8歳だった少年が、将棋界で最も歴史あるタイトル、名人になる。その光景を中田功八段(54)は不思議な気持ちで眺めていた。一番弟子である佐藤天彦九段(33)が、2016年5月に名人となり、初のタイトルを獲得した。その様子を福岡の自宅で見守っていた師匠・中田八段は「ほんわかしてましたね。これは現実なのか」と、経験のない感覚だったと思い出した。2人の出会いも、この福岡の自宅から始まったこと。「ひとつの夢物語なんですよ」と、しみじみと語った。