先月27日、新しい代表を決める代表選の実施について臨時党大会を開き、代表選の実施を見送るとともに、現代表の松井一郎氏の続投が決定した日本維新の会。一方、幹事長に藤田文武衆議院議員(40)、政調会長に音喜多駿参議院議員(38)、総務会長に柳ヶ瀬裕文参議院議員(47)が就任、“次の世代”を印象づける布陣となっている。
4日のABEMA『NewsBAR橋下』には大阪府の吉村洋文知事が生出演、橋下徹氏とともに、番組視聴者からの「橋下さん、松井さん、吉村さんときて、大阪府知事に次の世代はいるか」との質問に答えた。
橋下:松井さんが続投したのは、他に候補者がいなかったということ。衆院選で議席を増やしたのも、どう考えても吉村さんの実績があったからだと思う。だから普通に考えれば吉村さんが代表になったはずだ。でも大阪府のコロナ対策があって大変だから代表はできひんということになって、他に誰がおるねん、という話になる。
維新の中にいるとそういう感覚がないから「俺でも大丈夫だろう」と思うかもしれないが、メディアの側から政治を見ている立場からすると、吉村さん以外の候補が出てきた時に、ずっこけることになると思う。代表選になれば当然、討論会が注目を集める。立憲民主党の代表選でもあれだけ叩かれているんだから、維新も大恥を晒すことになると思う。松井さんもそのあたりのことが分かっているから、“吉村さんが出ないならしょうがないな”ということになったんだと思う。
吉村:僕自身は“代表選をやるべきだ”という方に投票したが、やっぱり松井さんがいるうちに次の新しいリーダーを育てるべきだという考えも強い。組織をまとめるのは本当に大変だし、政党というのは、ものすごく個性的な人たちの集まりだ。僕なんかじゃとてもまとまらないし、橋下さんでも1人だったらまとめられなかったと思う。松井さんはそこをやってきたので、組織のメンバーからものすごく信頼が厚い。「それならやっぱり松井さんに続けてもらった方がいいんじゃないか?」という声の方が、そうでない方の倍近くもあったということだ。
一方で、ここは維新の弱いところでもある。松井さんも任期満了を迎える来年の春には政治を辞めると明言しているわけだから、今のうちに次の強い人間を作らないと組織は強くならないし、“風頼み”になってしまう。その点、執行部が若いメンバーになったのは、松井さんからの「次の世代が頑張れよ」というメッセージだと思っている。“多少失敗してでも、突き抜けることをやっていけ、それを周りは支えよう”と。今の日本維新の会には優秀で若いメンバーがいっぱいいるので、僕にとっても彼らが活躍できるようにして、次のリーダーを育てるのが大事な仕事だと思っている。特に3人の党執行部メンバーには、自民や立憲ではない政党として突き抜けるチャレンジをどんどんやってもらいたい。
■橋下氏「今は“吉村代表”になるための猶予期間だ」
これまで吉村知事を推す発言を繰り返してきた橋下氏。それに対し吉村氏は「そこまで言うなら橋下さんが戻ってきて代表になってくれへんかな」とかわしている。
橋下:3割ちょっとが“代表選をやるべきだ”と投票したというのを聞いて、すごく多いな、という印象を持った。それは決して松井さんを否定するとか引きずり下ろそうとかいうことではなく、次のステップに行こうということだと思う。つまり“吉村代表”になるための猶予期間だ。
吉村:何を言うてるんですか(笑)。
橋下:完全にそうだ。来年夏の参院選が終われば、必ず代表選になると思う。ここはそのための準備期間だという意思表示だと思う。
吉村:いつも橋下さんは僕に色んなことを押し付けようとする(笑)。大阪市長に挑戦することになったのも、市長室に呼ばれて、橋下さんに「吉村さん、次やってよ」と言われたから。もちろん「変えるんだ」と腹をくくったが、またそういうことを言うなら、橋下さんが戻ってきてやったらいいんちゃうかなと。民間人になったら腕時計もどんどん高級になっていくし(笑)。それを横目で見ている僕は“籠の中の鳥”みたいになっていくし。それなのに、「次は吉村が代表や」って、ちょっと待ってちょっと待って、みたいな。今は知事としてコロナ対策に集中しなければならないし、大阪維新の会という政治集団の代表もやっている。大阪、それから関西をまず強くしていくことだけでも相当なパワーを使う。正直申し上げて、僕が日本維新の会までできるという自信はない。
橋下:日本維新の会は、僕が代表だった時は、大阪都構想の住民投票をやるために国の法律改正など、いろんなことが必要だったし、そのための国政政党だった。今の日本維新の会の存在意義、目的をどう考えているのか。それがないと、率いていこうという気持ちにもならないと思う。
吉村:国政政党として、日本維新の会はどこを目指していくのか。若い世代が減っていく中、持続可能な社会にするための改革をしなければならない。つまり、次の世代を考えた政治をやっていなかいといけない。そういう政党は絶対に必要だ。そして自民党と伍するような政党になるべきだし、将来は総理大臣になって日本を引っ張るんだという人がトップを張るべきだと思う。
僕にそこまでの強い思いは、正直申し上げて沸いてこない。もともと衰退する大阪を何とか良くしたい、次の世代に誇りを持てるようなものにしたいという思いで政治をやっているから。ポジションがほしいわけでもないし、高みを目指して大臣になりたい、こうなりたいという権力欲があるわけでもない。もちろん国政政党として、党として目指しているところはある。それでも、ハートに火がつかないと。ちょっと顔が知られたから代表をやるというのは、間違っていると思う。
橋下:みんな総理大臣を目指して国政政党の代表になるが、吉村さんにはその辺の欲がないと。それだったら、新しい政党を作ることを目標において、比例代表の枠は大阪維新がしっかり持つべきだと思う。そして地方議員と国会議員で“回転ドア方式”をやる、日本初の国政政党を作る。その代表として率いてもらいたい。そのためには、もう日本維新の会を切り離したらいいと思う。吉村さんの下で比例代表枠を持って、大阪維新の会のメンバーをそこに入れていく。
吉村氏は「ムチャクチャですね(笑)。何を言っているかと言えば、「第二日本維新の会を作れ」と。そして日本維新の会の議員と戦わせろと。本当にムチャクチャだ。とにかく僕は目の前のことを頑張るしかない。知事の任期も1年半あるので一生懸命頑張って尽くせるように」。(ABEMA/『NewsBAR橋下』より)