感染者“過去最多”の韓国、今週から規制強化も「中途半端だ」 1つの失点が命取りの文政権
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 隣国・韓国では、11月からの「ウィズコロナ」とともに、新型コロナウイルスの感染者・重症者数が急増。病床不足も深刻化し、医療崩壊の状態になっている。さらに、新たな変異株「オミクロン株」の“集団感染”の疑いも。

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 そんな中、韓国政府は3日、今週からの会食人数の上限引き下げなどの規制強化策を発表したが、その内容も「中途半端」なものだという。ANNソウル支局の良永晋也記者が伝える。

Q.今の韓国の感染状況は?
 今月1日、2日と新規感染者数は5000人を超えて、一昔前ではまったく考えられないような数字になっている。重症者数もどんどん増えていて、736人(3日時点)。それに伴って重症者病床はどんどん埋まり、地域によっては空きがゼロというところも出てきていて、ソウルに限っても89.9%(3日時点)埋まっている。1000人ほどが病床に入れず待機している状況で、ほぼ医療崩壊といって差し支えない。

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 理由は大きく3つあると思う。1つは、ワクチン接種率は高いが、ブレークスルー感染が非常に多い。特に高齢者でいうと、80%近くがブレークスルーだという統計も出ていて、ワクチンの効果が効いていない人たちもいるのではないかということ。

 2つ目は、11月になって韓国がウィズコロナ政策を始めたこと。行動制限をかなり緩和して、街中にも人が溢れるような状態になり、人流が増えた。

 最後は、寒さ。韓国は日本よりも寒くなるのが早く、11月の上旬にはもう寒さが厳しくなり、室内に閉じこもって活動する場面が増えてしまった。換気が行き届いていない室内ということで、感染が広がりやすい環境になってしまった。これらが組み合わさって感染が増えていると思う。

Q.オミクロン株も確認されている?
 すでに6人確認されていて、このうち4人は教会での感染に関係する人。韓国の水際対策は、アフリカの9カ国からの外国人の入国を原則禁止している。自国民に関しては施設で隔離をしたりとなっているが、いわゆる“鎖国”の状態までいった日本と比べるとゆるいという印象は受ける。

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Q.韓国政府が発表した新たな方針はどんな内容?
 ひとことで言えば、「中途半端」「ちょっとブレーキを踏んだな」という程度に感じる。具体的には、現在首都圏で10人までとしている会食の人数制限を6人にし、お店でのワクチンパスの提示を義務付けたが、一方で店は24時間の営業が可能で時間制限などはなかった。

 そもそも10人で飲んでいる人なんてほとんどいないので、人数制限6人になったとことであまり意味はないし、ワクチンパスも感染を減らすための直接的な措置とは言えないので、「中途半端」だと表現した。

 では、なぜこのような内容を出してきたのかということだが、理由は2つあると思う。1つは、「政府は無策だ」という批判をかわすために「やってます感」を出すため。もう1つは、「引き締めるぞ」というメッセージを一応出しておいて、過度な気の緩みを防ぐ狙いがある。

Q.国民の受け止めは?
 報道などを見ると、政権に批判的なメディアはかなり手厳しく書いているし、政権寄りとされるメディアでも「これで効果があるのか」「出してきた対策がこれか」といったような意見が散見された。

 一方、国民の意見は複雑で、ゆるめたウィズコロナのまま行こうという人と、引き締めたほうがいいという人とで真っ二つに割れてしまっている。どちらが多いのかというと、ウィズコロナで行こうという人のほうが世論調査などでは多い。

 韓国では今まで厳しく行動制限がされていたので、ひとことで言えばそれが嫌なのだと思う。韓国では飲食など自営業者の割合が高く、日本の倍以上の4人に1人と言われている。そういった人たちがコロナで経済的な被害を受けてきて、自殺者が相次ぐなどのニュースも大きく報じられて、「もうこれ以上耐えられない」というコンセンサスのようなものが社会的に形成されたと思う。

 今まで政府は数回に分けて、日本でいうところの給付金のようなものは出している。しかし、飲食店の休業補償のようなものや日本の持続化給付のようなものが不足しているのは否めない。1回にまとめて出たことはあるが、1日いくらという形で出たことはない。知り合いの飲食店の関係に聞いても、「とても足りない」と恨み節ばかりが聞こえてくるような状態だった。

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Q.なぜ政府は支援をしない? できない?
 一番大きいのは財政の問題。韓国はコロナで赤字国債を発行し、財政状況が悪くなってしまっているということがある。韓国の企画財政部、日本でいう財務省にあたるところも、これ以上の国債発行に否定的になっている。韓国は財政的に脆弱な部分があり、そういったことも考慮すると、これ以上政府がお金を大盤振る舞いするのは難しい。

 文在寅大統領としては、来年3月に大統領選挙を控えていて、今のところはウィズコロナを支持する世論が大きいことが後押しになっている部分もある。裏を返せば、世論に反することをやるのが怖い状況になっている。大統領選は与野党で2人の候補者がいるが、けっこう拮抗していて、このままいくと1つの失点が致命傷になってしまう状況だ。今はもうレームダック化し、政権が終わりかけている文大統領としては、世論の反対を押し切ってまで何か事を動かそうという体力はないように思う。

 大きく世論が変われば韓国政府の方針も変わると思うが、今回発表された方針で、世論が変わるきっかけになるかもしれないと思うポイントが1つある。それは、ワクチンパスの対象年齢を18歳以上から12歳以上に引き下げるというもの。12歳はまだ体ができあがっていないわけで、その子どももワクチンパスがないと塾や図書館にも行けない状況にこのままだとなる。事実上の接種の強制に当たるわけで、世界を見ても子どもに強制している国はないのではないか。これにはネット上でもけっこう批判の声が上がっていて、もしかすると世論が変わるきっかけになるかもしれない。

ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)

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