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 12月31日(金)公開の映画『明け方前の若者たち』。原作の人気ライター・カツセマサヒコによる小説は、発刊されるやいなやSNSで瞬く間に反響を呼び、わずか1年で実写化が決定した。

 主人公の“僕”役に北村匠海,そんな“僕”が一目惚れするヒロインの“彼女”役に黒島結菜、そして2人を見守る親友・尚人役には井上祐貴と、現代の肌感覚を持った若手俳優が集結。最高にエモーショナルでリアリティが胸に突き刺さる、新たな青春バイブル映画が誕生した。

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 「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」。2012年、学生時代最後の飲み会で出会った“彼女”からの16文字のショートメッセージ。そこから“僕”の沼のような5年間を描いた本作は、等身大の若者たちの青春&恋愛模様を見つめる前半から一転、後半は思わぬ事実が判明し驚きの展開を遂げていくーー。今回は劇中で親友役を演じた北村と井上にインタビューを実施。映画同様、最高にエモーショナルな話題に花を咲かせながら、親友のような自然体な空気感の中で終始、楽しい会話が繰り広げられた。

親友役の北村匠海&井上祐貴「映画全体に僕らの関係性がよく表れていると思います」

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――お互いの第一印象を教えてください。

北村: 今作で初めてお会いしてまず「目が印象的だな」と思いました。色んなことを考えていそうだけど、その中に情熱がしっかりありそうというか。あと、劇中での“僕”と尚人もそうだと思うんですけど、お互いに醸し出している空気感が似ている感覚もあります。最初から井上くん自身が壁を作らない感じだったからかな?

井上: でも最初は少し壁ありましたよ(笑)? 初日は緊張していたし、匠海くんがどういう人なのか分からなかったので、「何を喋ろうかな」なんて考えながらソワソワしていました。仲良くなりたい気持ちはずっとあって、最初の共演シーンで初めて匠海くんから話しかけてもらったのを覚えています。

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北村: 確か新入社員同士の研修のシーンだよね?

井上: そう。しかも最初のシーンの時がちょっと言いにくい長いゼリフで。それで「今日セリフ長いね」が最初の一言だった気がします。

北村: そうだね。初日から「なかなか大変だね」なんて話した記憶がある。

井上: でもそこから打ち解けることができて、じょじょに話せるようになりました。だからなのか芝居中も休憩中もずっとリラックスできて。もちろん芝居の延長戦でアドリブも生まれることはあるんですけど、完成した映像を見ても2人の間に作られたような違和感がない。映画全体に僕らの関係性がよく表れていると思います。

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――お2人の共通の話題は?

井上: 劇中にはRADWIMPSさんの音楽も登場しますが、まさに僕自身もドンピシャで世代です。でも匠海くんは僕よりもRADWIMPSさんと関わりもあるし、劇中に出てくる高円寺にはお互い思い出もあったりして、撮影中は「ここ懐かしいね」なんて話もしました。

北村: 確かに街の思い出話もけっこう盛り上がったね。

井上: あと映画には下北沢も登場するんですが、僕はあまり詳しくないので匠海くんに聞いてみたり。

北村: うん、下北沢はガチガチに思い出ある(笑)。むしろ色んな気持ちが入り混じりすぎて撮影中は苦しかった(苦笑)。

北村匠海「とりあえず少女時代さんやKARAさんも聴いておけ!」学生時代の自分にアドバイス

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――物語は2012年から始まりますが、当時お2人はどんな少年でしたか?

北村: それこそRADWIMPSさんを深く愛する少年でした。今でももちろん好きです。当時はK-POPが流行っていたんですが、僕は「RAD愛」を貫いてましたね。あとその頃にはRADWIMPSさんの『携帯電話』(2010年)というMVにも出演して、その後くらいにドラマ『鈴木先生』(2011年)で今作の監督を務めた松本花奈さんと出会ったので、人生ってうまく繋がっているなと思います。

井上: 僕は毎日フットサルをしていました。それ以外は本当に何もなかったです。だからこういう芸能の仕事をやるなんて全く考えていなかったですね。それにフットサルはやっていたけど、自分の実力も分かっているからプロになろうなんて考えもないし、本当に何も夢がない時期だったかもしれないです。

北村: 僕も夢はなかったです。この仕事はもうしていたけど、中学生の時こそ「(芸能の仕事は)いつ辞めてもいい」という感覚でした。だから今でもこの仕事を続けているなんて、当時は想像していなかったです。ただ漠然と「芝居は楽しい」って感覚はありました。

――当時の北村さんが今の活躍ぶりを知ったらどんな反応をすると思いますか?

北村: でも幸せが1つとも限らないし、別に仕事を辞めても幸せだっただろうから、「大変だね」みたいな感じだと思います(笑)。どんな状況でも「今が1番良い」という気持ちを常に持っています。

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――2012年のご自身にアドバイスを送るなら?

北村: 「とりあえず少女時代さんやKARAさんも聴いておけ!」と言います。特に意味はないんですけど、ちょっと違ったかもしれないから(笑)。

井上: 僕、体が硬いんですよ。そのせいでアクションの幅も狭まるからかっこいいハイキックとかもできないですし、「昔もっとストレッチしておけば…」とちょっと後悔しています。あの頃にやっておけば今と全然違ったと思うので、「ストレッチをちゃんとしておけ!」と言いたいです。今も努力していますけど、心が折れそうになりますもん。

北村: わかる! 僕も股関節がガチガチだからこの映画の勝ち組飲み会のシーンで自分的にあぐらをかいたつもりだったんだけど、実際映像で見たら体育座りになっていてびっくりしたもん(笑)。

北村匠海が井上祐貴にアドバイス「ハートを強く持とう」

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――映画では若い頃の恋愛や仕事での絶望も描かれていました。お2人の過去の失敗エピソードがあれば教えてください。

北村: 失敗なんてめちゃくちゃあるので、どれをピックアップしよう(笑)? あ、でも面白いのだと子役時代、仕事でなかなか泣けなくてあくびで乗り切ったことがあります…。見えない場所でこっそりあくびをして目をウルウルさせて撮影に臨むっていう。当時は小学生だったんですけど、その頃ってみんな感受性豊かだからワンワン泣けるんですよ。それなのに映画の撮影で最後、悲しいのに泣けなくて。だからあくびで乗り切ったんですが、今思えばあれは子供として失敗だったなと思う。「泣けません!」ってもっと素直に言えば良かったかもって。でも僕の泣きの演技を見て「芝居良いね」って褒められました(笑)。

井上: そこは演技力でカバーしたんですね(笑)。僕も失敗は山ほどあるけど、お芝居で思うようにいかず10回以上テイクを重ねたことがあって、その時は頭の中も真っ白で「もう終わったな」「俺、役者向いてないな」と思うんです。しかもそんな長いセリフじゃないのに引っかかったり、それで次言えたと思って安心していたら違うところで噛んじゃったりで、何度も撮るっていう。

北村: “沼”ですね。役者あるあるです。

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井上: 匠海くんも経験したことあります?

北村: 全然あるよ。でもこれは大先輩でもあるらしいから、そういう時は暗黙の了解で「はい、沼入りました」みたいに受け止めればいいと思う!

井上: でも当の本人は自分のせいで撮影が進まないですし、絶望しますよね。そういう時はどう乗り切りますか? 気合とか?

北村: そもそも撮影というのは円滑に進むものではないところがあるんじゃないかと思っていて。その考えがまず大前提としてあるし、全ては作品を良くするためだから。僕なんて「目が死んでいる」という理由だけで20〜30テイクやって結局ばっさりカットされたこともある(笑)。だからハートを強く持とう。

井上: 勉強になります!

――みなさん、そんなふうに進化していくのですね。本日は貴重なお話ありがとうございました!

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取材・文:近藤加奈子、写真:藤木裕之

映画『明け方の若者たち』

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出演:北村匠海 黒島結菜 井上祐貴

楽駆 菅原健 高橋春織 三島ゆたか 岩本淳  境浩一朗 永島聖羅 わちみなみ 新田さちか 木崎絹子 田原イサヲ 寺田ムロラン 宮島はるか 佐津川愛美 山中崇 高橋ひとみ / 濱田マリ

監督:松本花奈  脚本:小寺和久
原作:カツセマサヒコ「明け方の若者たち」(幻冬舎文庫)
主題歌:マカロニえんぴつ「ハッピーエンドへの期待は」(TOY'S FACTORY)
制作プロダクション:ホリプロ
製作:「明け方の若者たち」製作委員会 配給:パルコ
(C)カツセマサヒコ・幻冬舎/「明け方の若者たち」製作委員会

【あらすじ】
「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」その16文字から始まった、沼のような5年間。明大前で開かれた退屈な飲み会。そこで出会った<彼女>に、一瞬で恋をした。下北沢のスズナリで観た舞台、高円寺で一人暮らしを始めた日、フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり…。世界が<彼女>で満たされる一方で、社会人になった<僕>は、""こんなハズじゃなかった人生""に打ちのめされていく。息の詰まる会社、夢見た未来とは異なる現在。夜明けまで飲み明かした時間と親友と彼女だけが、救いだったあの頃。でも、僕はわかっていた。いつか、この時間に終わりが来ることを…。

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