衆議院選挙が19日に公示され、12日間の選挙戦がスタートした。投開票は31日で、各党の舌戦が繰り広げられるが、気になるのはその具体的な中身だ。
ABEMA『倍速ニュース』では、9党それぞれの公約を解説。第2回は「立憲民主党」について、テレビ朝日政治部の今野忍記者が伝える。
Q.立憲民主党が掲げている公約は?
立憲民主党は公約をまとめた政策パンフレットを、衆院解散前日の13日に発表した。自由民主党が42ページあったのに対し、立憲民主党は16ページとややコンパクトになっている。全体を貫くキーワードとしてあるのは、「変えよう」。オバマ大統領の「Change」みたいなものだ。これは自民党の総裁選を念頭に置いていると思うが、「表紙を変えただけは変わらない」として、政権交代を訴えていく構えで作られている。
【新型コロナ対策】
Q.新型コロナ対策について、どのような公約を掲げている?
感染者数がリバウンドしないレベルに十分下がるまで、徹底した検査と水際対策、医療体制の強化、あとは生活者や事業者を支援していくことを強く主張している。
Q.具体的にはどのような政策を?
PCR検査は必要な時に誰でも受けられる体制に確立すること。水際対策としては、枝野代表は「政府はごく一部を例外として、10日の隔離期間を9月に3日にした」ことを批判していて、公約では「すべての入国者を少なくとも10日以上、政府が用意したホテルに隔離する」とした。
これは経済対策とも言えるが、生活支援では、個人の年収1000万円程度までの方を実質免除する時限的な所得減税。さらに、低所得者への年額12万円の現金給付、消費税の税率5%への時限的な減税を目指す、としている。
【経済対策と社会保障】
Q.経済対策についてはどのように訴えている?
立憲民主党は「1億総中流社会の復活」を掲げている。これは簡単にいうと、アベノミクスについて「株価を上げただけで多くの人の所得まで増やせなかった」と指摘している。岸田総理が掲げる「成長と分配の好循環」についても、「分配なくして成長なし」ということで、まずは分配という姿勢を前面に打ち出している。
Q.具体的にはどのような項目が並んでいる?
コロナのところでも言ったように、所得税や消費税の減税、現金12万円の給付金。それに加えて、医療や介護、子育て、教育などの「ベーシックサービス」という言い方を立憲民主党はしているが、こういったことを充実させることが最大の経済対策、景気対策だというのが、枝野代表の考えの根底にはある。
一方で、その財源としては、富裕層や超巨大企業への応分の負担を求めている。例えば、岸田総理が先送りしてしまった金融所得課税の強化。18日の日本記者クラブの会見で、20%から最低でも30%に引き上げたいと枝野代表は言っていた。こういったところから財源を賄って、あまねく多くの人に医療や介護、子育てを強化していこうという考え方をしている。
Q.社会保障政策が景気対策というのはどういう意味?
立憲民主党は「暮らしの安心への投資」という言い方をしている。例えば、今10万円給付をしても、先の生活に不安があるとみんな貯金してお金を使わない。経済対策にならないので、医療や教育、子育て支援をすることで、国民全体が安心して消費をできるようにすることが、結果として消費を拡大させて経済を活性化させるという考えている。
【外交政策】
Q.外交・防衛政策について掲げている公約は?
これはあまり自民党と変わっていないところがあって、日米同盟を基軸とした現実的な外交・安全保障政策を進めるとしている。
その中で違うのは、1つは沖縄の米軍の普天間飛行場。これの辺野古移設を自民党政権が進めようとしているが、沖縄の民意があるので、一度止めてアメリカ側と交渉しようと言っている。
もう1つ、核兵器禁止条約に関して、これは世界56カ国が批准している条約だが、日本の同盟国であるアメリカが参加していないことで、日本もスタンスを打ち出しづらいところがある。これに関して、いきなり批准して参加とまでは立憲民主党も踏み込んでいないが、自民党との比較として、まずはオブザーバーという形での参加を目指そうとしている。
【教育政策などについて】
Q.教育や子育て、若者支援について、経済・景気対策という位置づけでもあるということだが、具体的なメニューは?
子ども・子育て予算を現政権から倍増するとしていて、子ども・子育て政策を一元化させる「子ども省」の創設を訴えている。具体的なメニューとしては、国公立大学の授業料の半額までの引き下げ。そして、私立大学生や専門校生に対する給付型奨学金を大幅に拡大するとしている。また、児童手当には所得制限がかかっているが、これを撤廃して、高校卒業まで拡大。高校の授業料無償化についても所得制限を撤廃し、義務教育の学校給食の無償化。出産一時金の引き上げなど、出産に必要な費用の無償化を目指すとしている。
【各党が重点を置く政策】
Q.ここまで4項目について見てきたが、立憲民主党が重点を置く公約はある?
特に自民党との大きな違いとして、「多様性」をキーワードにした、ジェンダー差別の解消を狙いにした政策に力を入れている。1つが選択的夫婦別姓制度の早期実現で、日本記者クラブの会見で、これに賛成か与野党の党首9人に手を上げてもらったところ、自民党以外が賛成だった。それ以外に、LGBT平等法の制定、同性婚を可能とする法制度の実現、また各議会でのパリテ(男女同数)を目指すとしている。
(ABEMA/『倍速ニュース』より)