31日の投開票まで1週間を切った衆議院選挙。24日の“ラストサンデー”には、各党の党首が政策を訴えた。
ABEMA『倍速ニュース』では、9党それぞれの公約を解説。第6回は「国民民主党」について、テレビ朝日政治部の澤井尚子記者が伝える。
Q.国民民主党は今回が初めての衆院選だが、そもそもどのようなスタンス?
国民民主党は結党から1年余りで、今回が初めての衆議院選挙となる。野党と共闘して自民・公明の過半数割れを狙っているが、共産党との限定的な閣外協力で合意した立憲民主党とは一線を画している。
玉木代表は公示日の会見で、「民主党政権の反省もふまえて、外交安全保障やエネルギー政策については現実的でありたい」と話している。例えば、沖縄・辺野古での新基地建設についても、一方的に「中止」を叫ぶのではなく、アメリカとまずは「プランB」について話し合うべきだ、としている。
玉木代表は「今の自民党にも既存野党にも不安だと思っている人の受け皿になりたい」と話していて、「対立よりも解決」をキーワードに、何でも反対の姿勢ではない「改革中道政党」として、政策を実現させていくためにまずは党勢を拡大させるという方針で臨んでいる。
Q.国民民主党のキャッチフレーズは?
今回の政策パンフレットで、「動け、日本。」というキャッチフレーズを大きく掲げた。コロナ禍で、国民に対して「飲むな、食べるな、動くな」と強いてきたが、これからは感染防止対策に配慮しつつ、経済を動かしていこう。そして、この閉塞感の漂っている日本経済や社会を動かすための財政出動は惜しまないという思いが、この「動け、日本。」に込められているそうだ。
Q国民民主党は、大きく「5本柱」として政策を提案しているということだが。
5つを簡単に紹介すると、1つ目に、「積極財政」に転換すること。2つ目に、「給料が上がる経済」を実現すること。3つ目に、「人づくりこそ国づくり」として、教育や科学技術予算を倍増させること。4つ目に、国民と国土を危機から守るということ。5つ目に、「正直な政治を貫く」として、公文書の改ざんを行った公務員やそれを指示した政治家などに罰則を科すことなど、政治の信頼回復を訴えている。
【新型コロナ対策】
Q.新型コロナ対策について、国民民主党はどのような公約を掲げている?
まずは検査を拡充するべきだとして、「無料の自宅検査」によって、セルフケアで家庭内感染を抑制するとした。さらに、自衛隊の協力を得て、臨時の医療施設を速やかに開設するということも掲げている。
また、感染拡大を防止するためには水際対策を強化するべきだとして、入国時の14日間待機を厳格にすることや、接触アプリの義務化をあげている。
そして、今回の争点となっている現金給付策については、迅速な給付のためにも一律で10万円を給付した上で、「低所得者」にはさらに10万円を上乗せして20万円に。一方で、高所得者からは確定申告時に所得税に課税することで返してもらう、としている。
また、事業者への減収補償として、家賃や光熱水費などの固定費を最大で9割まで支援するとしている。
さらに、コロナから経済が回復するまでの間は、消費税を5%に引き下げるとしている。
【経済対策と社会保障】
Q.経済対策についてはどのような公約を掲げている?
国民民主党が最も力を入れているのが、経済政策。先ほどの「5本柱」の1つ目と2つ目の柱にあった、「積極財政」と「給料が上がる経済」というのをキーワードにしている。
コロナ対策として紹介した、現金給付や事業規模別の減収補償など、50兆円規模の緊急経済対策を含めて、10年間で150兆円の「積極財政」を行い、経済回復を実現するとしている。
また経済低迷の原因は「賃金デフレ」だとして、1996年をピークに下がり続けている実質賃金を上昇させる「給料を上げる経済」を実現する、と掲げた。そのために、「大規模で、長期で、計画的な」産業政策を行って、生産性を向上させること。また、中小企業への支援策として、正社員を雇用した企業には社会保険料の負担を半減させ、また従業員の賃金を引き上げた企業には法人税を減税する、などとしている。
さらに、「日本型ベーシックインカム」の創設を掲げていて、マイナンバーと現金口座を紐づけることで、給付金や手当が申請なしですぐに振り込まれる「プッシュ型支援」を実現するとしている。
この給付と所得税減税を組み合わせた新たな制度によって、税制の不公平や格差の是正を実現するとしている。
【外交政策】
Q.外交・安全保障については?
日米同盟を基軸としたうえで、「自分の国は自分で守る」という理念に基づいて、自立的な安全保障体制を目指すとしている。
尖閣諸島周辺の日本の領海内に中国当局の船が頻繁に侵入している事態を踏まえて、海上保安庁の任務に「領土の保全」を加え、自衛隊の「情報収集・警戒監視活動」を明記する法改正の必要性を掲げた。
また、「食料の安全保障」という観点から、食料自給率50%を目指して、安心して農業経営が継続できるよう、戸別所得補償制度を再構築するとした。
【教育政策などについて】
Q.教育や子育て政策については?
国民民主党は「天然資源のない日本にとって、最大の資源は人材だ」としていて、子どもや教育を重視した公約を並べている。
まず、0歳から高校までの教育無償化を実現するとした。すべての子どもが人生の平等なスタートラインに立つべきだとして、所得制限もなくすとしている。義務教育は3歳からとして、学校給食や教材、修学旅行の費用まで負担をなくすとしている。また、児童手当も18歳まで一律で、1人月額1万5000円に拡充するとした。これは、子どもが3人いる家庭の場合、合わせておよそ1000万円の支援となる。
Q.それだけの財源はどうやって捻出する?
財政法を改正することによって新たに「教育国債」というものを創設して、10年で50兆円の国債を発行するとしている。この教育国債の発行によって、教育と科学技術の予算を倍増させることを掲げている。
【各党が重点を置く政策】
Q.このほかに国民民主党の注目すべき公約はある?
若者の政治参加を促進するとして、衆院選に立候補できる年齢を今の25歳から18歳にまで引き下げて、高校生や大学生の衆議院議員を可能にするとしている。
また、最後に憲法改正についてだが、今回の選挙ではあまり争点にはなっていないが、公約の最後のページに細かく記載されている。「護憲と改憲の二元論に停滞することなく、国会で建設的な憲法論議を進める」としている。
人権分野では、時代の変化に合わせたアップデートが必要だと指摘している。また、統治分野では、時の権力が恣意的に解釈や運用をしないよう明文化することを検討するべきだとしていて、憲法の改正にも前向きな姿勢を示している。
(ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)