「岸田総理がブレだしたので、やりやすくなった」立憲民主党・福山哲郎幹事長  各党に聞く衆院選(1)
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 衆議院がきのう解散、19日に公示され、31日に投開票が行われる衆議院選挙に向け、事実上の選挙戦がスタートした。『ABEMA Prime』では、14日から22日までの間、主要政党から代表者を招き、各党の政策やビジョンについて聞いていく。初日は立憲民主党の福山哲郎幹事長だ。

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■立憲民主党は多様性を認め合う社会の実現を目指す

 「この間、ラジオに出た時に“いつも怒っている福山さん”と紹介された。いつも怖い顔をしているとも言われる。ただ、野党第一党の幹事長のところにテレビカメラが来る時には、必ず政府や与党が何かをやらかしたときだ。だからいつも批判したり怒ったりしているわけではないし、ちゃんと政策も持っている。今はジェンダー平等、選択的夫婦別性やLGBT平等法をこの選挙でなんとか実現したいと思っている」と挨拶した福山幹事長。

 4年前の衆院選で掲げた政策の実現状況について「野党だったので100%とは言えないが、いろんなことを提言しながら、4割ぐらいは実現できたのではないか」と振り返り、もっともアピールしたい政策を尋ねると、やはり「選択的夫婦別姓制度」、そして「LGBT平等法」の実現を挙げた。

 「選択的夫婦別姓制度は、みんなが多様な夫婦のあり方を選べるというものだ。加えて、自分の姓で仕事をしてきた女性が結婚時に姓を変えることで、キャリアを積んできたことに対して色々な障害も出てきている。民法を改正すれば終わりなので、我々はもう20年、法律を出し続けているが審議もしてもらっていない。岸田総理も総裁選挙の時には“議論する”と言われていたが、自民党の政策集からは落ちている。我々が政権をとらせていただければ、すぐに法律を出す。

 LGBT平等法についても、今年はオリンピック・パラリンピックがあったにも関わらず、自民党の反対でLGBTの理解増進法ができなかった。しかし、もうそういう時代ではないだろう。G7でも選択的夫婦別姓やLGBTの平等法みたいなものがないのは日本だけだ」。

■“ハラスメントはダメだ”と示していきたい

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 多様性の観点からは「クオータ制」についても賛成の立場だ。

 「日本の今の女性議員数では、まだまだ足りない。我々は2030年まで、なんとか早いうちに女性議員や職員を全体の3割以上にしたいと思っている。今も問題になっているが、やはり女性が選挙に出るときのパワハラ、セクハラ、票ハラには非常に厳しいものがある。そこで立憲民主党では自戒の念を込めて、“ハラスメントはダメだ”というポスターを全て選挙事務所に全部に貼るようにした。“もう、そういう時代じゃないよ”ということを示していきたい。

 また、女性の社会進出の障壁がなくなれば選挙に出る女性も増えるが、子育て中に選挙に出るというのはものすごくハードルが高く、地域でも受け入れられるようなことが出てきたが、まだまだだと思う。だから今回、新人で出てこられる女性については公認料や選挙費用の面でフォローするような仕組みを作っていた。多くの人にチャレンジしていただきたい」。

 情報収集は新聞に加えネット。Twitterも「けっこう見ていると思う。(自身への誹謗中傷については)最初は気にして、随分落ち込んだ。ただ、落ち込んでいるとキリがないし、最近は気にしないようになった」と話すが、党としては「インターネットの誹謗中傷に対する規制」の必要性も訴える。

 「去年、本当に残念なことに、木村花さんがお亡くなりになられたが、あのような例がたくさん出てきている。表現の自由などを気にしながらでも、一定以上のひどいものに対しては規制をしていくようなことをしないと、ネットの中でみんなが安心して生活できなくなる。そのようなことを我々としてはやっていきたい」。

■国公立大学の授業料の半額、学生の家賃補助を実現したい

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 そんなSNS世代の若者にアピールしたい政策としては、国公立大学の授業料の半額、首都圏に来ている学生の家賃の補助を掲げる、また、若いカップルに向けて不妊治療や出産費用について「安心できるよう、無料にしていきたい」と意気込む。

 「残念ながら、親の所得が学歴の格差につながってしまっている。東大生の半数以上は、親の年収が950万以上という方々だ。つまり、お金持ちでなければ大学に行けない。そのようなことがなれば、若者の活力がなくなってしまう。大学はもちろん、専門学校でもいい。“お金の心配をしなくても、ここまでは勉強できるよ”という社会を作りたいと思う。僕は父親が高校時代に商売を潰してしまったため、中退して働くことになった。しかし、やはり学校に通いたいと思って、バイトをしながら行くことにした。

 やはり親が失業したり、離婚をしたりと、色々なことが起こりうる。それでも高校までは安心して行けるのだという感覚を持ってもらいたいと、我々は10年前に政権を担わせていただいた時に、初めて高校無償化を行った。それにより、中退する方が減った。残念ながら自民党政権になって所得制限が入ってしまったので、これは撤廃したい。なぜなら、お金持ちの子どもであっても、親が急に亡くなったり、コロナ禍のようなことが起きて急に親が商売できなくなったりすることがあるからだ。また、非正規雇用の方が多くなっているし、特にひとり親世帯がコロナで厳しくなっている。義務教育までの学校給食の無償化も行いたい」。

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 一方、EXIT兼近大樹からは、「“勉強したい”と思える人たちを救済するということだ。それ以前に、“勉強したい”とも思えない環境にいる、親もそのような環境で育っているので抜け出すのが難しい、それが格差社会の実情ではないか」との質問も出た。

 「ご指摘の通りだ。そこで給食の無償化も、そういう意味がある。我々は子ども手当の支給を小学生から中学生までに延ばしたが、親御さんの負担を少しでも軽くすることで、子どもが勉強できる環境を作っていただこうということだ。ただ、おっしゃられた通り、勉強するというところにまで至ってない子どももたくさんいらっしゃる。NPOの中には、低所得の方々の子どもたちを集めて一緒に勉強しようよというようなみなさんもいらっしゃる。子ども食堂とかも広がっているが、政府のメッセージも重なると、もう少し子どもをみんなで育てようという社会の空気になるかなと思う」。

 さらにフリーアナウンサーの柴田阿弥からの「国公立大学の授業料無償化や学生の家賃補助だが、東京一極集中が進んでしまう可能性はないか」との問いには、「それもおっしゃるとおりだ。地方の大学も元気にならないといけないので、もちろん東京以外の大学に通う学生に対しても家賃補助を行おうと思っているし、地方の大学に対する支援によって、地域を元気にするというようなことも行っていきたい」と説明した。

■若者に向け、CSやBSでも国会中継を

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 政権交代へ向け、若者からの支持もカギだとの認識を示す福山幹事長だが、そもそも「政治や国会はつまらない」という声もある。福山幹事長は「報道は不公平だと思う」とした上で、国会中継の充実も呼びかける。

 「今はインターネットでも国会中継が見られるようになっているが、できればCSやBSなど、テレビでもそれぞれの委員会を見てもらえると、ちゃんとやってるというところ、ここはちょっとイマイチだなというようなところがよく見えてくると思う。そうなれば議員もピッと締まると思う。そういった形の情報開示ができればと思う。ご覧いただければ、国会は意外と真剣に議論している。専門的なことを調べ、各役所とやりとりをするのも緊張感があるので、“こんなに真面目にやってるの?”と言われる。予算委員会というのは意外と面白い。僕なんかは、よく安倍元総理や菅前総理と1対1で、近い距離で“おかしいじゃないか”と言うが、そのやりとりの空気感はテレビを通しても伝わると思う」。

 自身が初めて投票に行ったのは、「覚えてないが、22、3歳、学生のときだったと思う。自民党には入れていない(笑)」。政治家になってなければ、証券マンの仕事を続けていただろうと明かす。

 「若くして政治家になれる人はなかなかおらず、私も初当選は36歳の頃だった。定年45歳が話題だが、そうなると、9年しかやれなかったことになる。そうなると、国民の気持ちが分かったときには辞めることになってしまうので、もう少し長くやらせていただきたいと思う。(若い政治家が少ない理由は)やはり選挙に出るには色々なハードルがあって、若い人がポッと出てもなかなか勝てない。お金、それから広くいろんな方に知ってもらわないといけないので、よく言われる“地盤”、それから“看板”も必要だ。だから日本の政治家は県会議員や労働組合の役員などのキャリアを積んだ上で、やっと国政選挙に出るというパターンが多くなる。

 私の場合、初めての立候補は33歳の時で、お金もなく、地盤も看板もない中でマイク1本持って地元の京都に立った。失業保険をもらいながら、事務所も車も借り物、FAXや電話は全部もらい物だったので、“あそこは物もらい事務所だ”と言われた。その後3年ぐらい浪人することになったが、議員にならせていただいたのは本当にラッキーで、普通はそういうことにならない。もう少し選挙に出るためのハードルを低くする工夫も必要だと思う」。

■法人税や金融資産課税にも切り込む

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 視聴者からは、「経済政策においては、“年収1000万円以下の人の所得税免除”を掲げているが、財源はどうするのか」との質問も届いた。柴田阿弥も、法人税や金融資産への課税に関しても、市場への影響や、海外への流出も懸念する。

 「法人税を下げるという競争は2000年以降、各国で行われてきた。我々が政権をとっていた時代もそうだ。また、アメリカのバイデン大統領やEUは、やはり利益の出ている法人からは若干の税金はいただこうという方向になっているし、日本企業には内部留保が数百兆円あるわけなので、そこは一定の負担をしていただこうということだ。もちろん累進、つまり儲かっているところからいただこうということで、利益が出ていない企業や、中小企業からいただこうという話ではない。

 そして金融所得課税の強化については岸田総理が総裁選のときに主張していたが、総理になった途端、取り下げてしまった。ただし、1億円以上の負担率は低くなっているし、さすがに少し不公平ではないのかということで、マーケットとコミュニケーションを取りながら、徐々に行っていく。私も元証券マンなので、影響があることはよく分かっている。しかしそうでなければ、財源は確保できない。自民党は補正予算を組んでおられるが、何を財源にされるのかが分からない。分からない方が“バラマキ”だ。我々は“このようなことを行っていく”と申し上げている。時間をかけて、手当てをしていきたいと思う」。

■安心して投票していただけるようお願いしたい

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 来たる総選挙について、「岸田総理がだいぶブレだしたので、(選挙戦が)やりやすくなった。有権者の皆さんがたくさん投票に行っていただければ政権を取れると思う」と語る福山幹事長。しかし、リディラバ代表の安部敏樹氏からは、立憲民主党の上層部は、自民党に比べて開かれているのか。自民党には総裁選があるが、あのように議論を促すような場所になっているのか。そのようなところで根本的な不信感があるのではないか、との質問も出た。

 「我々は“草の根から政治を変える”ということで、全国を周り、色々な集会を行って話を聞いてきた。結党してすぐ、NGOやNPOのみなさんと協議をする場をフェスという形で作り、政策討論会も行った。また、コロナの時には課題を抱えている業種の方々とネットを通して話を聞いてもいる。枝野代表が学生とネットでリモートで対話した時に、“政治に私たちの状況が見えていますか”と聞かれていたが、そのような声が聞けるというのはいいことだと思う。実際に政策が反映するかどうかについては、やはり与党の方が強いので、役所にも届きやすい。だからといって、本当に実現するかどうかは分からない。野党である我々としては一生懸命やりたいと思うし、僕も番組に呼んでいただければ、いつでも出てくるつもりでいる」。

 旧民進党の分裂や希望の党への合流などの混乱が続く中で結党(2017年10月)し、直後に行われた前回の衆院選では55議席を獲得。以来、会派入りする議員を増やしながら野党第一党として政権交代を目指してきた立憲民主党。今回の選挙では野党勢力を結集、200を超える選挙区で候補者の1本化を進め政権を狙っており、枝野幸男代表は「100人を超える現有議席。これで政権にチャレンジできる。私たちの熱い思いを国民のみなさんに伝えて共に変えよう。変えようではありませんか」と訴えている。

 福山幹事長も、「立憲民主党は4年前に枝野幸男代表が1人で立ち上げ、そして多くの皆さんに支えていただいて野党第一党になった。それから多くの仲間の皆さんに集まっていただいて、衆議院で二百数十人もの候補者を立てることになり、ようやく自民党にチャレンジできる政党になったと思う。まっとうな政治を作りたい。気候変動も問題をきちんとやらなければいけないと思っているし、未来に責任を掲げていく。実行力に関して、“立憲はできるのか”とよく言われるが、我々には政権の経験もあるし、大臣、副大臣、政務官の経験者が60人もいる。枝野代表も私も、官邸にいたことがあるので、大丈夫だ。安心して投票していただけるよう、若い人にお願いしたいと思う」と呼びかけていた。(『ABEMA Prime』より)

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