一門から弟子が、続々流出?「第1回ABEMA師弟トーナメント」の開幕に先立ち、師匠8人が集まり将棋界の師弟関係について語る「師匠サミット」が12月18日に放送された。参加棋士の一人、中田功八段(54)はタッグを組む佐藤天彦九段(33)、古賀悠聖四段(20)、女流の武富礼衣女流初段(22)と3人の弟子がいる。全員が九州出身で、その結束は強いが、中田八段は番組中に「中田一門、大ピンチです」とポロリ。共演した棋士たちの笑いを誘うことになった。
中田八段は「コーヤン」の愛称でファンからも親しまれるベテラン棋士。かの名棋士、大山康晴十五世名人の弟子であり、自身は振り飛車の中でも三間飛車を採用。放送対局の解説やイベントなどでは、穏やかな口調の中にも熱さとジョークを織り交ぜる、味のあるトークが人気だ。
自身初の弟子である佐藤九段が名人3期のトップ棋士に育ち、その直後から弟子入りの依頼が増えたというが、もともと多くの弟子を抱えるつもりもなく、また「放任主義なんで」というように、手取り足取り教え込むわけでもない。それでも中田八段の人柄、人脈により、他のベテラン棋士に弟子たちを見てもらうことも多い。「私の弟子は、みなさんにお世話になっている。武富礼衣は畠山鎮先生に本当にお世話になっている。佐藤天彦が東京に出た時、師匠のようにかわいがってくれたのが、木村一基先生と深浦康市先生です」。
ここで感謝するだけで終わらないのが、コーヤン流のトーク術だ。「ですから佐藤天彦よこせとか、武富礼衣とか言われたらね、中田一門、大ピンチですよ」。本気で2人が、師匠を変えるとは思っていないだろうが、ちょこちょこと自虐ネタを放り込むのは、中田八段の得意戦術。これには視聴者からも「中田先生面白すぎ」「よこせww」「大ピンチw」と笑いが起こっていた。
なお、中田八段は締めのあいさつとして、一番弟子である佐藤九段への思いについて「弟子にした時、対局も勝てなくてすごくつらい時期だった。(師匠の)大山康晴十五世名人が亡くなられて3年ぐらい。自分が歩む道が迷子になっていた時、佐藤天彦・9歳の手を引いて歩いた。自分はどんな師匠になればいいだろうと迷いながら歩いていたら、彼が先に行って道を示してくれた」と語ると、MCやファンの涙を誘うことにもなっていた。
◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)