いつも自分に言い聞かせている「なんとかなる、大丈夫!」というエールが言霊となり、背中を押す。乃木坂46の元メンバーで、現在は俳優として活躍中の西野七瀬。「地元の友達からもよく『七瀬は大丈夫だよ!』と言われます」と前向きな自己暗示は功を奏しているようだ。グループ卒業から早3年。ABEMAとテレビ朝日が共同制作する土曜ナイトドラマ『言霊荘』(10月9日(土)スタート)に主演する西野の“今”を聞いた。
「実際には大丈夫かどうかはわからないけれど、不安を感じたりして悩んでいるときに『なんとかなる、大丈夫!』と自分に言い聞かせることは多いです。自己暗示かもしれないけれど、その言葉を自分に向けて言うと安心するんです。生きていたらなんとかなる!と前向きに思わせてくれるから」。
不安や悩みの種は、俳優業に向き合うときに芽生えやすい。「台本を読んでいるときに『自分にできるのだろうか?』『この感情を自分で表現できるのだろうか?』と悩んで不安に思うことも多いです」と打ち明ける。しかしグループ卒業当初にあった心細さは消えつつあるようで「悩んでいる時間も必要だと思えるようになりましたし、とりあえずやってみないとわからない!と思考を切り替えることもできるようになりました。家ではあまり思い悩まないようにして、撮影現場で悩みながら試行錯誤することを覚えました」と成長を実感している。
そもそも思い悩んだり、他人の助言にもたれかかったりはしないタイプ。西野もそれは自覚している。「よく言えば芯が強い。悪く言えば頑固者。自分に嘘がつけない性格で、ときどき直した方がいいのかな?と考えたりするけれど、地元の友達からは『七瀬は大丈夫だよ!それがいいの!』と言ってもらえます。そんな言葉にも勇気づけられます」と親友たちの言霊に感謝する。
主演する『言霊荘』はそのタイトル通り、マンションの住人女性たちが「言霊」の力に苛まれていくホラーストーリー。怖い話が好きだという西野にとっては、願ったり叶ったりの大抜擢だ。「怖い話は子供の頃から好きで、大人になって好きだということを自覚して以降は、ネット上の怖い話を検索して読んだりもしました。有名な怖い話もたくさん読みました。怖い話の魅力は、ウソか本当か謎だけれど面白いというところ。たとえ作り話だとしても、作った方のアイディアに驚かされます。今回のドラマは“言霊”という切り口が新鮮で身近で、面白くもあり怖くもあります」と目を輝かせる。
にもかかわらず、ホラー映画などの映像系は苦手なのだという。「より一層ホラーな世界観に入ってしまうからです。怖いホラー映画を観ると、それが数日間頭から離れなくなる。ホラーゲームや怖い話は客観的に捉えることができますが、ホラー映画などは自分がその状況に置かれたかのような錯覚を覚えてしまう」と理由を説明する。
ならば撮影もさぞ苦しいものかと思いきや「作り手側にいることで、むしろ新しい体験として楽しくて嬉しかったです。怖いシーンの撮影も、みんなで怖いものを作るぞ!という現場の一体感が怖さを超える。完成した作品を見るのは勇気がいるかもしれませんが…」と照れ笑い。共演者の永山絢斗からは、とあるホラー映画をオススメされた。「それを撮影期間中に見るというのが一つの目標です。どのくらい怖いものかチェックしたいけれど、さすがに一人では無理なので友達の誰かを道連れにするかもしれません」と克服の道は長そうだ。
スタジオゲストとして、シリーズ10作目となるABEMA発のオリジナル恋愛番組『虹とオオカミには騙されない』にも出演。西野は「恋愛はその人の素の部分というか、その人らしさが浮き彫りになる。それを撮影されて沢山の人に見られるというのは想像がつきません。でも恋愛リアリティ番組は一度見ると、次がどうしても気になってしまう。1話から見てみたくなる気持ちがよく分かります」と収録を楽しんだようだ。
取材・文:石井隼人
写真:You Ishii