愛弟子が名人になる瞬間 中田功八段「ほんわかして、これは現実なのかと」「ひとつの夢物語」
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 8歳だった少年が、将棋界で最も歴史あるタイトル、名人になる。その光景を中田功八段(54)は不思議な気持ちで眺めていた。一番弟子である佐藤天彦九段(33)が、2016年5月に名人となり、初のタイトルを獲得した。その様子を福岡の自宅で見守っていた師匠・中田八段は「ほんわかしてましたね。これは現実なのか」と、経験のない感覚だったと思い出した。2人の出会いも、この福岡の自宅から始まったこと。「ひとつの夢物語なんですよ」と、しみじみと語った。

【動画】佐藤天彦九段の名人獲得を振り返る中田功八段

 中田八段と佐藤九段は「第1回ABEMA師弟トーナメント」に、タッグを組んで出場する。師匠は弟子のために、弟子は師匠のために。これまで行われた3人1組の団体戦とはまた違う、2人の絆が随所に見えるとして、ファン注目の大会になっている。大会前のチーム動画の収録で、中田・佐藤師弟は酒を飲み交わしながら絆を深めることに。話は2人の出会いから、佐藤九段の名人獲得まで幅広いものとなった。

愛弟子が名人になる瞬間 中田功八段「ほんわかして、これは現実なのかと」「ひとつの夢物語」

 中田八段が福岡の自宅で、ひどい二日酔いのまま寝ていたところ、同じビルの2階にあった将棋道場の席主から、当時8歳の佐藤九段に将棋を教えてあげてほしいと連絡を受けたことが、2人の物語の始まり。頭が痛いまま自宅のあった4階から降りた中田八段だが、さっさと終わらせて二度寝しようとしたところ、二枚落ちで負け「吹っ飛ばされた」。それから20年後、佐藤九段は名人に。その瞬間を、初対面の時と同じく自宅で見ていた。「彼が(名人戦で)勝った時、自宅にいたんです。ちょっとたばこを吸って、ほんわかしていましたね。これは現実なのかと。夢の中、みたいな。二日酔いで目覚めたころから始まって、ひとつの夢物語なんですよ。気がつくと同じようにたばこを吸って、同じ部屋にいて」。

 二日酔いの中でまどろみながら見た夢か、それとも現実か。同じ空間にいたからこそ、まさに「夢物語」という感覚があったのかもしれない。もちろんそれは現実で、初の名人獲得から3連覇した佐藤九段は、今も活躍するトップ棋士だ。「(名人獲得は)彼の通過点ですから。これからも印象に残る将棋をしてほしいし、私はずっと見ています」と、今後の活躍を望み、目を細めていた。佐藤九段が再びタイトル戦に登場し、周囲も驚かすような将棋を指した時には、きっと自宅で酒とたばこをたしなみながら、余韻に浸ることだろう。

◆第1回ABEMA師弟トーナメント 日本将棋連盟会長・佐藤康光九段の着想から生まれた大会。8組の師弟が予選でA、Bの2リーグに分かれてトーナメントを実施。2勝すれば勝ち抜け、2敗すれば敗退の変則で、2連勝なら1位通過、2勝1敗が2位通過となり、本戦トーナメントに進出する。対局は持ち時間5分、1手指すごとに5秒加算のフィッシャールールで、チームの対戦は予選、本戦通じて全て3本先取の5本勝負で行われる。第4局までは、どちらか一方の棋士が3局目を指すことはできない。
(ABEMA/将棋チャンネルより)

【動画】入門時代を語る中田功八段と佐藤天彦九段
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