松岡禎丞が「劇場版SAOプログレッシブ」の収録を経て感じたこととは?「キリトとアスナの距離感が近いように見える」
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 全世界累計発行部数2.600万部を突破した「ソードアート・オンライン(SAO)」シリーズは、2012年にTVアニメが放送され、これまでに4シリーズ全97話が放送されているメディアミックス作品。「SAO」シリーズ原作者の川原礫氏自らリブートした《アインクラッド》編を完全新作アニメーションで映画化した作品が、10月30日に公開の「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア」だ。

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 「SAO」シリーズの始まりの物語となる本作では、ログアウトできなくなったデスゲーム《ソードアート・オンライン(SAO)》の世界の中で、《アインクラッド》の頂を目指して戦っていく様が、TVアニメで描かれなかったアスナ視点で新たに映像化。

 本作の公開に先駆けて、キリト役の松岡禎丞(まつおか よしつぐ)にインタビューを実施。改めてキリトを演じる上でのこだわりや原点回帰となるストーリーの見どころについて伺った。

「当時の僕でももっとできただろうと思った部分は、全部リメイクして演じています」

――《アインクラッド》編をリブートした「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア」ですが、最初にシナリオを読まれた印象はいかがでしたか?

松岡:最初に読んだ時は嬉しいという気持ちもあったんですが、TVシリーズ当時の全力だった僕のお芝居に対して、今の僕のお芝居をしてしまうとまったく違うものになってしまうのでは? と思ってしまい、正直な話収録をするのがちょっと怖いなと感じる部分がありました。当時の僕の真似をするのは簡単ですが、それだと魂の入っていないお芝居になってしまうので。

――これまでずっとキリトを演じてきたからこその悩みがあったんですね。

松岡:「SAO」シリーズはすごく長く続いている作品なので、キリトも14歳から(直近のTVシリーズとなる《アリシゼーション》編で)18歳にまで成長していて、さまざまなことを経験しているんです。もう一度《アインクラッド》編を演じるにあたって、今の僕だからこそ出せる部分は崩したくないけれど、そうなると当時の自分(のお芝居)が邪魔になってしまうと感じました。

――なるほど。本作の収録は戸松さんとご一緒だったとお聞きしました。

松岡:どうすればいいのかという悩みは収録当日まで続いていたんですけれど、うまくいったのはアスナのおかげかもしれないですね。実際に戸松さんが目の前でお芝居をしているのを見て、「あっ、あのときのアスナだ!」って思ったんです。

――《アインクラッド》編当時のアスナという意味でしょうか?

松岡:それは今の戸松さんが演じた《アインクラッド》編での15歳のアスナなんです。そこから自分の新しい14歳のキリトを演じても大丈夫な予感がして、テストをしてみたら音響監督の岩波(美和)さんから、「こっちは大丈夫だけど、(演じていて)キツくない?」って言われて。

 「全然大丈夫です!」と返したら「それでいっちゃおう!」ということになったんですが、その言葉を聞いた時にスイッチが入りましたね。本当に収録当日までは不安でしょうがなかったんですけれど、そこからはどんどん楽しくなってきてギアが入っていきました。

――実際に収録をされての感想はいかがでしょうか?

松岡:いろんな方のお話やアドバイスも聞いて、当時の僕のお芝居の真似をするのではなく、今の僕が14歳のキリトを演じる方向でやらせていただいた結果、すごくうまくいきましたね。でき上がったものを見させていただいたときは、ガッツボーズしていました。

――本作はキリトとアスナが出会ったばかりなので、距離感が離れているのが印象的だったんですが、演じていていかがでしたか?

松岡:最初から距離感が詰まっていくことを意識してしまうと、持ってきたお芝居のプランをただ出しただけになってしまうんです。なので、現場の空気感を大事にして、戸松さんや判断してくださるスタッフの方々と手を取り合っていった結果、今回のお芝居に繋がりました。

 本作はアスナ視点ということもあって、バックボーンが詳細に描かれていることも関係していると思うのですが、TVシリーズのときよりも2人の距離感が近いように見えるのではないかなと。

――TVシリーズで一度描かれたシーンも、再び演じられていますよね。

松岡:もう10年くらい前になりますが、TVアニメの放送当時に家で見ていて「もうちょっとこうできたな……」と思う箇所が何箇所かあったんです。当時の僕でももっとできただろうと思った部分は、全部リメイクして演じています。もちろん本作で一新されてはいますが、僕自身もう一度演じたいなと思っていたクリームパンの話や、「あること」を宣言するシーンもそうですね。

 そのシーンは、僕が最近悪役を演じることが増えたこともあって、その経験が出ちゃったみたいで「ちょっと悪くなりすぎている」とスタッフの方から言われてしまって(笑)。自分としては抑えたつもりだったんですが、3割くらいに抑えてOKをもらえました。あそこは難しかったですね。

――クリームパンを食べるシーンも、TVシリーズのキリト視点と本作のアスナ視点と見比べてみたくなりますね。

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「やっぱり年相応の女の子で、守ってあげたくなる存在」

――アスナ視点で描かれる本作には、ミトというオリジナルキャラクターも登場しますが、松岡さんから見てどういうキャラクターでしたか?

松岡:今回はシリーズの原点回帰となるお話なんですけれど、その中でミトは《SAO》というゲームを誰よりも楽しみにしていたんだろうなと思います。キリト視点からすると同じ匂いを感じると言いますか、どう伝えたらいいのか難しいのですが……。

――戸松さんにもインタビューしたのですが、すごく人間味があってひと言では表現できないキャラクターだとおっしゃっていました。

松岡:アスナのことを想う優しい子ですよね。本編でとある出来事が起きますが……表現するのが難しいですね。

――TVシリーズではキリト視点だった物語が、アスナ視点で描かれることで発見などはありましたか?

松岡:台本をいただいたときにキリト目線で考えてしまうと、アスナのことを知ってしまうことで変に感情移入してしまう部分もあるので、あえて読み込まないようにしていていたんです。完成したあとに原作も読ませていただきましたが、アスナがこういう思いを抱えていたのかということは、家族関係の話からも見えてきましたね。

 TVシリーズだとはじめから強い状態でツンツンしていましたが、改めて本作を見てみるとやっぱり年相応の女の子で、守ってあげたくなる存在ですよね。本当に最初は《SAO》というゲームのことを何も知らなかったんだなと思いました。

――ファンの方はもちろんですが、シリーズの始まりの物語ということでこれまで「SAO」シリーズを見ていなかった人も楽しみやすい作品だと思います。

松岡:そうですね。その一方で本作はアスナが主人公になっているので、TVシリーズでキリトがクラインとわちゃわちゃしていた頃に何をやっていたのか、《SAO》を始めるきっかけなどが描かれているんです。なので、今まで「SAO」シリーズを応援してきてくださった方にも大変満足していただけるような作品になっていると思います。

――最後に、公開を楽しみにされている方々へメッセージをお願いします。

 ある意味「SAO」シリーズの第1話となる物語なので、何かしらで聞いたことはあってもまだ見ていないという方にぜひ見ていただきたい作品です。本作を見たあとにTVシリーズのキリト視点を見ることができるので、2度美味しいと思います。

 全97話あるシリーズですが、本作をきっかけに沼にハマったら抜け出せなくなってしまうと思います。今はさまざまなサービスで「SAO」シリーズが配信されていますので、ちょっとずつでも見るきっかけになっていただければという気持ちでいっぱいです。

――ありがとうございました!

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(C)2020 川原 礫/KADOKAWA/SAO-P Project
取材・写真・テキスト/miraitone.inc

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「劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 星なき夜のアリア 」概要

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【CAST】
キリト:松岡禎丞
アスナ / 結城明日奈:戸松 遥
ミト / 兎沢深澄:水瀬いのり
クライン:平田広明
エギル:安元洋貴
シリカ:日高里菜
ディアベル:檜山修之
キバオウ:関 智一
キリト:松岡禎丞
アスナ:戸松 遥
ミト:水瀬いのり

【STAFF】
原作・ストーリー原案:川原 礫(「電撃文庫」刊) 原作イラスト・キャラクターデザイン原案:abec
監督:河野亜矢子
キャラクターデザイン・総作画監督:戸谷賢都
アクションディレクター・モンスターデザイン:甲斐泰之
サブキャラクターデザイン:秋月 彩・石川智美・渡邊敬介
プロップデザイン:東島久志
美術監督:伊藤友沙
美術設定:平澤晃弘
色彩設計:中野尚美
撮影監督:大島由貴
CGディレクター:織田健吾・中島 宏
2Dワークス:宮原洋平・関 香織
編集:廣瀬清志
音楽:梶浦由記
音響監督:岩浪美和
音響効果:小山恭正
音響制作:ソニルード
プロデュース:EGG FIRM・ストレートエッジ
制作:A-1 Pictures
配給:アニプレックス
製作:SAO-P Project

【音楽】
「往け」 LiSA(SACRA MUSIC)
作詞:LiSA /作曲:Ayase /編曲:江口 亮

【公式HP】https://sao-p.net/
【Twitter】https://twitter.com/sao_anime

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