熱く燃える魂と、スラリとしたスタイルは走り込みによるものか。「第1回ABEMA師弟トーナメント」予選Aリーグ1回戦・第1試合、チーム井上とチーム畠山の対戦が12月29日に放送された。チーム畠山の畠山鎮八段(52)は、弟子の斎藤慎太郎八段(28)とのコンビで出場すると、自身の2連勝を含みスコア3-0のストレートで快勝。予選1位通過にあと1つと迫った。若手に負けない熱さと、絞り込まれた体について、解説を務めていた久保利明九段(46)は「すごく鍛えていらっしゃるんじゃないかと」と絶賛。その脚力に驚いたという逸話を披露した。
畠山八段は、関西の奨励会で長く「熱血幹事」として、プロを目指す者たちを厳しく指導してきたことで知られる棋士。また盤を離れたところでは、スポーツにも積極的で、久保九段とともに、外で汗を流す機会も多かったという。久保九段は「関西の将棋連盟で野球チームを作っていて、同じチームで戦っていました」と切り出すと、さらに「最近ではマラソン大会で年2回ぐらい走っているんですが、畠山さんがめちゃめちゃ速いんです。すごいトレーニングをしていらっしゃると思うんですよね。見た目も全然スタイルが変わらない。マラソン大会だったら、僕は6枚落ちでも勝てない。ケタ違いだったんでびっくりしました」と、走力、心肺機能、さらにそれを維持するトレーニング量について、舌を巻いた。
将棋の対局も体力は使う。たとえばタイトル戦を除けば最長の順位戦は、持ち時間各6時間。昼、夜と40分ずつの食事休憩を含め、午前10時から始まる対局は、終局が日付をまたぐことも珍しくない。長時間、考え続ける、座り続けることにも体力は必要で「年齢を重ねると体力は落ちてきて、集中力の低下にもつながってくる」と解説。「しっかり自分を律してやっている」と、50代になっても体力を保ち戦い続ける先輩棋士を称え続けていた。
◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)