業させるときに英語や数学や国語だけでなく、子どもを育てるにあたっての一定の知識とか意識のハードルを設ける必要もあると思う」と話していた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)