イギリスでは15日、新型コロナウイルスの1日の新規感染者が7万8610人となり、過去最多を更新した。また、これまでに1万人を超える人から「オミクロン株」の感染が確認されている。
一方、“ウィズコロナ”に舵を切っているイギリスでは、サッカースタジアムは定員6万人を入れての通常開催で、観客席でのマスクの着用義務もない。そんなイギリスの現状について、ANNロンドン支局の山上暢記者が伝える。
Q.ロンドンの人々の様子は?
街中の空気というところで考えると、我々が取材で話を聞いてみても、そこまで心配していないというのが正直なところだ。つまり、これぐらい感染者数が増えることは織り込み済みだったという考えの人が多い印象だ。「規制を強化すべきだ」「水際対策をしっかりすべきだ」という反対意見はそこまであがっていない。
Q. 1日の感染者数が7万人以上いて、医療現場はひっ迫していない?
「今のところ」は大丈夫だ。1日当たり7万人の感染者数が確認されているが、PCR検査の数は日本に比べて圧倒的に多く、15日の数字で50万件を超えている。無症状でも陽性判定を受ける人がかなり多いが、こういった人々は基本的に自宅で隔離するので、入院患者の数はそれほど増えていない。
重症者は今の段階ではそこまで増えていない。今年の1月頃、ワクチン接種が進む前は特にひどくて重症者の数も増えていたが、その頃と比べると今の数は少ない。ただ、この先は増えていく可能性は考えられる。
死者数は1日100人から200人前後で推移していて、爆発的に増えているわけではない。もちろん、7万人を超える感染者数が出ているので、今後どうなるかは注視していく必要があるが、現在はオミクロン株の流行で死者が爆発的に増えたというような状況ではない。
Q.イギリスは規制緩和でコロナと共存してきたが、オミクロンとも共存の考え?
大前提としてイギリスはコロナとの共存を掲げているということがあるが、オミクロン株が出てきたことで、マスクの義務化を再び導入したり、ワクチンパスポートもしくは陰性証明を大きなイベントでは提示するなど、ブレーキをかけ始めてはいる。ただ、去年の3月から断続的に続いたロックダウンで街中は疲弊していて、ジョンソン政権としては経済と感染対策の両輪をうまく回していきたい。日本から見るとかなり甘い対策に見えるかもしれないが、イギリスの人にとってみればずっとそういう方針でやってきたので、今回のような状況になっても強い規制を望まない人が多い。
Q.イギリスの人のオミクロン株に対する考えは?
街頭インタビューなどでは必ず「オミクロン株は怖いですか?」と聞くようにしているが、8~9割ぐらいの人が「全然怖くないよ」と。これは誇張しているわけではなくて、本当に皆さんそうやって答える。コロナと共存する、ウイルスはどんどん変異して新しいものが出てくる、それは感染力が強いかもしれない、ということが頭の中にあるのではないか。
Q.イギリスのワクチン3回目接種の状況は?
規制がゆるいという話をしたが、このブースター接種こそがオミクロン株への一番の対策だとジョンソン政権は掲げている。18歳以上が対象になっているが、すべての成人に年内の接種を終わらせるという目標を掲げている。実際に1日50万件ぐらい接種を進めていて、成人対象者の43%まで進んでいる。打ち手不足や会場の問題はあるが、ブースター接種を加速させている。
国民もかなり前向きで、なぜかというともうすぐクリスマスだから。イギリスの人にとってクリスマスは一大イベントで、ブースター接種を受けに来た人に話を聞くと、「クリスマスディナーの予定があるから」「クリスマスは家族と過ごす大事な日だから」という人が多い。去年はクリスマス直前からほぼロックダウン状態になって、友達と会ったりパーティーを開くことが許されなくなった。「2年連続で規制をされたらたまったもんじゃない」ということで、ブースター接種をしたうえで1年で一番大事なイベントに臨むという意識が広がっている。(ABEMA/『アベマ倍速ニュース』より)