コロナ禍の開催に伴い、厳格な感染対策の中で始まった北京オリンピック。しかし、開幕前からドイツで抗議デモが行われるなど、中国の人権問題に改めて非難が集まっている。
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1月21日、ドイツで行われた抗議デモの参加者の女性は「彼らにジェノサイドを支援することは許されないと伝えに来た」と述べ、新疆ウイグル自治区やチベット、香港などで行われている中国の人権弾圧を非難した。
この人権問題に日本でも動きがあった。1日、国会はウイグルの人権問題について深刻な懸念を示す決議を賛成多数で採択。しかし、決議文では中国を名指しせず、非難という言葉も使われなかった。
一体、何のために中国に配慮しているのか。ニュース番組『ABEMA Prime』では、各国から人権問題をめぐる批判が高まる中で開催された北京オリンピックの意義について専門家とともに考えた。
ネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は、北京オリンピックについて「見たい人もやりたい人もいるので、その人たちが好きにやればいい」とコメント。「東京オリンピック・パラリンピックの場合は『日本人全員で応援しよう』みたいな空気感があったが、ワールドカップのサッカーのように『見たい人とやりたい人が勝手にやれば、俺たち別に気にしないけど』『そういうイベントがあるよねぐらい』の捉え方でいいのではないかと思う」と述べた。
一方で、今までのオリンピックとの違いについて、外交ジャーナリスト・元NHKワシントン支局長の手嶋龍一氏はこう指摘する。
「ウクライナ情勢も、台湾海峡のうねりも明らかに高まってきている。もしかすると、北京オリンピックの最中に有事が起きるかもしれない。オリンピックはよく“平和の祭典”と言われるが、習近平氏の中国は、権威を高めるためにオリンピックを利用しようとしている」
また、人権問題に絡む各国の反発と比較し「日本の声は率直に言って小さいと思う」と言及。「例えば、香港でも若い学生たちが、すでに自由な意見が言えない状況になっている。『どうして日本の若者は声が小さいんだ』と、よくヨーロッパやアメリカの若者から質問される。番組をご覧いただいている若者の方々は、本当にちゃんと答える義務があるかもしれない」と呼びかける。
一見、スポンサーのCMやPRもどこか控えめのように見える北京オリンピック。スポンサー事情についても、手嶋氏は「中国はチベットやウイグル、香港で人権弾圧している。その中国の権威を高めるオリンピックに協力していいのか、スポンサーをしていいのか。消費者からそう(中国の権威に手を貸していると)思われるのは企業としてもつらい。それだけではなく、中国は台湾海峡にも力で侵攻する構えを見せている。やっぱりちょっと怯んでしまっているように思う」と見解を述べた。
これにひろゆき氏は「国際情勢がどうあれ、単純に日本の企業にお金がないし、別にお金を持っている若い人たちはテレビは見ないから『広告効果ないよね』という話な気もする」とコメント。一方、「(イメージは)絶対に悪くなる」とした上で「中国人のお金目当てでやるなら全然ありだと思う。ただ、日本人に見てもらいたい企業がスポンサーに手を上げないのは当然」との見方を示した。
また、衆議院で1日に採決された人権非難決議は、ウイグル人への人権侵害を非難するものだったが、中国という文字は入っていない。これは中国への配慮なのだろうか。
ひろゆき氏は「結局ヨーロッパやアメリカの若者が反発して、日本の若者が反発していない、要するにもう日本は貧乏な国で、東南アジアやアフリカの若者も別に中国のオリンピックに反発していないじゃないか」と日本の現状に言及。続けて「毎日お金がないから忙しいし、それどころじゃない。お金がないから。お金がない国は中国のお金を頼りにしているので、中国に反発するようなことはしない。『ヨーロッパと行動が違うよね』じゃなくて『日本は東南アジアやアフリカなどの発展途上国と同じ行動をしているよね』とすれば、すんなり説明がつくと思う。なぜ、日本人は先進国側にいると思いたがるのか」と疑問を呈した。
手嶋氏は「全体としてみるとひろゆきさんのいう通りかもしれない。これは私の意見ではないが、やっぱり日本は相対的にまだ経済的にいま(ひろゆきさんが)言われるほど、貧しいということは、客観的に言えない。それなりに日本は行動する責任があり、その実力もあるというふうに世界の人たちは考えているんだと思う」と述べた。
日本の姿勢は常に曖昧でぼやかされてきた。中国やアメリカに対して、曖昧な状況はいつまで続くのだろうか。手嶋氏は「戦後の日本は約半世紀を超えて日米安保の傘の中にいた」とした上で、こう述べる。
「日本は超大国アメリカの傘の中でひっそりと息を潜めてきたと言っていい。過去半世紀はそれで済んでいたかもしれないが、アメリカの力も、特にバイデン大統領のリーダーシップは本当に弱い。これから半世紀、今までのように曖昧に、ひっそりと“傘の下”で口をつぐむことで、日本が生き抜いていけるのか。ひろゆきさんは『貧しいから仕方がない』というかもしれないが、僕は実は世界の水準からいうと、そんなに貧しくないように思う。今までのような曖昧な姿勢を取り続けて、今後も日本が世界にちゃんと存立できる目処は、必ずしもないと思う」
(『ABEMA Prime』より)
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