10月30日のABEMA『NewsBAR橋下』にアルピニストの野口健氏がゲスト出演。じっくり言葉を交わすのは初めてだという橋下氏は開口一番、「僕は野口さんの考え方は理解しているつもりだけれど、“百田尚樹さん的”な考えについてじっくりと話をさせてもらいたい。。他局の番組では、僕の中国に関する発言についてムチャクチャに言われたりしているので、言いたいことが山程ある」と切り出した。
【映像】橋下徹×野口健 尖閣&靖国"保守論者"に言いたいコト
「百田さんと近い考えの人たちは、中国の話になると“尖閣だ”“武力行使だ”“やられたらとことんいけ”と、すぐに威勢の良いことを言う。僕も尖閣をめぐって中国と殴り合いになったとしたら、それはやっぱり殴り合いはしなくてはいけないと思うが、ただ、彼らは“ストリートファイト”。ルールも何もない中で、ただ“ガチンコでやれ”という雰囲気だ。しかし政治家がそれをやってしまったら国を滅ぼすから、殴り合いをやるにしても“ボクシング”をやるための環境を整えなければならない。それが政治家の役割だと思っている。本当にヤバいと思ったらタオルを投げたり、ストップ、ギブアップだとしっかり言ったりできるようにする。
太平洋戦争ではそれができなかったから、原爆を落とされたし、もっと言えば沖縄戦の前にそれを政治家が言わなければならなかったが、誰も言えなかった。言うと“非国民”と言われてしまうから。でも、ストリートファイトでやっている中東は悲惨だ。だからこそ、世界の大国はみんなボクシング。アメリカのトランプ大統領がISを倒すためにシリアにトマホークをぶっ放したけど、事前にロシアに連絡をして、基地を守っていたロシア兵を引き上げさせた。そういうパイプがあるからといって、アメリカとロシアの関係が良くなるわけではない。でも、それをやらないと大変なことになるから。
僕がびっくりしたのは、トランプ大統領が辞めるときに大混乱があったという話。大統領選の結果をグチャグチャにするために中国に軍事攻撃を仕掛けるという情報がワシントンに流れて、政治をやっている人間の間では“ほんまかいな”となっていた。このことについて最近、アメリカ軍のトップが公聴会で“本当だ”と証言した。命令が下るかもしれないということになったので、中国軍のトップに連絡し、“もし攻める場合には事前に連絡する”と伝えたそうだ。これも戦争の行為は止められないかもしれないが、事前にちゃんと連絡をして、国家を破滅させないためにそういうことをやっているわけだ。
殴りあうのはいいけど、最後は止められるような仕組みを持っておかなくてはいけないというのが僕の政治観だ」。
野口氏は「僕は別に百田さん派とかではないんですよ(笑)」とした上で、「日本は定期的に選挙があるけれど、政治家はそこで勝つための公約を出しているだけで、50年後、100年後のスパンで考えていない。中国がすごいのは、50年後、100年後を考えていること。計画性と根気と言うべきか、虎視眈々と、ジワリジワリと積み重ねていく。実際、香港もそうなったが、次は台湾だろう。南沙諸島も人工の無人島を造って滑走路ができているし、巨大な空母みたいなものも造っている」と指摘。
橋下氏は「中国はすごい。1992年に領海法を作って“自分たちの領土だ”と宣言した。でも日本の政治家は紛争になることを避けて黙っていた。中国はこれ幸いと第一列島線、第二列島線を引いて、近づけさせないようにして見事に進めていっている。
石原慎太郎さんが都知事の時に地権者の方から尖閣諸島を購入しようとしたところ、民主党政権が日本の領土だということで所有権登記をした。石原さんは“国が買うと国と国の問題になるが、東京都が買ったほうが地方がやったという話になり得た”と言っていたが、中国もそこからいろいろとやり始めた。石原さんは強硬な発言もするが、政治家なので現実のラインも考えている。
今の段階で上陸すれば中国と殴り合いすることを覚悟しなければいけない。だから騒いでいるやつは本当に殴り合いをするのかと。現実の政治として、上陸することになったら、それこそ殴り合い覚悟でやらなければいけないし、ボクシングのためのリングも整えておかなければならない」と応じた。
尖閣諸島に住む「センカクモグラ」の「守る会」を立ち上げていたこともあり、当時、石原氏サイドから都が購入した場合の上陸について相談を受け、地権者とも面会していたという野口氏は「東京都には東京都レンジャーという制度があって、僕は隊長をやっている。貴重な動植物が絶滅の危惧に瀕していることもあり、僕は生物学も上陸させて、研究施設を作りたいとも思っていた。東京都が買っていれば地方自治体なのでそういうエキスキューズもできるというクレバーな方法だったのに、国が買ってしまった」と惜しんでいた。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)